強くなりたいです
威を借りたいです
一一一一一一一一一一
聖はまだ帰ってこない……
さすがに遅すぎる……
一一一一一一一一一一
「すみません。いつもはもう帰っているはずなのですが……」
「仕方ないさ、あいつも忙しいんだからな。」
「そう言ってくださると助かります。」
「どこで何していのるでしょうか……」
「心配しても仕方ないさ。いつか戻ってくる。」
「でも、途中で襲われでもしたら……」
「あいつに勝てるやつを探した方が早いな。」
「もしかしたら急な病に見舞われたのかも……」
「あいつは魔法も使えるんだろ?大丈夫さ。」
「……心配しないんですか?」
「それよりも宝塔の心配をしてた方がいいんじゃないのか?」
「冷徹ですね……」
「信頼してるんだよ。」
「そうは言いますけど……」
「お前は神様なんだからもっとビシャっとしてろ」
「ただの使いですし、弟子ですし、代理ですし、半人前ですし……」
「それでも本人に認められてここにいるんだろ?」
「それはそうですけど……」
「それなら胡座かいていればいいんだよ。人の上に立つものとしてな。」
「しかしですね……」
「上の人間が狼狽えていたら下の人間は混乱するだけだぞ。」
「……」
「それとも武神の弟子は自分を祀る寺の僧侶が帰らないだけで狼狽える小心者なのか?」
「違います。」
「なら狼狽えるな。」
「はい……」
「……ところで宝塔は見つかったのか?」
「はい、先日ナズが貴方と別れたあとに届けてくれました。」
「そうか…よかったな。」
「そうですね……」
「何かあったのか?」
「いえ……大切な宝塔を一度ならず二度も三度もなくすなんて……と思いまして……」
「そうか?」
「そうですよ!!私の立場を示し、私の力の大部分は宝塔によるものなのですよ。そんな宝塔をなくしてしまうなんて……」
「俺が言いたいのはそうじゃなくて……」
「じゃあなんですか!?なくしたのが宝塔でよかったとでも言うのですか!?」
「そうだろ?」
「なっ、何てことを言うんですか?」
「いいから落ち着いて聞け。」
「これが落ち着いて聞いていられますか!?もし昔の私だったらその頭を噛み砕いていますよ!!」
「じゃあ今から独り言を言うから聞き流せ。」
「……はい。」
「俺は昔から忘れっぽい質でな、よく煙草をコンビニの喫煙所とかに忘れていたんだ。その時は『なんでこんな大切なものを忘れるかな』とか思っていたんだよ。まぁ、大切なもんなんて人それぞれだしな。」
「その話がどう関係あるんですか?」
「お前は聞き流しているだけだろ?」
「うっ……」
「続けるぞ。そんなある日俺の大切な友人が消えてしまった。よく行方不明になるやつだったからそんなに気にしていなかったんだけどな……。」
「……」
「結局、10年経っても姿を現すことはなかった。……言いたいことわかるよな?」
「なくしたものが友でなくてよかったと?」
「まぁ、そういうことだ。一番大切なものはお前の一番近くにあるって言う少し臭い話だよ。」
「長い旅になりそうですね。」
「家で待ち伏せしてればいいんだがな。」
「物語で一番大切な部分ですよ、そこは……。」
青い鳥よりも黄色いハンカチが欲しいです。