Fate/GrandOrder×月姫 死徒徘徊都市 総耶 作:ryugann
出来れば公式がコラボイベント出すまでには完結させたいです
追記
2023年8月21日、メインストーリー更新に伴い、一部変更しました。
どこ・・・?
どこにいるの■■・・・?
■■を探してどれだけ時が経ったか。数十年、いや百年は経ったか。
だがそんなことは彼女にとってはどうでもいいことだ。
■■を見つける。それだけで今までの時間がお釣りが来るほど報われる。
■■の住んでいた国を文字通り隅から隅まで探した。それでも見つからなかった。
だから世界を回った。
南極から北極まで、エベレスト山脈からマリアナ海溝までもをしらみ潰しに探した。
だがそれでも見つからなかった。
それはつまりこの星に■■はいないということだった。
絶望した彼女はそのまま朽ち果てようとした。
だがそれはしなかった。
突如彼女の前に現れた男がこう言ったのだ。
「彼は別の世界にいる。世界を渡る方法を知りたいか?」
その男の手を取った彼女はとうとう見つけた。
愛しい彼を。
ああ、もうすぐで■■に会える!
「待っててね、■■……」
「フォウフォーウ!」
ボスン、とお腹に重い物が乗っかった。
と言ってもあまり苦しくはなくほど良い重さだからさっきまであった眠気が消えてくれた。
上半身だけベッドから起こすと今も見つめているフォウ君に挨拶をする。
「おはよう、フォウ君。」
「フォウ!」
フォウ君も律儀に挨拶を返してくれたことにほっこりとしながらベッドから離れてカルデアの制服を着る。
顔を洗って軽く歯を磨いて身だしなみを整えるとフォウ君と一緒にマイルームを出て食堂に向かう。
道中スタッフやサーヴァントたちとすれ違い互いに挨拶を交わす。
しかし今日もカルデアは朝から騒がしい。
シグルドとブリュンヒルデの北欧夫妻が血塗れになりながら手を繋いで歩いているところや道満がなぎこさんに追いかけられてるところを見かける。あ、武蔵ちゃんと小太郎が道満の足引っ掛けて転ばせた。
そんな当たり前の日常を目に入れながら美味しそうな匂いが漂ってくる食堂が見えてきた。
食堂は今日も大繫盛でエミヤとキャットとブーディカさん、紅閻魔ちゃんに最近加わったビーマが忙しそうにしている。
周りを見渡すとエウリュアレがアステリオスとパンケーキを一緒に食べているところやキャストリアが何かやらかしたオベロンを羽交い締めにしてる姿が見える。
助けに行こうか迷っていると近くにマシュを見つけたので泣く泣く、本当に泣く泣くオベロンを見捨てることにして声をかけにいく。
「おはよう、マシュ」
「おはようございます、先輩。先輩も今から朝食ですか?」
「うん。そろそろ来ると思うから一緒に食べようか」
「そうですね。フォウさんもいますし先ほど空いてる席を見つけたのでそこで食べましょうか」
俺はエミヤから生姜焼き定食を貰ってマシュのいる席に向かった。
「ま、待ってくれ、立香……!アルトリアを説得してく、れ……」
途中、オベロンが何か言ってた気がするけど気のせいだろう。
……あれ?
そう言えば眠っている時夢を見た気がした。
でも──どんな夢だったっけ?
