ボクがウタを〝世界の歌姫〟にする!   作:抹茶れもん

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サブタイと内容と劇中歌の繋ぎ方が強引すぎるかもしれぬ。



〝私は最強〟

 

 ウタワールド内でのライブは極めて順調。

 現在、ウタは〝麦わらのルフィ〟とチキンレースを楽しんでいる様子。

 あんなに無邪気に笑う彼女は久しぶりに見たね。嫉妬しちャうなァ〜。

 まァでも、ウタワールド(こッち)は今のところ彼女に任せておいても問題ないかねェ。

 

 問題なのは、さッきウタの能力で支配した電伝虫経由で傍聴した世界政府の会話。

 なんでも三十隻の軍艦引き連れて、このエレジアを潰すんだとか。

 おー、こわァ〜!

 曲がりなりにも人を一人捕縛するためだけにそこまでの戦力を動員するとは……このボクの眼を以ッてしても見抜けなかッた……!

 

 いやァ、精々が大将入りのバスターコールくらいだろうと、たかを括ッていたんだけどねェー。

 計画ッてのァ中々思い通りにはいかないもんだァ。

 

「やァ、ウタ。ライブ中で悪いんですが、ちョッといいですかねェ?」

「ん、どうかしたの? エル」

 

 現実世界でウタに話しかける。

 ボクは〝シェアシェア〟の能力で『現実世界に居る自分』と『ウタワールドに居る自分』の感覚を共有することで、〝ウタウタ〟の能力でウタワールドに完全に隔離されることなく行動ができるのだ。

 ん〜! ウタとボクッて能力の相性めちャくちャいいよね!

 ボクら2人でザ・最強〜!! ッてね!

 

「いやァ政府の電伝虫を傍受したところ、どうやらかなり大規模な戦力をここに派遣してくるそうなんですよ」

「……! そっか……さっき私が絶対にライブの邪魔をしないでって言ったばっかりなのに、お構いなしなんだね」

「そのとォーーーりィ! なんで、ちョッとびッくりさせてお帰り願おうと思いましてね。

 しばらく現実世界(こッち)は留守にするので、一応報告を」

「なるほどね。了解!」

 

 ホウ・レン・ソウはちャんとしとかないとね〜。

 相手の心情を(おもんばか)るのもそりャあ大事だけど、口に出して相談しなきャ、わかるモンもわかんないし。

 

「あっでも、殺したりとか、酷いことはしちゃダメだからね! みんなが私たちの作る新時代を待ってるの」

「わァかッてますッて! できる限り善処します。

 でも、完全に保証はできないですよ? 事故ッてしなせちャッても恨まないでくださいね?」

「うん、それは仕方ないよ。自分の無事は最優先に行動してよね」

「オッケーでェーす! んじャ、また後ほど〜」

「がんばってねー!」

 

 くゥ〜! 歌姫からの声援! やる気出るなァ、頑張るぞォ〜!!

 

☆★☆★☆

 

 〝バスターコール〟

 それは海軍本部中将5人と軍艦10隻を総動員して標的を殲滅する、海軍の命令で最も無差別かつ無慈悲な地獄の権化。

 それが一度執行されてしまえば、あとは草木一本すらも残らない焦土と化す。

 

「うひョお〜! こりャあ、圧巻ですねェ〜!!」

 

 そして今回、ボクらのライブを阻もうと送り込まれたのはその3倍の軍艦+中将とは比べ物にならないレベルで強い海軍の最高戦力、大将がなんと2人も。

 普通の海兵にしたッて軍艦1隻当たり1000人は乗ッてるから、総計で30000人は派遣されてることになる。

 大盤振る舞いにも程があるでしョ〜。

 本部(ニュー・マリンフォード)の守りをかなぐり捨ててこいつを発令した新元帥の赤犬は、ボクが言うのも何だけど頭イカれてると思うよ。

 

『前方に人影! 前方に人影! 海上に直立しています!』

「いやァ、こんな景色を見たのは長い歴史上でもボクだけなんじャないですかねェ……」

『繰り返す! 前方に人影! 前方に人影! 海上に直立しています! 敵影と思われたし! 速やかに砲撃せよ! 速やかに砲撃せよ!』

「おッと」

 

 パチャパチャと悠長に海上散歩を楽しんでいると、さすがは本部の海兵。

 即座に砲撃を繰り出し殲滅を開始した。

 軍艦の大砲から数えきれない程の砲火があがる……いや待ッて、今数えるわ。

 えーと、軍艦30隻 × 砲門3つだから……。

 

()ェーーー!!!』

「なるほど、合計90発か! 豪勢ですねェ!!」

 

 ボクは声を張り上げて叫んだ瞬間、声帯がブチブチと音を立てて切れる音が聞こえた。

 ちョうどいいや。これを使おう。

 声帯ブッ千切れたんで声に出さないけど技名も叫んどこうか、テンション上がるしね!

 

生体共有・覚醒(アローザル・バイオ:リンク)〟!!

