寒空の下吸う煙草は確かに旨い。なぜ旨いのかは知らないが確かに旨い。彼女はこの旨さを知っているのだろうか?
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幻想郷に冬が来た。例年通りの冬になるらしい。俺は知り合いたちと雪見酒を楽しみ帰る。
冬の煙草は旨い。
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「どうも~。こんばんは~。」
「ん?レティか。」
「そうですよ~。冬ですよ~。私ですよ~。」
「これはまたテンション高いな。」
「冬ですもの。楽しいに決まってるじゃない。
」
「お前のお陰で酒も煙草も旨い。ありがとうな。」
「あらあら、疎まれることはたくさんあるけど、感謝されるのは珍しいわね。」
「そうか?俺は好きだけどな。」
「えっ、いきなり告白ですか!?」
「ちげぇーよ。酒飲みは雪見酒を楽しみ、喫煙者は旨い煙草を楽しむ。俺はそんな冬が好きなんだよ。」
「あらあら、ざ~んねん。それなら今年の冬は少し長くしてあげようかしら。」
「止めてくれ。寒いのは嫌いなんだ。」
「訳のわからない人ね。」
「そうでもないぞ。俺は桜は好きだが春の湿度は嫌いだ。海は好きだが夏の暑さは嫌いだ。紅葉は好きだが秋のもの寂しさは嫌いだ。人間なんてそんなものだ。」
「まぁ、人間は一年中同じように活動するものね。けど、羨ましいわよ。」
「何がだ?」
「色んなことを知っているからものの嫌いなところと同じように好きなところを知ってるもの。私は冬しか動けないから冬しか知らないのよ。」
「そうでもないさ。俺の知り合いには『春はリア充が増えるから嫌い。夏はリア充が海に行くから嫌い。秋はリア充が仲間誘って山に行くから嫌い。特に冬はスキー、クリスマス、バレンタインと意味のわからんイベントが多いから嫌い。』なんて言うやつもいたぞ。」
「それでもその人は私よりもたくさんものを知ってる。春の桜も夏の海も秋の紅葉もね。」
「そんなものか。」
「そんなものよ。私は色んな知識を持っている人が羨ましいのよ。」
「なぁレティ、煙草吸うか?知識が増えるぞ。」
「止めておくわ。それには嫌なことしかないって誰かが言ってたから。」
「そうだな。それなら一緒に飲むのはどうだ?」
「そうね。久しぶりに雪見酒もいいわね。」
「それなら博麗神社に行くか。霊夢もそろそろ目が覚めただろう。」
「神社に行くのは止めましょう。」
「どうしてだ?」
「私嫌われているのよ。去年も『あんたがいたら寒いのよ』って言われて殺されかけたわ。」
「それは災難だったな。じゃあどこか店に入るか?」
「そうね。それならいい店があるのよ。出すものは少し変わってるし、店主は頑固者で変わり者だけど。」
「それならそこに行くか。俺も久しぶりに八ツ目鰻が食べたいしな。」
「レティ、一本吸うか?」
「そうね。百聞は一見に如かずよね。」
「そうだな。」