雲は好きだ。
曇りは好きだ。
俺を輝かさないから。
一一一一一一一一一一
寺にはいると青い尼さんが雲と一緒に出てきました。
一一一一一一一一一一
「すみません。今姐さんは外出中なので中で待ってもらってもよろしいですか?」
「わかった。ところで……」
「はい。」
「聖の用事ってのはなんなんだ?」
「さぁ。私にもわかりません。けど、妖怪と分け隔てなく接し、商売をする貴方に悪い印象を姐さんが抱くわけありません。」
「そうだよな。それならいいんだがな……」
「恐らくこれからの人間と妖怪のあり方について話し合いたいのかもしれません。」
「そんな高尚な考えは持ち合わせてねぇよ。金をくれるなら誰であっても依頼を受ける。人であろうとなかろうとな……それだけだ。」
「それでもですよ。それでも人間は妖怪と聞くだけで警戒します。しかし貴方は警戒しない。何故ですか?」
「知り合いに妖怪が多いそれだけさ。ここに来て、霊夢に会って、異変を見ていくなかで多くの知り合いができたんだよ。」
「里の人間の方が妖怪と触れる機会も多いと思うんですけどね。」
「刷り込みだろ?小さい頃から妖怪について聞かされていたら怖くもなるだろうよ。」
「そうですか……。触れあえば悪くないと思うんですけどね。」
「まぁ、自分から妖怪のところに行ったら気が狂ったとしか思われないだろうな。」
「……」
「そういえば、お前も狂人だったな。」
「悪いですか?」
「いや、そうは思わねぇよ。それなら俺も狂人だからな。」
「そうでしたね。」
「後悔してるか?」
「まさか!?雲山と会わなければ姐さんにも出会うことはありませんでした。そして、幻想郷で尼をすることもなかったでしょう。」
「それはよかった。」
「……。雲山も私と出会えてよかったと言っています。」
「後悔してないならそれが一番だな。」
「はい。」
「後悔はしたくねぇからな。」
「でも、初めは悩みましたよ。これでよかったのかと。」
「いいんじゃないか?俺だって後悔はしてるさ。あのときああしとけば……ってな。それこそ夢を見るほどにな。」
「意外ですね。貴方の場合「なんくるないさ」とか言いながら気にしなさそうですけどね。」
「失礼だな。俺だって人間なんだから過去を振り替えるし、悩みもする。それこそ死にたくなるほどにな。」
「……そうでしたね。」
「……今となってはどうってことないさ。もう忘れたからな。」
「忘れたんですか?忘れたことにしたんですか?」
「さぁな。」
「……。ちょっと裏まで来いと雲山が言っています」
「頼むから拳骨だけで済ましてくれよ。痛いのは嫌いなんだよ。」