起きてしまえばあの頃が夢になってしまうような気がして……目を醒ましてしまうと今が現実になってしまいそうで……
だから私は眠ります。独りで暗い隙間のなかで……
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長野を満喫して賢者様はそこそこ満足したようです。
しかし、まだ足りないらしいです。
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「相模さん、次は京都に行きましょうよ」
「京都まで何しに行くんだ?八ッ橋なら嫌いだから食べないぞ」
「大学に行くんですよ」
「行ったらバレるだろ。岡山教授はまだ大学で研究してるんだぞ?」
「夜にいけば
「行きたくないって言ったら?」
「ボッシュートになります」
「いつ行くんだ?」
「今からです」
「落とすのか?」
「はい♪」スキマ
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「懐かしいな」
「そうですね。1000年振りですからね」
「俺は大学卒業してからもちょくちょく顔を出してたけどな」
「意外と義理堅いんですねね」
「人が義理と人情忘れちゃお仕舞いだよ。何だかんだ言ってヒトは心があってこその人だからな」
「あら、理系脳の割りにファンタジステイックなことを言うのですね」
「世の中にはSTS という言葉があってだな……」
「それは在学中に耳にタコができるほど聞きましたよ。」
「そうだったな」
「……着きましたね」
「部室棟か……。示し会わせてもないのに自然と歩いてたな」
「人と言うのは思い出に浸りたくなるものですよ」
「妖怪がよく言う」
「それもそうですね」
「秘封倶楽部は俺の卒業と同時に廃部になったぞ」
「二人も死者を出してよく半年も保ちましたね」
「俺に感謝してくれ。お前らを失った悲しみから意味もなく部室に入り浸るようになった振りをしてやったんだからな」
「振りなんですか?」
「振りだよ」
「振りなんですね」フフフ
「それと……」
「何ですか?」
「二人の鎮魂を願ってそこに石碑を建ててあるぞ」
「あっ、本当ですね。マエリベリー・ハーン……宇佐見蓮子……。残念ですけど寂れてますね……」
「まぁ、最初の頃は華とか置いてあったんだけどな。10年前のことになるからな……」
「フフ……」
「どうした?」
「ここに先輩の名前も彫ってありますよ」
「相模友人……本当だな……」
「よかった……」
「あぁ、まだ、3人でいられるらしいな」
「ええ、それに……」
「ん?」
「先輩、影が薄いから忘れられているかと思っていました」
「失礼なやつだな」
「昔からそうですよ」
「そうだったな」
「そういえば……久しぶりにやりませんか?」
「確か、昔と同じ場所に隠してあるぞ」
「伝統は受け継がれるものですね」グローブポイッ
「悪い伝統の方がよく伝わっているんだがな」グローブパシッ
「あら、こんなところに学生会のグローブとボールを隠し始めたのは誰でしたっけ?」ピュッ
「それくらい誰でもするだろ」ポス ビュッ
「一時期問題になってましたよね?」バヂッ ピュッ
「騒ぐことでもないのにな」パスッ ビュッ
「皆さん真面目なんですよ。……誰かさんと違って」ビチッ ヒュッ
「俺は真面目な大学生だったよ。……大学生にしてはな」パスッ ビュッ
「……」バヂッ
「ほら、早く投げ返せよ」グローブパタパタ
「もう少し手加減してください。手が痛いです……「