見たまま起きてるような
起きたまま夢を見てるような
地を歩きながら空を飛ぶような
そんな気分でした。
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朱と白に包まれた少女が縁側で茶を啜る。
どこか儚げで空を見上げている。
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ズゾゾゾ~
「はぁ~。やっぱり夏はこれよね♪縁側でお茶を啜る。……余計なのさえいなければね……」
「私がいてもいなくても、夏が来ようとも来なくとも貴方は一年中そうしてるでしょ」
「失礼ね。四季折々の恵みを享受し、お茶を啜り、幻想郷の平和を見守るのが博麗の巫女の勤めでしょ?」
「そんな交通整理のおじさんみたいな仕事を貴女に課した記憶はないわよ……それに」ヒョイ
「あっ」
「四季折々の恵みを享受するなら夏に御煎餅を食べるべきじゃないわよね」
「じゃあ、何をお茶請けに生きればいいのよ」
「浅漬けなんてどう?キュウリとかナスとか。塩気もあって美味しいかもしれないわよ」
「浅漬けね……」
「どうかしら?」
「ちょっとババ臭いけどいいかもしれないわね」
「心が枯れてる貴女にババ臭いなんて言われたくないわよ」
「いいじゃない。100倍くらい生きてるんだから十分ババァよ」
「あら、私は永遠の二十歳のつもりよ。貴女みたいに心まで枯れているつもりはないわ」
「へぇ、永遠の17才なんて言うと思ったけど、意外と現実を見てるのね」
「私の時計は998年前に止まったのよ。正確には998年と364日と……今ちょうどお昼だから、あと、12時間ね」
「細かいわね」
「だって忘れるわけないじゃない。私にとってのターニングポイントよ」
「紫がこれ以上妖怪じみた行動をとらないように祈るわ」
「そんなことはしないわよ。私は998年と364日と11時間……ごju……」
「永い!結論だけ述べなさい。そうしないと退屈であんたを退治しちゃうから」
「わかったわ。私はずっと妖怪なんですから、今更、妖怪の理について人間から教え乞うつもりはないわ」
「あっそ」
「つれないじゃない」
「今更あんたに妖怪らしさについて解説する気はないわ」
「いつも通りで安心したわ」
「私はいつも通りよ。あんたがいなくても、夏が来なくてもね。春が来ないのはもうこりごりだけど」
「強がりさんね。貴女は強い。肉体的にも精神的にも、強すぎるくらいにね。少しは甘えることを覚えるべきよ」
「無理よ。これが私だし、これが博麗の巫女だから」
「明日、一人男が来るわ」
「あんたのおやつ?」
「違うわよ。食べられない人よ。私にとって、そしてきっと、貴女にとっても」
「イケメンなら食べてあげるけど?」
「止めておきなさい。まぁ、見てくれはとにかく、かっこいいわよ」
「あんたがそこまで言うなら楽しみにしてあげる」
「心待にしているといいわ。あと……」
「何?」
「今日の真夜中、結界を緩めておいてちょうだい。ちょっとお出掛けしてくるから」
「真夜中と言われてもね何時間後かしら?正確な時間もいってくれると助かるわ」
「今が12時10分と42秒だから……あと、11時間49分18秒ね」
「わかったわよ。やればいいんでしょ?」
「そうよ。やればいいの」