ボクがウタを〝世界の歌姫〟にする!   作:抹茶れもん

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 性懲りもなく見切り発車しちゃうんだよなぁ。
 昨今のREDブームに触発されて書きました。
 ウタ救済系はよく見るし、ガン治療にも役立ちます。
 逆にウタに全ツッパしてもらおうぜ系はあんまり見ないし、でも一部の人にとっては健康にいいかもしれないので、この場で私の妄想を書き連ねておこうかと思います。

 それでは、ごゆるりとお楽しみくださいませ。



〝新時代〟

 

 ボクはその歌を耳にした時……美しいと思ったのだ。

 これこそが、ボクの求め続けた〝理想(新時代)〟だと。

 

☆★☆★☆

 

「やァ、ウタ! 調子はどうですか?」

「そりゃもう、バッチリだよ。エル!」

 

 ぐっ、とサムズアップで答える彼女の姿に、ボクは安堵した。

 

「あ゛〜よがッだァ〜〜〜!! 折角の……待ちに待ッたウタのライブですからァ〜〜〜!! 本当にもう……昨日から胃が引き攣ッて引き攣ッて……うッぷ」

「わァ!? ちょ、こんなとこで吐かないでよ! あなた本当に胃が弱いよね!?」

「フフフ……ボクは生まれた時から身体が弱かッたそうですよ。困ったんもんですねェ全く」

 

 いやはや本当に忌々しいものだ。

 ボクは男だッていうのに、身体能力じゃあ女の子のウタにも及ばないレベルのモヤシ野郎。

 顔は整ッている方だと思うけど、青白い肌に灰色の髪は病的に見えるし、瞳も白く濁っている。小柄な上にカカシのように手足が細いので子供なんかにはよく怖がられてしまうのだ。

 男としては情けない限りだよ。

 プライドなんてとうの昔にボッキボキにヘシ折れちャッたから別にいいんだけどねェ〜。

 

 まァそれならそれで、ボクにしかできないことをすればいいのさ。

 ウタはただ心のままに歌っているだけでいい。そんなキミがこの世で1番美しいのだから。

 キミの心を掻き乱す雑音(ノイズ)を振り払うのは制作責任者(プロデューサー)のボクの仕事だ。

 

「それじャあ、折角のライブですから。楽しんできてくださいね、ウタ」

「そうだね! 全部私に任せておいて。

 私が……ううん。私たちで! みんなが幸福になれる〝新時代〟を作ってあげよう!!」

 

 あァ、やはりウタは美しい。

 こんなにもきれいで、儚く、純真無垢な存在はないだろう?

 

「みんな! やっと会えたね、ウタだよ!! 今日はみんなで思いっきり楽しんじゃおう!!

 それじゃあいくよ——」

 

 元〝音楽の島〟エレジア。

 魔王(トットムジカ)の嘆きによって滅び去った、この場所から始まるのだ。ボクとウタの2人で紡ぐ——

 

「《新時代》!!!」

 

☆★☆★☆

 

「いやァ、すごかッた! さすがウタですねェ。音楽で彼女の上に立てる存在はいないんじャあないかなァ〜!」

 

 観客席から見るウタのパフォーマンスはこの12年間そばで彼女を見守ってきたボクからしても完成度が異常だッた。

 やはり覚悟を決めた女性の歌う姿は、こう……クルものがあるよねッ!

 マグカップに注いだコーヒーを傾けながら、彼女の歌に酔いしれる観客たちを見る。

 

「フフ、(みな)とても楽しそうだ——まるで、ずッとこの世界に居たい、この世界が永遠に続けばいいと思ッているかのようですね」

 

 それはウタ。キミの夢想する〝新時代〟が、きッと心優しいものだからに違いない。

 懐から取り出したメルヘンチックなキノコを眺める。

 コイツが鍵だ。

 フフフッ! 待ち切れないなァ! ボクとウタの夢の成就はすぐそこに——

 

「あ〜〜〜! おめェ、ウタじゃねェか!? 久しぶりだなァ!!」

「え……もしかして、ルフィ!?」

 

 ステージ上でウタと見知らぬ輩が心底嬉しそうに抱き合ッていた。

 ……スゥーッ

 

「NTRやンけ〜〜〜!!!!?」

 

 はァ!? 誰だよあンの麦わら野郎は!! ボクのデータにないぞ!!!

