まれびとの旅   作:サブレ.

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第二十三話

最初の一人のドラキュラマンにうっかりやられてしまい、クリリンが脱落。その後相談があってプーアルがドラキュラマンと戦うことになったので、試しにこっそり十字架を腕で作ったらひっくり返ってしまった。

 

「おい」

「俺は後ろで適当なポーズ取っただけだから。ドラキュラが勝手にひっくり返ってるだけだから」

 

そんなこんなで一戦目勝利。よっしゃ。

二戦目はプーアルが棄権しヤムチャvs透明人間。流石に見えない相手に苦戦するヤムチャだったけど、クリリンの機転でブルマと亀仙人を連れてきて鼻血を噴出させることで透明人間を可視化し勝利した。

いや、透明人間をペイントするのは常套手段だけど、それに鼻血を使うのは流石に初めて見たわ。

そして、占いババが亀仙人の姉だと判明した。

……世間って狭いな。

 

 

亀仙人とブルマと合流して、三戦目は悪魔の便所という場所で行うことに。下に落ちたら助からないよってのは理解できるが、なぜわざわざ便所の形にしたのか。

ヤムチャはここで脱落、次に出てきた大将役の悟空が鳩尾に一発入れて勝利した。

次のアックマンは悪魔らしい。俺には着ぐるみきた男にしか見えないけど、ちゃんとした悪魔らしい。アクマイト光線とかいう悪の心を増幅させる謎ビームもなんのその、一切効かなかった。純真すぎて逆に心配になる。苦し紛れに取り出した武器も効かず、悟空が快勝した。

そんなこんなでついに大将同士の戦いだ。ぬっとやって来たのは狐のお面をつけた、じいちゃん。

 

「やあ」

「……え?や……やあ」

 

おお、悟空が戸惑ってる。珍しい。

じいちゃんは外の闘技場で戦うことを望み、占いババも快諾。再び外に出ることになった。

 

「あいつ……いいニオイがする……」

「え?そうか?ギョウザでも食べて来たのかな……」

「そうじゃねえ……よくわからねえけど……嬉しいニオイだ……」

 

ふうん、悟空がそんな風な表現をするなんて、ますます珍しい。様子が変といったら亀仙人もだ。あのじいちゃんに覚えがあるらしい。そしてかなりの達人であるとも断言した。

ついでに、占いババとじいちゃんのやりとりを見るに、あの人も悟空と知り合いであるらしい。

ルールは単純、どちらかがまいったというまで。お辞儀をしない悟空を叱り、お互いに礼をしてようやく試合が始まる。あの距離感、じいさん、悟空の発言と感覚、亀仙人……。

……うーん、正体、なんとなくわかったような気がする。

 

「試合、始めいっ!」

「こいっ!」

 

掛け声と同時に仕掛けたのは悟空。技のキレはほぼ互角。一進一退の攻防は空中戦に移行、それからかめはめ波の撃ち合いとなった。それを制したのは悟空で、倒れた相手に蹴りを一発だけ入れて、降伏を促す。

 

「ねえまいった?まいったって言わなきゃトドメさしちゃうぞ!」

 

周囲は悟空含めて完全に勝ち確定ムードだが、そうはならない気がする。悟空のことをよく知っているなら、尻尾という弱点だって知っていてもおかしくないからだ。

案の定、悟空は尻尾を握られて逆転されてしまった。尻尾を握って振り回されている。尻尾が弱点と知って亀仙人やブルマが驚いている声を背後に俺の推測は確信に変わった。

この人、ほぼ確実に悟空のじいちゃんの孫悟飯だわ。そりゃー強いわ。弱点知ってるわ。かめはめ波も撃てるし悟空が嬉しいニオイって表現するわ。

ほぼ同時に亀仙人も正体に気づいたらしい。

 

「あやつは死んだ悟空の祖父、孫悟飯じゃよ!」

「ええーっ!」

 

驚いている横で、悟空は尻尾がちぎれることで窮地から脱していた。結構痛かったのか尻を押さえてぴょんぴょん跳ね回っている。尻尾無いから分からんが、あれ結構痛いんだな……いや今まで切ったの、大猿になってる時だけだったしさ?

