四日前、友を見棄てた
三日間、親を見棄てた
二日前、師を見棄てた
昨日、子を見棄てた
今日、道に転がる石を蹴った
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芳香と話している最中邪仙に邪魔をされてしまった。大方退屈していたのだろう。
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「芳香さんで遊ぶのはよしてください。私の芳香さんなんですから」
「わかってるよ。話しかけられたから応えた、それだけだって言ってるだろ」
「いいえ、芳香さんの顔が普段より若干血色がよかったです。丸で恋する乙女のように」
「死体を愛する趣味はねぇよ。お前じゃあるまいし」
「芳香さんがかわいくないって言うんですか!?」
「認めるのと認めないのどっちが正解なんだよ……」
「芳香さんを貶すのは許しませんし、芳香さんを愛するのも認めません」
「もう勝手にしてくれよ……」
「だから、勝手にさせてもらってます。大方、風でお札がとれて一時的に生前の記憶が戻ったのでしょう」
「わかってたなら絡むなよな……」
「だって暇なんですもの」
「はぁ……」
「なんですか、その『話が通じねぇ……』みたいな反応は」
「その通りだろ」
「美人に話しかけられてるのですから、もっと嬉しそうにしても良いんですよ」
「残念ながら人妻を愛でる趣味はない」
「意外と独占欲が強いのですね」
「自分のものにならないものが嫌いなだけだ」
「強欲ですわね。その強すぎる欲はいつか身を滅ぼしますよ。」
「一人で七つの大罪を独占してるようなやつが言うセリフかよ。しかも曲がりなりにも仙人なのが余計に腹立つ」
「曲がりなりにも仙人ですもの。人間の綺麗なところも、穢れたところも貴方よりも多く知ってますよ。」
「じゃあ聞くが、物欲にまみれた仙人様はどうして仙人になれたんだ?」
「私が邪仙と呼ばれるのは、邪仙と呼ばれるのにふさわしい行動をとってきたからです。それと、仙人には仙人になるべくしてなっただけです」
「お前が仙人に向いているとは思えないがな」
「ならば、仙人らしいところを見せて差し上げますわよ」
「ほぅ」
「夢を見る男、現実を見る女と言いますが本当でしょうか?物欲にまみれ、征服欲にまみれ、色欲にまみれ、自己顕示欲すら溢れている。目標のためならば自らの評価を執り行うことすら忘れてしまう。本当に現実をみているのでしょうか」
「夢を見ようと、現実を見ようと勝手だが。現実を見てるから、夢を見ているからという理由で達観している振りをされるのは腹立たしく感じるな」
「貴方はどっち着かずですものね。半端な男は嫌われてしまいますわよ」
「斜に構えた感じが格好いいだろ?」