まれびとの旅   作:サブレ.

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第十八話

ドラゴンレーダーが壊れてしまったことが判明した。悟空曰く、ずっと懐に入れっぱなしだったのが悪かったらしい。というわけで、ドラゴンボール探しは一旦お休み。西の都でブルマにドラゴンレーダーを修理してもらおうという意見で一致した。

 

「じゃ、悟空。忘れ物ないか?筋斗雲呼ぶぞ」

「なに!?筋斗雲じゃと?」

「君たち、筋斗雲に乗れるのかい?」

「うん」

 

なんでも、昔はあちこちで筋斗雲を見たらしい。なんだその、昔は蛍がたくさんいてねえ、みたいな絶滅危惧種的な扱い。いや、蛍も筋斗雲も、大して変わらないのか。なるほど、蛍と扱いが変わらないなら俺が乗れるのも納得である。

そして、筋斗雲はそう簡単に壊れたりしないらしい。えっマジか。

 

「筋斗雲よーい!!!」

 

村人に促されて叫んだ悟空の元に、俺のよりひと回り小さい筋斗雲がひゅうっと飛んできた。お、おお。すげえな、ちゃんと生きてた。

 

「おかえり、悟空の筋斗雲。またしばらくこいつ頼むな」

 

嬉しそうに筋斗雲を抱きしめてぴょんと跳ねる悟空の頭をぐりぐりと撫でながらつぶやいた。仲がいいのなら、別れは寂しい。ずっと一緒にいられるのならそっちの方がいいからな。

 

「よし、行くか」

「うん!みんなたっしゃでね!」

「お世話になりました、ありがとう」

「さいならハッチャン!さいなら村のみんな!」

 

一度視線を合わせて、それから一気に筋斗雲を走らせる。ここに来るまでは少しゆったりとした旅路だったけど、西の都までは最高速度で走らせる。

ぐんぐん風を切って、空を飛んで。

西の都に着くのはあっという間だった。

 

+++++

 

「うわーっ!なんだここはーっ!」

「西の都だよ。一旦筋斗雲から降りるぞ」

 

なにしでかすか分からないので、迷子にならないよう筋斗雲から降りて悟空の手を繋いだ。今は引っ越したけどここで暮らしていた時期もあるので、道は大体わかる。

 

「これはな、信号機ってんだ。赤い時は道路を渡るなよ、車がぶっ壊れるから」

 

悟空と交通事故を起こすなんて運転手が可哀想なことにならないよう、ぼちぼちルールを教えながら歩くこと数分。途中で買ったソフトクリームがなくなった頃に、悟空と俺はブルマの家であるカプセルコーポレーションにたどり着いた。

いつ見てもめちゃくちゃでかい。某オモチャ開発の時は世話になったなあ。

インターフォンを鳴らすと、合成音が代わりに応答する。

 

「ブルマはいるか?」

『ブルマ様ハタダイマ学校ニイッテミエマスガ』

「ありゃ。上がって待ってていいか?」

『ドウゾ』

 

許可が下りたので、無駄にでかい家へお邪魔する。俺、少しの間ここに住んでたんだよな……信じられん。悟空の手を繋いだまま、一階の庭と化した場所を歩いて、そこで待機する。

 

「すげーなあ、中に外があるぞ」

「どうだすごいだろう、って俺が言えることじゃないけどな」

 

あちこち元気に走り回る元捨て猫の喉を撫でてやるとゴロゴロいい音が鳴った。どれもこれも久しぶりだ。悟空はキョロキョロと辺りを見回して、近くにあった木に登ったりしていた。しばらくそんなふうに時間を潰していると、キコキコと自転車の音と共に近づいて来る気配。

 

「久しぶり」

「どーも」

「にいちゃん、誰だこの人?」

「ブルマのお父さん」

「オッス!オラ悟空!」

「おおっ!そうかーっ」

 

ゆるい感じでやってきたこの人、めちゃめちゃ天才のブリーフ博士である。ブルマが天才ならそのお父さんも天才という訳である。自然の摂理だ。久々の再会をしたあたりで、学校を早退してきたブルマもやってきた。

 

「ブルマ、邪魔してた」

「ああーっ!孫くんにマレビト!」

 

わいわい、天下一武闘会以来の再会に盛り上がる。案外早く再会するもんだな。

そうだ、ブルマがドラゴンボールの伝説知ってたくらいだし、ブリーフ博士も何か知ってやしないだろうか?

