彼女は八雲の名を貰えなかった。しかし主のために、またその主のために力をつける。
彼女が名をもらえるのはいつだろうか。
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今日の飯をとるため山に入った。しかしどうも俺は山菜に嫌われているらしい。ろくに山菜もとれず、気がつくと目の前に一軒の家が見えた。
中から少女が現れる。確か名を八雲橙と言ったはずだ。
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「私はただの橙。残念ながら八雲の名前はもらえてないのよ。」
「そうだったか。それは失礼したな。」
「それにしても、どうしてここにたどり着いたの?普通はたどり着かないはずニャンだけど……」
「山で山菜を採っていたらここに辿り着いたんだ。」
「あニャたって実はお惚けさん?」
「そうかもしれないな。この間も紅魔館で迷ってしまったし……」
「それは残念ね。ここは『マヨヒガ』迷い人にせめてもの慈悲を与える場所。」
「ここがマヨヒガなのか……」
「知ってるの?」
「伝承に過ぎないがな。旅人が迷い混んでつく場所で、帰れることも帰れないこともあるとか、この中のものをもって変えれば幸せになれるとか、その程度だ。」
「幸せにニャれるのはあニャがち間違いじゃニャいかもね。実際ここのものを盗んでいった魔法使いが異変を解決のヒントを得てたし……」
「魔理紗か……。それなら俺も何か貰っていくかな。とりあえず山から出たいし。」
「そうは行かニャいわよ。ここのものが欲しかったら、私に勝つことね。」
「俺はお前と戦う術がないのだが、どうしたらいい?」
「ニャっ!?弾幕ごっこも出来ニャいのに山に入ったの?」
「そうだが?」
「あニャたって本当にお惚けさんニャのね。返してあげたいけど。『ここは任せたぞ。』って藍さまに言われてるし……。じゃあ、あニャたの持ち物の中から交換するって言うのはどう?」
「残念ながら持ち物は煙草くらいしかないな、山菜は採れなかったからな。」
「煙草ってあニャたがいつもくわえてる臭いやつ?」
「あぁそうだな。猫にこの臭いはキツいよな。実家の猫も俺だけになつかなかったし……」
「それはあニャた自身の問題だと思う。猫は構いすぎる人にはなかなかなつかないから……下手に優しくしようとすると逆に嫌われるかも……」
「そうか……よかった。煙草のせいじゃあないんだな。ところで、安心ついでに一本吸っていいか?」
「んー……臭いのは嫌だから外で吸ってよ。」
「けど俺は出られないんだよな?どうしたらいい?」
「わかった。そこら辺に落ちているもの1つ持っていっていいから。適当に歩いていたら出口が見つかると思うよ。」
「ありがとう。お陰で煙草を渡さずにすんだ。」
「ニャニャっ!?」
「じゃあな。昔から猫は虎の心を知らずって言うんだよ。」
「次あったら何か貰うからね!」
「あぁそうだな。ネギでもあげるよ。」