恨まれ役なら慣れています。
人に恨まれるのには慣れていません。
一一一一一一一一一一
旧地獄の入り口に着きました。
橋がありました。
パルスィがいました。
一一一一一一一一一一
「パルスィ、久しぶりだな。」
「そうね。で、何しに来たの?ここは貴方が来るべき場所じゃないわよ。」
「地霊殿に用事があるんだよ。諏訪子の依頼でな。」
「妬ましいわね。」
「どうした?いつものか?」
「何でそんなに余裕なのかしら?ここは旧地獄よ。わかってるの?ここには……」
「恐ろしい妖怪が沢山いるって話か?それなら聞き飽きたよ。」
「なら何で来るの?死ぬかもしれないのよ?」
「仕事だからだろ?他に理由があるか?それにここには知り合いもいる。不安になる要素があるか?」
「……。」
「……なんだ?妬ましいを通り越して呆れたような顔をしているが……。」
「よくわかったわね。勇気ある行動は妬ましく思えるけど。無謀な愚行は妬ましくもなんともないわ。」
「酔狂か?」
「むしろ茶番にもならないわ。死にに来たのなら喜んでここを通すわ。けど、そうじゃないなら帰りなさい。」
「そうはいかないんだよ。通してくれよ。」
「本当に妬ましいわね。」
「またそれか?」
「仕事のためなら死をも恐れないその心意気、この幻想郷で生き残る話術、交渉力、そして今まで生きてきた運。どれも妬ましいわ。」
「そんなことないさ。俺は一度死んでいるんだからな、もういつ死んでも悔いはないだけさ。妬まれるようなものは何も持ってないつもりだ。」
「そんなことないわよ。その証拠に貴方は里で浮いているらしいじゃない。」
「何で知っているんだよ。」
「さっき登って行った土蜘蛛が言ってたわ。」
「ヤマメか……。で、それになんの関係があるんだよ。」
「人の恐れは、嫉妬から来ることもあるのよ。特に貴方のはそう。妖怪と共に生きていける人間がうらやましい、妬ましい、怖い……。」
「隣の芝が青く見えるのと同じだろ。実際、幽香なんかも里に来ているだろう?」
「それは客として来たから迎えているだけ。貴方は自分から妖怪を客として探している。……酔狂ね。」
「そう言うなよ。」
「事実でしょ?」
「そうだけどな。」
「何も考えていないようなところ、本当に妬ましいわ。」
「俺からしたら妬ましい妬ましいって言っているお前がうらやましいけどな。」
「どういうこと?」
「人を妬むって言うのはそいつの長所を認めていることなんだよ。あいつには勝てねぇってな。俺は負けず嫌いだから認めたくねぇんだよ。妖怪相手に勝とうなんて考えはとっくに捨てたけどな。まぁ、人の長所を素直に認めて羨ましがることができるお前が俺は羨ましいってことさ。」
「……」
「……」
「気が変わったわ。貴方のことを殺したくなったから喜んでここを通してあげるわよ。」
「ありがとな。」
「本当にずるい人……。」ボソッ