結局、どんな夢か思い出そうとしたが近くで黒ひげが蘭陵王に助けられて乙女モードになっているのを見た衝撃で忘れてしまった。
朝食を食べ終えて食堂を出るとマシュと一緒にシミュレーター室に向かっている。
すると腕に着けてる通信機から連絡が入った。ダ・ヴィンチちゃんからだ。
「どうしたんですか、ダウィンチちゃん?」
『藤丸君、マシュはいるかい?』
「マシュならいますけど……」
「何かあったのですか?」
『なら良かった。二人とも今すぐ管制室に来てくれ。率直に言うと特異点が発生したんだ』
「「え!?︎」」
特異点が発生した。そのことに驚きながらも急いで管制室に向かった。
管制室に着くとダウィンチちゃんとゴルドルフ所長とシオンがいた。
「ダウィンチちゃん、特異点というのはどういうことですか?」
「ああ、2014年の日本から微小だけど特異点が発生したんだ。でも変なんだ」
「変?」
「そこは私が説明しますね」
シオンがバトンタッチして事情を話す。
「実はその特異点は昨日観測したものなんです。と言っても人理に影響を及ぼすほどではなくレイシフトしてもそこまで資源を回収出来ない。言ってしまえばする意味が無かったんです。
実際、トリスメギストスも放置しても問題無しのお墨付きでしたし。ですが、」
「事情が変わった」
扉の開閉音とともにシオンのセリフを奪った、もとい引き継いだのはホームズだった。そばにはカドックがいた。
「先ほどなんの害にもならないはずの特異点が急速にその勢力が拡大し始めた。今はまだ微小特異点の規模だがこのままだと日本を覆いつくすほどの大規模なものになると予想されている」
「最悪、異聞帯に匹敵するものになるらしい。急いで原因を探さないといけないらしい」
特異点が急速に大きくなるなんてことは今までカルデアのマスターとして多くの特異点を修正してきたがこんなことは初めてだった。
中で何かが起きてるのは間違いないはずだ。異星の神の仕業か、まさか他の人類悪が顕現している可能性も──。
「そうだ、これは誰の目から見ても明らかに異常だ」
不安が頭の中で一杯になってるとゴルドルフ所長が話に入ってきた。
「正直こんなことは言いたくないが異常事態なんてここでは日常茶飯事!だから必要以上に不安になるんじゃない!」
その言葉は不安を感じていた立香だけじゃなく隣にいるマシュや管制室に集まっているダウィンチちゃんたちやスタッフの皆に向けられた言葉だった。
「所長……」
所長は周りからの視線を浴びていることに気が付くと恥ずかしそうにしながらも咳払いをして話を進める。
「ともかく、マスターである藤丸立香とそのパートナーのマシュ・キリエライトの二人にはこの事態を解決するためにレイシフトしてもらう!」
重い雰囲気を払拭させて言いたいことを言い切った自分を格好つけようとフッ…とキザっぽくにやけていると、
「良いこと言ったね~ゴルドルフ君!」
「痛っ!」
ダウィンチちゃんから背中をバシバシと叩かれて結構痛そうに背中をさすっていた。ダウィンチちゃんもかわいい姿をしているけどこれでもサーヴァントなんだと改めて思った。
「さてゴルドルフ君にいいところ取られちゃったけどレイシフトの準備は出来ている。二人とも準備はいいかい?」
マシュと顔を合わせる。マシュは覚悟出来てるようだ。それにマシュがこんな表情をしてるってことは俺も同じ顔をしていることだ。
同時にうなづいてダウィンチちゃんに顔を向ける。
「「はい!」」
今日の中で一番大きな声で返事をする。みんなも分かっているようで優しい表情をしていた。
「なら、急いで同行させるサーヴァントを選ばないといけませんね」
「そのことだが問題ない、ミス・マシュ。すでに選出したサーヴァントは同行の準備をしている。レイシフトした時に合流出来るだろう」
「ちなみに第一陣の選出メンバーはこの通りさ」
ダウィンチちゃんから紙を受け取る。それをマシュにも見せると驚いたようで見間違いではないか確認している。
「意外な人選ですね……。これはホームズさんが選んだのですか?」
「いや、これは私ではなくシオンが決めてくれたものだよ」
一体どういう基準で選んだのかちょっと気になるがはぐらかされそうなので聞かないことにした。
