思いの外ヒトは大きく、小さい
そして、ヒトは小さく、大きい
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博麗神社の縁側、日向ぼっこにはちょうど良い日が照り、風が吹いている。
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「んー」セノビ
「日向ぼっこ?里の人たちはあくせく働いてるのに気楽ね」
「こんな陽気に浮かれないやつがどこにいる?こんな日は少し浮かれたくらいでちょうどいいんだよ」
「相も変わらず適当ね」
「人間、欲望に素直な方が得だぞ」
「身に染みてるわ」
「弱きものを助ける……だったか?」
「そうね。『力の弱いものたちに力を』って言われたわ」
「で、まんまと騙された訳か」
「格好つかないわね」
「格好つかないな」
「今考えれば間抜けな話ね。……今考えれば、ね……」
「しかし、お前のお陰で存在できるやつがいることも確かだろ?」
「私のせいで心に傷を負ったものがいることも確かよ。そっちの方が数も多いと思う」
「お前に傷つけられた……か……」
「違う?」
「違わないかもな……でも」
「でも?」
「人間ができることなんてたかが知れてるんだよ。誰かの心に住み着くなんて自意識過剰も甚だしい話だ」
「あら、貴方の心に誰も住み着いていないかのような言い種ね」
「そうかもな」
「じゃあ貴方を毎日のように眺めている金髪と青髪の御姉様方は貴方の眼中にもないってことかしら?」
「言っただろ?俺の心には誰もいないってな。誰かを愛することも誰かに愛されていることも認識することはないんだよ」
「恋することに嫌悪する子供のようね。人を愛することはすばらしいことだって知らないの?」
「知ってるつもりさ」
「じゃあ、何でそこまで愛されることを怖がるの?貴方はきっと貴方が思っているよりもまともで素晴らしい人よ」
「俺はきっと俺が思っているよりも人を傷つける男だよ。」
「貴方は貴方が思っているよりも傷つけてしまった人のことを考えて傷ついてしまう人よ」
「お前に俺の何がわかる?」
「天邪鬼が言ってたのよ『自分勝手な最低野郎だ』ってね」
「面倒臭いやつだな」
「そうね、天邪鬼は面倒ね。二人もいたら面倒も二倍ね」
「そうかもな」
「でも、必ず嘘をつくから扱いやすくもあるのよ。嘘つきな人間よりもね」
「嘘つきか……」
「そう。どんなに傷ついても、さも傷ついてないように振る舞い、煙草を吹かしながら天を仰ぐ人間よりもね」
「まるで……」
「まるで誰かさんみたいにね」
「きっと弱虫なんだろうな」
「きっと誰よりも弱いんでしょうね」
「きっと誰よりも甘ったれなんだろうな」
「そして、きっと誰よりも優しいわ」
「きっとそうなんだろうな」
「人は何よりも強い心と何よりも弱い心が共存しているわ。きっとその人は弱い心が誰よりも弱かったのでしょうね。そして、同時に誰よりも強い心も持ってしまっていた。誰よりも強い心のせいで心を傷つけるなんて皮肉な話ね」