たとえ花になれなくても 作:名無
でも面白いけど、改めて何度も見直してみるとやっぱ暗い文章好きだな私。
2052年4月 PM7:00
穏やかな春風が頬を撫でる。
新しい出会いと始まりを教えてくれる風に、粉塵と硝煙、そして血の匂いが混ざっている。
『第3班、ポイントA3にてHUGEと接敵。スモール級30、ミドル級12。一般武装で戦闘開始。』
『第5班、ポイントD4にて同じく接敵!! ミドル級多数。支援砲撃を要請!!』
『ポイントE4にてHUGEと接敵!! ラージ級です!! 民間人も近くにいます、至急リリィを派遣してください!!』
HUGE。
突如出現した人類の敵。
彼らは人間を襲い、文明を破壊する。
現行の兵器では倒すことが難しく、ラージ級以上はある存在に頼らなくては撃退することがほぼ不可能。
HUGEは『マギ』と呼ばれる未知のエネルギーを使って行動していると考えられる。
その見た目に似合わず素早く動き、力学上あり得ない筋力を有する。
また、『マギ』を光線として放出することでビル程度であれば簡単に倒壊させることも可能である。
そして何よりも、
「これまた数が多い・・・」
戦場を一望できる鉄塔。
その上には少女が一人。
彼女の名前は天野 天葉。
HUGEを倒すことができる人類の希望であるリリィだ。
『天葉姉さま、聞こえていますか』
「聞こえてるよ樟美。感度ばっちり。」
彼女はリリィを育成する教育機関である百合ヶ丘女学院が誇る最強レギオン《二代目》アールヴヘイムの主将を務めている。
「ヘリが攻撃された時は焦ったけど、皆無事?」
『はい。パイロットの方含めて全員無事です!! 天葉姉様が囮になってくれたおかげです。』
数分前、彼女達アールブヘイムは外部遠征から百合ヶ丘女学院へ帰還している最中でヘリの中にいた。
しかし、その途中突如HUGE警報の連絡を受け、進路を変更し、現場へ急行しようとした。
その時だった。
「あんな超遠距離からヘリ狙撃してくるHUGEとかいた? 壱。」
『データベースに該当するHUGEはいませんでした。おそらく新種か・・・』
「新種でしょ。情報部からG.H.E.N.Aが動いていると聞いてないし。」
『どうでもいいから早く倒しちゃいましょうよ。樟美も空中でパイロットの救助で頑張ったから疲れてますし』
「亜羅椰、楠美の心配するふりしてセクハラしてないでしょうね?」
『まさか!! 私そんな節操なしじゃないですよ!!』
『アンタそれとなく楠美のお尻触ろうとしてるのバレバレだからね』
『・・・亜羅椰ちゃん?』
「亜羅椰?」
『ちょ、壱!! 違いますって!! これは、そう、ゴミを取ってあげようかなーて』
「尻を見ていたことは認めるのね。」
『見ていただけでアウトなんですか!?』
『中東部の子が最近よく相談に来るのよ。「指導訓練の時、亜羅椰先輩の目が怖いです。」て』
「しかもアンタ、最近また女の子泣かせたって? 私の耳にも入ってきてるから、帰ったら覚悟しときなさいよね」
人類を守る最後の希望であるリリィ。
HUGEと同じマギを操るための決戦兵器『CHARM』を扱う彼女達も、青春を謳歌する女子高生なのであった。
『・・・ちら指令部。こちら司令部!! そこのリリィ、所属を答えよ!!』
束の間の雑談に興じていると通信機よりノイズ交じりの声が聞こえてきた。
「こちら百合ヶ丘女学園 アールヴヘイム所属の天野 天葉。支援要請に従い到着しました。」
『アールヴヘイム!? か、確認しますので少々お待ちください!!』
「来る途中にヘリが狙撃されて負傷者がいます。確認の前にそちらに医療班を要請します。」
通信先の人物と会話しながら天葉は戦闘の準備を進めていく。
弾薬、医療キット、何よりもCHARM。
会話をしながら装備に異常がないか一つ一つチェックを進めていく。
『確認が取れました。現時点よりアールヴヘイムは戦闘行為が許可されます。』
『こちらはアールブヘイム所属の田中 壱です。データリンクへのアクセス許可を』
『天葉姉さま、まずはポイントにて合流を・・・』
「了解。それじゃあ、まあ・・・」
慣れ親しんだ戦場、信頼できる仲間に愛しいシルト。
掛け替えのない仲間達のことを思いながら、CHARMを手でクルリと回す。
そして、
後ろから近付いてきたHUGEを叩き切る。
負ける要素はどこにもない。
「アールヴヘイム・・・戦闘開始!!」
HUGEの一番の恐ろしさは何か?
未知のエネルギーであるマギ?
あり得ない筋力や速さ?
いや、一番の恐ろしさは『数』だ。
「壱、後ろカバーしながら付いてきて!!」
「了解!!」
道路に、壁面に、建物の中に。
HUGE、HUGE、HUGE。
「こいつらマジで台所に出てくるGが巨大化したとかあり得るんじゃない!?」
「ちょっと壱、よりによってなんでゴ・・・」
「亜羅椰それ以上は言うな!! まともに戦えなくなる!?」
基本的にHUGEと戦う時は必ず1人で戦ってはいけない。司会の外から来る不意打ちが怖いからだ。
故にリリィ達は『レギオン』という単位でチームを組み死角をつぶし、連携を繰り返しながら確実にHUGEを撃破していくのだ。
楠美達と合流し、本格的に戦闘を開始したアールヴヘイム。
目標はただ一つ。
狙撃型HUGE、その撃破。
「アレを何とかすれば輸送機で他のリリィ達も参戦しやすくなる。」
「場所分かってるの? 無策に探すのは汗かくから嫌いなんですけど・・・」
「大丈夫よ。データリンクに狙撃型のポイントが入ってた。」
「移動してないの?」
「ビルの上に陣取って全く動く気配がないです。多分『巣』を作っていると思われます。」
「そっか・・・だったら猶更早く攻めないとね」
『ッ!? 本部より入電、狙撃型HUGEと交戦を始めたリリィあり!!』
「他のチームがいたんですか!?」
「違います。コイツ馬鹿なの、死ぬ気!?」
「司令部、報告を!!」
『せ、戦闘を始めたリリィは「1名」!! コイツ、まさか・・・』
「ッ!! アールヴヘイムはこれより狙撃型HUGEに・・・」
天葉が言葉を紡ごうとしたその瞬間だった。
狙撃型HUGEのいるビルから轟音が鳴り響き、倒壊を開始した。
後にアールヴヘイムの面々はこの時の光景を揃えてこう語る。
『あんな滅茶苦茶な戦い方できるのはアイツだけ。』
一つ一つ勉強しながら書いてます。
拙い文章ですが、書けるところまで書いていきます。