まれびとの旅   作:サブレ.

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第十四話

ジャッキー・チュンvsクリリン。前者の正体は武天老師こと亀仙人なんで、これは正しく師弟対決だ。いいなー師匠。俺が師匠を得るとか多分夢のまた夢だからな。

 

『第五試合、はじめーっ!』

 

まずはクリリンがジャッキーに向かって行って、それをジャッキーが捌く。動きはジャッキーの方が上を行っているけどクリリンだって負けてない。だけど押され気味なのは経験の差かな?三百年くらい生きている亀仙人とまだ十三歳のクリリンだと場数が違う。

 

「わしのスピードについて来れたやつは久しぶりじゃのう……」

「あ、当たり前ですよ!ボクは武天老師さまという凄い人の弟子ですからね!」

 

その会話を挟んで再びジャッキーとクリリンがぶつかり合った。今度の攻防もまた、ジャッキーの勝ちか。やっぱり咄嗟の判断はまだまだ亀仙人が上をいってる。悟空もあちゃ〜!と頭を抱えている。

 

「立てクリリン!負けちゃうぞ!頑張れよっ!クリリンってば!」

 

無慈悲なカウントが進む中、悟空の声援を受けてクリリンがなんとか立ち上がった。よし、セーフ!まだ負けてない!周囲からも歓声が上がってる。頑張れよ!

 

『あ、あの〜、試合中すいませんけど……』

 

レフェリーストップがかかった。攻防が速すぎて何が何だか状態であったらしい。レフェリーの手を借りて二人がゆっくりと状況再現をしている。いや仲良いな。当たり前だけど。

改めて試合再開。クリリンが最終兵器として取り出したのは[ギャルのパンティ]と札のついた下着で……

いいのか!?それで勝っていいのか!?そして飛びつくなよ亀仙人っ!!!

 

「し、しまったー!」

「勝った!」

 

しまったじゃねえ。

 

「や、やむをえん……か〜め〜は〜め〜……波ーーーっ!!!」

 

場外一直線かと思われたその体は、かめはめ波の出力を持って推進してくるくると華麗に武闘台へと逆戻り。な、なるほど。そういう使い方もあるのか。能力とか技ってこういう応用も大事だな……勉強になった。

秘策も通じなくなったクリリンは自棄になって突撃して、あえなくジャッキーに沈められる。

 

『クリリン選手ノックアウト!ジャッキー・チュン選手勝ちましたーーーっ!!!』

 

あの様子だとひどい怪我とかはしてなさそうだ。これで決勝進出したのは亀仙人。

さて、次の試合は悟空とナムか?頑張れよ、コレ勝てば師弟対決その2だからな!

 

+++++

 

悟空とナムの戦いは、悟空の残像拳から始まった。それを見切って攻撃を仕掛けるナム、かわす悟空。

まさか亀仙人以外に悟空レベルに強い人がいるとは……世界って広いな。戦闘力とか気の強さで真の実力って測れないし、やっぱり気だけで判断するのは難しい。俺とか節約のために常に気を消してるからなあ。

と、そんなことを考えていたら、悟空がコマのように高速回転して突進……したかと思いきや、三半規管が限界を迎え、目を回して倒れていた。

あほか。

 

「悟空、やられるぞ!」

 

チャンスとばかりに高く飛び上がるナムが、己の必殺技の構えをとって重力を味方につけて落ちてくる。咄嗟に威力を簡単に算出して、悟空のサイヤ人の頑丈性と合わせてみる。

……多分耐えられるか?

 

「南無阿弥陀仏ー!」

「ここ仏教あんの!?」

 

初めて知ったんだけど。

 

「私も仏を信ずる者……殺生はいたしません……」

「あ、マジであるんだ……」

 

とりあえず天下一武闘会終わったら調べてみようかな……でもドラゴンボールって地球に神様(ガチ)いるよな。その辺どうなってるんだろう……。

無慈悲なカウントがテンを数えようとしたそのとき、悟空がギリギリで起き上がる。おお、やっぱりなんとかなったか。さすがにノーダメージとまでは行かなかったみたいだけど、二度目の攻撃が何事もなくいくとは思えない。

ナムが跳び上がり、それを追いかけるように悟空も跳び上がる。

 

『なっなんと空中で激戦が繰り広げられております!はっきりとは見えませんがかつてない闘い方に私も戸惑っております!それにしても首が疲れましたー!』

 

このレフェリー実況上手いな。

一足先に降りてきたのは悟空。落下の間は軌道を変えられないというナムの弱点をついて、落ちてきたところを横から思いっきり蹴り飛ばして場外、悟空の勝利だ。

 

「悟空、カッコよかったぞ!」

「へへ!」

 

お、二度目のVサイン。同じように人差し指を立てた右手を空に掲げて返した。万雷の喝采の中、ナムと握手を交わして清々しい結末。こういうのって殺し合いとかじゃ得られないんだよな。

十分間のインターバルを挟んでから、決勝進出した悟空とジャッキー・チュンの試合が行われることとなっている。

 

「ちょっと様子見てこよ」

 

人目のつかない場所に移動して、瞬間移動。適当な物陰から顔を出すと、悟空と目が合った。

 

「にいちゃん!」

「マレビトか!」

「よ、悟空。見てたぞ!次は決勝だな!」

「あの、ここは選手しか入れないのですが…….」

「迷いこみました。出口を教えていただければすぐに戻ります」

「そうでしたか」

 

本当は瞬間移動だけどな。

 

「悟空、決勝は楽しみか?」

「うんっ!オラ、亀仙人のじいちゃんやにいちゃんの他にも強いやつがいるなんて知らなかったぞ!」

「はは、世の中広いからなあ。優勝目指して頑張れよ」

「マレビトさん、そろそろ決勝戦ですので」

「分かりました。じゃあな悟空」

「バイバイ!」

 

職員に案内されながら、悟空の様子を思い出して、それから最近再現に凝ってるあの曲を思い出した。悟空は無邪気な挑戦者、だけどパワーは半端じゃないぜ……マジでその通りである。作詞家って凄かったんだな……。

 

『ご来場の皆様!いよいよ決定的な瞬間がやってまいりました!』

「お、間に合った」

 

元の場所に戻ってきたら、ちょうど決勝戦のアナウンスが始まったところだった。子供とお爺さん、言われてみれば確かに不思議な組み合わせだ。色々知ってる俺からすると妥当なんだけど。

悟空と亀仙人、どっちが勝つか正直読めない。亀仙人は技の使い方とか、すごく勉強になるくらい熟練だしな。

ドラゴンボールという漫画のことは忘れて、今だけは目の前の戦いに熱中しよう。どうせどっちが勝つかなんて分からないんだ。

 

「悟空!がんばれっ!」

 

運命の決勝戦。しんと静まり返る会場で師弟が向き合っている。心地よい緊張感が辺りを包む。

 

『決勝戦、はじめーっ!』

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