 

 念じた瞬間、約100発に及ぶ砲弾全てが空中で張り裂けるように粉々になり、弾薬を火炎と黒煙と共に撒き散らして爆ぜ尽くした。

 わーお、真ッ赤ッ赤の花火みたいだ。

 全然キレイじャないけどさ。

 

『な……目標、未だ健在! 繰り返す、目標未だ健在!』

 

 でも声出ないのは不便も不便。

 そこの大音響で喋り倒してる海兵クン、ちョッとキミの元気そうな声帯貸しておくれよ。

 

生体分割共有(バイオ:スプリット)

 

『かッ……!? ア゛……!』

「ふィー、ありがとさん。幾分マシになりましたッと」

 

 やッぱ便利だね、この〝シェアシェア〟の能力は。

 先程使ッた技はこの能力を鍛え続けたボクだからこそできる技。

 なんせ身体鍛えようにも貧弱すぎて修行にならないんだもん。

 

 まず、声帯を治した〝生体分割共有(バイオ:スプリット)〟は〝シェアシェア〟のある特性を活かしたもの。

 この能力は主に2つのパターンで自分の状態を視界に入れた対象と共有する。

 

 1つは字面通りの共有(リンク)

 自分と対象を全く同じ状態にする特性。

 

 もう1つは分割共有(スプリット)

 共有する状態を100%とし、自身と対象でその割合を分割して共有する特性。

 

 例えば、自分の声帯が完全に千切れちャッてる状態を100%として対象とその状態を〝分割共有(スプリット)〟する場合。

 自分側を1%、相手側を99%に指定すれば、ボクの声帯は本来の百分の一の傷しか受けていないことになり、逆に相手の声帯を破壊することが可能となる。

 

 そして〝生体共有・覚醒(アローザル・バイオ:リンク)〟は文字通り、悪魔の実の〝覚醒〟による技だ。

 悪魔の実は稀に〝覚醒〟し、己以外にも影響を与え始める。

 〝シェアシェアの実〟の場合、本来は生物としか状態の共有ができないが、〝覚醒〟することによッて()()()()()()()()()()()()()

 さッきはボクの声帯と砲弾を対象に状態を〝共有(リンク)〟することで砲弾を着弾前に暴発させたのだ。

 

「さて、遠路はるばるご苦労ですが! とりあえずブッ壊れてくださいな」

 

 (ふところ)からナイフを取り出し、手の平をザックリ切り裂いて、ボクはお返しの一撃をお見舞いする。

 

「〝生体共有・覚醒(アローザル・バイオ:リンク)〟!!!」

 

 何も攻撃するのにわざわざ大怪我をする必要もない。

 〝ボク〟ではなく〝ボクの手の平〟を対象にすれば、例え小規模な自傷でも大規模な破壊を巻き起こせる。

 

 理論通り、1つの軍艦に大きく亀裂が入り、積んでいた弾薬に衝撃で引火したのか想像以上に派手にフッ飛んだ。

 

「んじャ、これで終わりにしましョう……他物共有(アナザー:リンク)

 

 そして視界に映る軍艦10隻。

 その全てが突如として最初に破壊した軍艦と同様の爆発を起こして大破した。

 〝覚醒〟によッて、ボクは『他者と他者』の状態すら〝共有(リンク)〟できるようになッているからだ。

 

「まァ、これでだーいぶ戦力は削ッたと思いますがァ……」

 

 黒煙噴き上がる海上から、異常なまでに輝く何かが上空に舞い上がり、一際瞬き光の雨を水平線に落下させる。

 そしてそのさらに上空、大気圏から降り注ぐ圧倒的な大質量を誇る隕石もまた、ボクを標的に襲いかかる。

 

「〝八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)〟」

 

「〝関所破り〟」

 

 うわァ……人間1人に使う攻撃じゃないでしョ〜、これは。

 

「〝座標分割共有(ポジション:スプリット)〟」

 

 『自分の位置』と視界に映ッた『軍艦の位置』を、皮一枚を引き換えに〝分割共有(スプリット)〟し、擬似的な瞬間移動によッて大将のものと思われる攻撃を回避する。

 海面に立つボク、軍艦のマストの先端に佇む海軍大将〝黄猿〟、甲板で刀を構えている同じく海軍大将〝藤虎〟。

 この場にいる3人全員が自身の敵を睨め付ける。

 

「こわいねェ〜、その能力。噂に聞く〝シェアシェアの実〟かいィ?」

「せいかーーい! さすが海軍、予習はバッチリッてことですかねェ」

「あんたが今回の〝世界転覆計画〟の実行犯ですかい?」

「人聞きが悪いですねェ。ただのライブだッて言ッてんのにさ。フフフフフッ!」

 

 余裕そうに見せてるけど流石にこれは無理があるなァ。

 恐るべきは海軍大将、隙なんて微塵も見えやしない。

 本当に同じ人間ですかァ?

 

「『〝救世の歌姫〟ウタ』に『〝仕掛け人(プロデューサー)〟シュヴァルツ・エルキング』と言やァ、各地の戦場や世界政府非加盟国に足を運び、人々を音楽で癒す〝新時代の救世主〟として有名だ……。

 そいつがなぜこんな騒動を引き起こしたのか、あっしにはまるで理解できやせんね……何の目的がござんしょう」

「有名なのはウタだけですよー。ボクはあくまで裏方なもんでしてね」

 

 問いかけは大将藤虎から。その威圧感は並の人間なら卒倒してしまいそうな、有無を言わさぬ迫力に満ち溢れている。

 しかし、ボクらの目的ねェ。

 

「あんた、自分で言ッてるじャないですか。

 ボクらはこの世界から悲しみにや怒りに嘆く者がいなくなるような……理想の〝新時代〟を築く。ただ、それだけが目的なんですよ」

 

 まァ、ボクが目指す『最終地点』は……ウタとはいささか異なるものかもしれないけど、ね。

 

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