 

+++++

 

「俺ちょっと博士に相談あるから」

 

というわけで、三つ目のドラゴンボール探しはお見送り。ミクロバンドで小さくなったブルマを連れて悟空は旅立っていった。あっという間に見えなくなった悟空とついでにもっといい男を探すというブルマ。ヤムチャよりもっといい男……たぶん、いる。だってブルマとヤムチャが結婚してた記憶ないのにブルマの息子いるから。

……誰と結婚するんだっけ?ハッキリ覚えてるの、もう既に会った悟空とブルマとヤムチャ以外だと、人造人間が二人?と、未来から来たイケメンと、ラスボスのブー?ぐらいしか覚えてないんだよな。

あっ、そういえばフリーザも中ボスだった。

フリーザが中ボスってめっちゃ魔境じゃんこの世界。どうなってんだよ。

 

 

「で、聞きたいことってなに?」

「生命工学……遺伝子工学ってどれくらい進んでる?」

「そうじゃのお、わしは専門外じゃが、遺伝子工学の入門書ならこの辺に……」

 

書斎から取り出された分厚い本と、いくつかの論文データを渡された。試しにめくってみるけどさっぱりわからん。これあれだ、入門書()ってやつだ。今の俺の頭だと幼児向けの『よくわかるバイオテクノロジー』みたいな本から始めないとだめだコレ。

そんなことを思いながら、図解だけでもペラペラめくっていく。

 

「なにが知りたいんじゃ?」

「生物のコピーというか、クローン」

「クローンか。技術自体はもうあるぞ」

「マジ?」

 

あー、そういや理科の教材になんか書いてあった気がする。ていうかよく考えたらハッチャンとかいう人造人間すでにいるじゃん。アホか俺は。

 

「じゃあ遺伝子系の改造とか組み替えもとっくに出来るよな」

「まあそうじゃの。そこの青いバラなんかそうじゃ」

「ふうん」

 

……もしや一回絶滅した恐竜が当たり前に闊歩してるの、どっかの遺伝子工学系の研究者がやらかしたからだったりする?

なんか恐竜パークな感じで。

 

「マレビト」

「なんだよ」

「なにが知りたいんじゃ」

「んー……色々と。強いて言うなら生命エネルギー」

 

バイオーム人間の正体とか、俺の病気の詳細とか、アスラっていう今の俺の肉体のルーツとか、そっちも気になるけど。

 

「なあ、どこから勉強したらいいかな」

「そうじゃの、まずは───」

 

+++++

 

休憩挟みつつしばし色んなことを教えてもらった。結論としては、まず理科の基礎を学ぼう!ってことで落ち着いた。だけどそれ以上に面白くてためになる話がたくさんあった。

一度大きく伸びをする。さて、そろそろ悟空と合流するか。

 

「おーい、筋斗雲ー!」

 

猛スピードで飛んでくる筋斗雲を撫でて飛び乗る。目的地は悟空のいる場所。さーてどの辺かな、と気を探ると……いたいた。

 

「博士、ありがとう」

「またおいで」

「よし、行くぞ筋斗雲」

 

びゅうん、と筋斗雲が目的地に向かって飛んでいく。ぐんぐん風を切り雲を切り進んでいった先……なにか、違和感を覚えた。

例えて言うなら、前世と今の世界である『ドラゴンボール世界』とのギャップのような空気感の違い。だけど、この違和感は前世と今世の違和感よりも若干薄い。

雲は飛んでいく。どんどん、どんどん。

 

「……?」

 

途中で雲を止めて降り立つ。明らかに空気が違うと言うか……世界が違うというか。

てくてく歩く。悟空はあっちかなー。

と。どん!と背中に何かがぶつかった。その勢いのまま一回転。

 

「いってえ!なんなん、だ?」

「んちゃ!」

「……んちゃ」

 

二頭身のちいさくてパワー全開の女の子。後ろでふよふよ浮かぶそっくりの天使のような赤ちゃんのような二人組。

えーと、この子知ってる、てか思い出した。

アラレちゃんだわこの子。




次の投稿は10月20日となります
理由:Dr.スランプを読むため
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