術式:洒落怖で呪術廻戦の世界に転生した   作:リンリンメテオ

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1話

 大学一回生の夏休み、サークルにも入らずバイトもせずただひたすら怠惰な生活を送っていた俺はコンビニに向かう最中に居眠り運転のトラックに轢かれて死んだ。これからの人生とか、読み残した漫画とか、まあ色々思うところがないでもない。けれどもきっとそういう運命だったのだろう。後悔するほどの激情を持たない人生はここで打ち切り、となるはずだったのだが…… そう割り切った直後、死んだ後によー分からん神様によー分からん世界に呼び出されて平謝りされた。

 

つまりはよくある話、手違いで死んで転生、おまけに特典付きの3点セットだ。

 

 

 

2006年 某日 

 

・・・今年で6歳になった。

 

ありがちなパターンだと特典というのは何かしらの超常的無力で、異なる時代や文化圏の世界に飛ばされて闘争に巻き込まれる、といういわゆる異世界転生もののようなものがあげられるが、俺が転生した世界は転生前とほとんど変わらない現代日本で、この6年間の生活は些事こそあれ、平和そのものだった。

 

 しかし、誤算というか手違いが一つ。

 神から聞いた話では俺の記憶は転生と同時に消されるとのことだったが、どういう訳か前世の記憶と人格がまだ残っている。お陰でひどく大人びた子供だと周りから半ば怖がられてしまっていた。まあ、こんなことは些細なことだ。元々記憶が残っている時点で同年代の乳幼児と話が合うわけもなし。

 

 問題なのは先日発覚したもう一つの大誤算の方だ。6歳の誕生日を迎えた瞬間、自分の体に電撃が走るような感覚を感じた。そして数瞬遅れて体を巡る謎の力の流れ。よもやこれが特典か……?と思うも使い方はさっぱり分からない。まあこの平和な世界で今更何も起こるまいと深く考えずその夜は眠ってしまったのだが、翌朝、小学校に登校する際に驚愕した。

 

 通学路の途中、たばこ屋の角を曲がった先にあるある電柱の陰、そこに指が3本しかないバカ長い一本足で立つ、全身真っ黒で体が目で覆われている見たこともないような不気味なバケモノがいたのだ。この世の摂理ではあり得ないモノを見た俺の体は硬直し、口からは自然と悲鳴が……うん? てかなんかこれ見覚えあるな…… あ、これ丁度死ぬ前に友達から借りて読んでた呪術廻戦の1巻に出てきた低級呪霊じゃね? ほらほらあの最初の学校で虎杖の部活の先輩達が呪霊に襲われるシーン! いや〜丁度最初から読み返そうと思ってた矢先に死んじゃったんだよな〜……って、え?

 

え?

 

じゃあここ、呪術の世界ってこと?

 

 

 

***

と、いうわけで。今俺は非常に困っている。いや〜呪術って!!よりにもよって呪術って!!いやまあもっと酷い漫画とかアニメの世界もあるけどさ〜〜〜〜 呪術の世界ってすぐ人死ぬじゃん!! 一般人でも主要キャラでも容赦なく殺すじゃん!! そんで渋谷事変の後は日本滅亡寸前になるじゃん!! どうしようどうしようどうしよう 幸いにもある程度の力は与えられてるっぽいけど無闇に呪霊相手にこの力使ったら多分協会にバレて高専送りだろうしな〜〜 うーーーん。

 うん? でもよく考えたら高専に行って正規の呪術師になった方がいいのかな? そしたら少なくとも安全は守られーーーいやいや、全然そんなことないわ。よく考えたら虎杖とか入学後最初の任務で一回死んでるわ。ダメじゃん。

 なら一般人としてこの力のことを隠しながらコソコソ暮らすか? いや、それも違うだろ。未来の知識も対抗できる力も貰っといて自分の身が可愛いから全部ほっぽり出して逃げる? それじゃあ前の人生と何も変わらないじゃないか。何より人がたくさん苦しむってわかっててそれをなんとかできる力があるのに見ないフリするってのは違うよな……

 

 でも怖いな〜〜 怖いけど……うん。決めた。どうせ一度捨てた命だ。ボーナスステージだと思って思いっきりやってみよう。やっぱり俺も男の子だから、正義のヒーローには憧れるもんさ。人助けのために奔走するのが1番カッコいいじゃんか。

 

 そうなると、今……というかこれからの俺には大雑把に分けて2つの選択肢がある。

①真っ当に体と呪力を鍛えて高専に入り、呪術師になる。

②とりあえず潜りの呪術師として経験を積む。高専に入るかどうかは16歳のタイミングで決める。

 多分普通に考えたら①がオーソドックス。どうやって高専入学を認めてもらうんだって問題はあるけど多分乙骨くんの時みたいになんらかの事件を起こせば行ける!…… はず。でもなんの人脈もないまま高専に入学するとそのまま協会の偉い人たちにいいように使われて犬死するって可能性がある。そこら辺大分腐ってるっぽいし。

あー・・・でもよく考えたら時期的に俺が入学する頃って五条先生が高専にいるのか。そんならそこまでにちゃんと鍛えてある程度の実力を有してたらそんなに酷いことにはならなそうだな。

 ②の方は早めに実践経験を積んでおけるメリットの代わりに死ぬ確率が格段に上がるというデメリットが生まれるハイリスクハイリターンな選択肢だ。年齢を誤魔化して依頼を受けると考えたら俺の発育の程度にもよるけど活動期間は14歳〜16歳の2年間ぐらいになりそう。さらにこっちのルートを選んだら原作知識が使えないってのがある。……でもこれから先、ことあるごとに原作知識に頼ってるようじゃどうせすぐ死ぬだけだ。まずは呪術世界を素で生き延びられるぐらいの戦闘能力を手に入れなきゃ何も始まらない。

 

 ・・・うん、決めた。②の方を選ぼう。思えば前世では色んなことから逃げてばかりだった。2回目の人生なんだ。どんどんチャレンジして行こう!!

 

さあ、そうと決まれば今日から鍛錬だ! 

多分転生前に神が言ってた感じだと俺にはなんらかの術式が与えられてると思うんだけど……

 

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