力だけで全てを押さえようとしたこともあります。
無理だと気づいたのは全てを手に入れたときです。
一一一一一一一一一一
諏訪子と話す前に神奈子に呼び出された。
吸いたい。
一一一一一一一一一一
「悪いね。態々来てもらって。」
「いや、依頼ならばどこでも誰でも駆けつけるのが俺の店の信念なんでね。」
「金さえもらえれば……だろう?」
「当たり前だろ。金がないと煙草も吸えないし、酒も飲めない、あと飯も食えないしな。」
「煙草がいの一番に出たか。」
「飯は釣りでも狩りでもなんとかなる。しかし、煙草は買う他にないんだよ。」
「なるほどねぇ。あんたも苦労してるんだね。」
「苦労と言われるほどではないさ。最近は依頼も多くて収入も安定している。来たばかりの頃では考えられない程にな。」
「人間からの依頼は?」
「……」
「少ないのかい?」
「人間以外の知り合いが多いからな、警戒されているんだと思う。」
「まぁ、神の話し相手を生業とする人間をまともと思うほどできた人間は少ないだろうねぇ。」クックック
「笑うなよ。依頼したのはそちら側だろう?」
「あぁ、そうだったな。」
「で、諏訪子よりも前に呼び出した理由は?」
「ん?あんたと世間話をしようかと思っただけさ。」
「それはよかった。で、神奈子から見て俺はまともだと思うか?」
「何当たり前のことを聞いてるんだい?」
「気になっただけだ。」
「私たちからすればこの上なくまとも、人間から言わせればこの上なく異端。これでどうだい?」
「だろうな。」
「人間は異端を追い出す。そして異端とされた者たちがやがて妖怪や神となる。」
「妖怪はそうだろうが神は違うだろ。」
「そうでもないさ。この国は八百万の神が護る国さ。何が神になるのかわからないのさ。」
「そんなもんか?」
「化け狐だって化け狸だって神になる国だ。少し絵が上手いからという理由で神になってもおかしくないのさ。」
「そういえばそうだったな。」
「そして、邪に堕ちたものは人であろうと神であろうと妖になってしまう。そういう国なのさ、ここは。」
「俺が妖怪になると?」
「あんたは神にはなれないだろ?かといって邪に堕ちてもいない。暫くは人のままさ。」
「もし、なりたいといったら?」
「止めておけ。なったところで後悔するだけだ。寺子屋の娘や竹林の娘は例外だ。」
「もしもの話だ。もしも、人が妖怪になったとして、戻る手段は?」
「ないね。人は一度道をはずせば戻ることはできない。例え償いをしたとしてもだ。」
「そうか……。話を聞いてくれてありがとうな。」
「いや、こちらも楽しい話が聞けたよ。……仲良くしてやれよ」
「そうだな。」