 唐突に出てきて人サマの脳みそ破壊してんじャねェよ!!? 危うく焼け死ぬ所だッたわ!

 というかいや、よく見ればあの顔には覚えがある! 確か五番目の皇帝、最悪の世代! 〝麦わらのルフィ〟!!!

 

「てめェ! プリンセス・ウタと知り合いなら紹介ぐらいしろォ!」

「そうだぞー!! というかなんで仲良しなんだよ、ルフィー!!」

「だってこいつ、シャンクスの娘だもん」

「ええええええええ!!!?」

「……へェ、それを知ッてるんですかァ」

 

 なら、多少は繋がりが見えてくる。

 ウタの幼少期……赤髪海賊団に在籍していた頃にとびきり仲が良くなった幼馴染がいたと聞いた。

 あの麦わらがそうだというのなら筋は通るなァ。

 ならいいか。どちらにせよ計画に支障はない。このままいこう。

 

「へへ……まさか〝歌姫〟があの〝赤髪〟の娘だとはなァ」

「こりゃあいいことを聞いたぜ! あいつを攫えば赤髪の弱みを握れるってわけだ……!」

 

 ウタがあのルフィとやらにどれだけの感情を持ッているかを思案していると、何やら不穏な会話が聞こえてくる。

 場所はステージから離れた廃屋だが、ボクの悪魔の実の能力ならば聞き取れる。

 しッかし、ウタワールドにいる時点で負けてんのに楽観的でいいねェ海賊は。

 このままデモンストレーションにコイツらを使ッてもいいが……ビッグマムんとこの船員(クルー)も来てるみたいだし、生け贄はそっちに任せておくか。

 何よりボクらの〝新時代〟には、こんな悪党どもは不要だろう?

 

「やァ、海賊諸君。今日も悪巧みご苦労さんでェす!」

「! 何だてめェ!」

「どうもー! ボクはウタのプロデューサーをしてる者でしてねェ。

 実はこのクッソ大掛かりなステージの設営交渉とかチケットの販売とか全部ボクがやッたんですァ。つまりこの場の最高責任者はボクッてェわけですよ。

 なんでねェ、会場にふさわしくないお客サマにャあ夢の国からお帰り願おうッてわけなんですよォ」

 

 ボクは海賊どもの前に能力の応用による瞬間移動で近づいた。

 走るのは面倒くさくて嫌なんだよねェー、足の骨折れちャうし。

 

「はっ、てめェみたいなヒョロガリに俺たちの相手がつとまるのかよ!?」

「ミイラ野郎が! 肩慣らしにブッ殺してや——」

「〝生体共有(バイオ:リンク)〟」

「んなっ!?」

「ぐう!? 何だ……身体が痛てェ!? く、苦しい……!」

 

 いやー、この能力ホント便利だなァ〜。助かりますわァ。

 

「ボクは〝シェアシェアの実〟を食べた〝状態共有人間〟

 人でも物でも動物でも、いちど視界に収めたあらゆるものと自在に自分の状態を共有させられるんですよォ。

 ボクは生まれた時から病弱でして。握れば指折れ、走れば足折れ、息吸うだけで(あばら)は折れ、しまいにゃ不治の病に高熱病です。

 つーわけで、今もボクを襲ッている耐えがたーい痛みと苦しみは、現在一滴残して全部キミらのもんなんですよ」

「う、ぐぅ……!」

「ま、精々のたうち回って死んでくださいな。そうすりャ夢から出れますよォ?」

 

 まァ、そしたらあッちじャ2度と目覚めやしないんだけどねー!

 さて、今は最期のライブを楽しませてもらいましョうか、ちョうどウタの方もビッグマムの手下共を拘束したみたいだし。

 

「フフフ、ボクのライブはまだまだこれからです。世界中の人間全員目と耳かッぽじッてよォく熱狂してくださいね〜?

 永久不滅の〝新時代〟……とくとご覧あれェ〜ッてね!!」

 

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