いや、普通に考えて弱点って呼ばれるほど神経通ってるんだから、痛いわな。なんかごめんな悟空。

 

「いちちちち〜……よ、よくもオラの尻尾をちぎったな〜〜!オラもう怒っちゃったぞーーー!」

「ふぉっふぉっふぉっ……まいった。ワシの負けじゃ」

「え!?」

 

尻尾がちぎれて勝ち目がないと悟った悟飯じいちゃんが、降伏した。これで晴れて悟空が勝利したことになる。

 

「強うなったな悟空よ、よくここまで修業した」

「な、なんでオラの名前を……?」

「じゃが弱点である尾を鍛えるのは怠ったようじゃな。注意しておいたはずじゃが……」

 

この辺りのやりとりで、ついに悟空も気がついたらしい。目をまんまるくしてまさかと呟いている悟空の目の前で、狐面が取られる。

 

「そうじゃ、ワシじゃよ」

 

現れたのは優しげな風貌を持った一人のじいさんだ。じいちゃん、と何度も呼びながら涙を浮かべて飛びつく様子は、悟空がまだ子供だということを思い出させる。

……いいなあ。

と、感情が落ち着いた悟空が一旦悟飯じいちゃんの所から離れたと思ったら、俺のそばに駆けてきた。そして俺の手を取って、悟飯じいちゃんの場所まで戻ってくる。

 

「じいちゃん!紹介するよ、マレビトにいちゃんだ!」

「どうも、マレビトだ。悟空に世話になった」

「ほほう、悟空が世話になった、ではないのか」

「まあ、居候してた時期があってな」

「そうか、そうか。悟空が世話になっとるの」

 

わしわしと頭を撫でられた。ちょっとくすぐったい。ボサボサになってしまった髪を撫でてなおしていると、死んでるはずの悟飯じいちゃんが現世にいるカラクリを解説してくれた。

あの世とこの世を自由に行き来できる占いババは、その力で死者を一回一日だけ現世に戻せるらしい。孫悟飯は占いババの力で悟空が来るこの日に合わせて現世に戻ってきたのだという。いやあ、愛されていることで。

つーかじいさんども、そこで大猿の相談をボソボソするなよ。聞かれるぞ。

 

 

「それでは、わしはそろそろあの世へ帰らせてもらいますわい」

 

そんな挨拶で、フッと悟飯じいちゃんは居なくなってしまった。亀仙人に負けず劣らず女好きという一面を残して。いるのかなこの知識。

そして、約束通り占いババが占ったドラゴンボールの位置を頼りに、悟空が飛び出していった。俺は待機組に混ざっているのでついて行かない。というのも、占いババが何かを言いたそうに俺を見ているからだ。

ブルマたちからなるべく距離をとって占いババと二人きりになる。そこでようやく、聞きたいことを言えた。

 

「……俺が試合出場禁止なの、武器の使用が本当の理由じゃないだろ」

「気づいておったか」

「アックマンがふつーに武器使ってたからな。理由は俺の魂か」

「そうじゃ。お主が稀人であるなら、警戒するのは当然であろう。……ま、杞憂だったがな」

「ふうん」

「詫びに、一回だけ好きなものを占う権利をやろう」

「……いや、いいよ。当たり前の反応をしただけだし」

「阿呆。こういうのは素直に受け取っておくもんじゃ」

 

ペシン、と頭を叩かれた。それじゃあ、受け取っておくかな。使うかどうかは分からないけど。

 

「それから、これはサービスじゃ」

「なんだよ」

「……元来の魂はともかく、他所から来たお主の魂はおそらく、天国にも地獄にも、受け入れ先はない」

「なんだ、そんなことか。もう知ってる」

 

死んだらどこにも行けないってことくらい、知った上で生きてるから問題ない。

……やっぱり俺の魂においでって言ったアスラとかいうこの肉体の本来の持ち主、超弩級のアホじゃないのかな。それですごく助かってるのもまた、事実だけれども。

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