「む、立香君、聞きたいことがあったら何でも聞いてもいいんですよ?例えば私がどうやって彷徨海のエントランスを借りた武勇伝とか……」
「ハイハイ、これ以上は世間話になりそうだからやめなさい!こうしてる間にも特異点は大きくなってるんだから、まったく!」
シオンは何やら不満みたいだったけど所長の一声で解散。俺たちはレイシフトの準備を進めた。
そして今回は規模が急激に拡大していることで中で何が起きてるか予測出来ないため、俺たちを第一陣、状況が分かり次第カドックをマスターとした第二陣が送られるらしい。
「私たちはいつも通りここからサポートするから定期の連絡忘れないでね」
ダウィンチちゃんから注意に苦笑いするしかない。
何も異常が無かったらちゃんとしているのだが通信が途絶えたり報告する暇がないことが多いから最近まったくやれていない。
次は気をつけると言ったがどうしようもない事情があるのはダウィンチちゃんも分かっているためそこまで追及は無かった。
「僕も準備が出来次第、レイシフトは出来るが、気を付けろよ」
「ありがとう、カドック」
「では二人とも、健闘を祈る!だけど無理だと思ったらすぐに帰還しなさい。勝っても負けても被害は大きくなるんだから」
所長の遠回しな無事に帰ってこいの言葉にマシュとつい笑ってしまう。所長は何か変だった?って不安になっていたけど頑張ってきますと伝えたら
「ほどほどにな」
ポン、と頭をなでられた。なんだかお父さんみたいなんて思ってしまう。
「レイシフトを開始する!」
瞼を閉じる。暗闇の中に包まれているとレイシフト特有の浮遊感が身体を包み俺たちは特異点へと向かった。
「……行ったか」
確認のようにゴルドルフは呟くとモニター画面の前に座る。
まだ特異点に着くまで少し時間があるが何かあったらいけないとすぐに通信できる状態を作る。
最初はスタッフやダウィンチから教えてもらいながら四苦八苦していたが今ではプロも唸るほどの速さと確実さで出来るようになっていた。
スタッフたちも自分やダウィンチがやるからと言っていたがゴルドルフは
「私は所長だぞ!部下の管理も出来ずに長など名乗れんわ!そもそもお前たちも自分の仕事で手一杯だろう!」
と反論している。
しかもゴルドルフは発言通りに、いやそれ以上に立香とマシュのことを気遣っているようでほとんどが杞憂で終わったが追加戦力の手配や敵サーヴァントの弱点を調べたり、帰ってくるたびにゴッフスペシャルなる料理を作って食べさせてるらしい。
そうした行動がスタッフやサーヴァントに気に入られゴルドルフはカルデアの一員としてすぐに認められた。
一通り終わったところでさっきから何か悩み事があるような素振りをしているシオンに話しかけた。
「どうしたのかねシオン君?さっきから考え込んでいるようだが何かあったかね?」
シオンは自分がそこまで分かりやすく悩んでいることにちょっとショックを受けているようだ。
「実はですね、この特異点のある場所の名前がですね……」
「“総耶”という名前だがそれがどうかしたかね?」
「よく分からないんですが、何か引っかかって……」
「シオンは総耶に行ったことがあるのかい?」
二人の話に割り込んできたダウィンチが聞いてみる。
シオンは首を横に振りゴルドルフとダウィンチは頭を悩ませる。
「もしかしてシオンであってシオンじゃない誰かに関係あるのかもね」
苦し紛れで呟いたダウィンチの発言。
だがそれには妙な説得力があり否定することは無かった。
「うーん、そうかもしれませんね。ここじゃ結構ある話みたいなので」
話が終わりそうにないので無理やりここで話を切った。
ちょうど立香たちが特異点に到着したようなので急いで通信の準備に入る。
モニターが映った。ちょうどその時、
突如、アラームが鳴り響いた。
「えっ……!?」
「噓……?」
「これは……」
各計測器からエラーと警告のアラームが鳴り止むことはなく、各スタッフやネモたち総動員で分析に駆け回る。
そしてその原因が分かった瞬間、ゴルドルフは、いやカルデアは頭を抱える事態になる。
「噓でしょ!?もうこれ微小特異点どころか下手したら異聞帯に匹敵する危機じゃないかね!?なんで──
なんで特異点の中で
このカルデアの状況を知らずにモニターに映るのは藤丸立香とマシュ、そして直死の眼を持つ少女、両儀式だった。