まれびとの旅   作:サブレ.

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第二十五話

なんやかんやで三年後。

この三年間であったことといえば、ついに肉体が齢千歳を迎えた。せっかくなので千歳飴買って食べたら、口がベッタベタになった。飴って少しずつ食べるから美味しいんだな、勉強になったわ。

仕事の方はまあまあ順調だ。前世でもやってたちょっとしたアクシデントを手持ちのカードで切り抜ける大喜利系ボードゲームを作ったら、TCGほどではないけどそれなりに売れた。とりあえずもうしばらくは金に困らなさそうだ。

 

 

俺は今回も出場するつもりはないので、ちょっと遅れて会場に着いた。いい感じの場所を取って本戦が始まるのをのんびりと待つばかりだ。

今回は……おー、強いのが増えてる。

悟空、優勝できるかな。

第一戦目は、ヤムチャと天津飯という鶴仙人の弟子との戦いだ。

鶴仙人……ああ、桃白白の兄の。レッドリボンの一件が落ち着いてから調べて知ったけど、亀仙人と双璧だったんだ。つーか天津飯、目が三個ある……今更か。

 

『では第一試合、ヤムチャ選手対天津飯選手、始めてください!』

 

強さはほぼ互角、いや、天津飯の方が若干上か?そんな予想が当たったか、格闘戦は天津飯が若干押してる。

格闘では埒があかないと察したヤムチャがかめはめ波を……おお、かめはめ波の使い手が増えている。そして天津飯はそれを跳ね返し、エネルギーは俺に向かって飛んできた。ので、最前列にいた俺が受け止めるハメになった。

あぶねえなー。手がちょっとビリビリするし。

砂埃と煙が収まった時には、すでに決着がついていた。空中に退避したヤムチャを天津飯が仕留めて決着。追撃で骨まで折ったのはやりすぎだと悟空たちが憤っていたのが印象的な試合だった。

 

 

『で……では第二試合を始めます。ジャッキー・チュン選手対男狼選手です!』

 

男狼は怒っていた。というのも、男狼は満月の夜に人間になれるのに、ジャッキー・チュンこと亀仙人が月を吹き飛ばしてしまったためにずーっと狼のままになってしまったかららしい。

へえ、サイヤ人以外にも満月で変化する種族がいるんだ。 

 

『第二試合、始めてください!』

 

その合図と共に始まった試合は、ジャッキー・チュンが圧倒していた。残等である。最終的にナイフを取り出していたが、その程度で覆る力量差ではない。そして代わりと言わんばかりに取り出された骨を追いかけて男狼は場外負けした。

なんて単純な。

そして男狼は、クリリンの頭を満月に見立てた催眠術で無事に人間になり、去って行った。

にしても、満月って催眠術で代用できるんだな。ブルーツ波が足りないときのあと一押しに催眠術、応用出来ないのかな……いや、俺で実験できるわけじゃないんだけど。あとよく考えれば、満月の代わりを用意するくらいならブルーツ波溜め込む装置開発した方が遥かに有用だわ。

 

『さて、次は第三試合を始めます!餃子選手対頭が満月のクリリン選手です!どうぞーっ!』

 

司会にネタにされてるし。

 

 

気を取り直して第三試合。餃子とクリリンの試合である。俺としてはもちろんクリリン応援派だ。

試合は、おおむねクリリンが優勢だ。しかし舞空術により決定打を与えられずにいる。

……そういえば、地球って気功波より舞空術の方がマイナーなのか……!?うわっ、今更ながら気づいたローカル性。今世の俺の滅んだ地元じゃ気功波より舞空術優先で覚えてたからなあ。新鮮だ……。

そんな感慨に耽っていたら、戦局はどどん波とかめはめ波の撃ち合いに移っていた。

に、しても。鶴仙人って本当に亀仙人の対となる存在なんだろうか?師匠としては亀仙人がよほど勝ってる気がする。スケベだけど。

 

「どどん……」

「か……め……は……め……」

 

この撃ち合い、クリリンが勝つな。

餃子は技は高いけど、技の使い方が下手だ。宙に浮いて好き勝手どどん波を撃っていた時だって、適当にクリリンに向かって撃つばかりで動きをある程度コントロールするという発想もなかった。

技ってのはつまり道具であって、素人が大剣を振り回していたところでナイフの達人には敵わない。技という武器に依存すれば、必ず足元を掬われる。

結果は予想通り。しかし舞空術を修めた餃子はフラフラしながらも闘技場に復帰した。

その後、餃子は超能力で勝負を仕掛けるものの算数で負けた。

……勉強、大事。

 

 

なんやかんやで第四試合。悟空の相手はパンプット?という選手。なんでも天下一武闘会以外の二つの大会で優勝して、さらにこの大会でも優勝して完全制覇を狙っているらしい。

うーん、多分無理。

ていうか今更だけど、悟空の尻尾がちゃんと生え変わっている。

パンプットは派手なパフォーマンスで場を沸かせるものの、悟空には完全に実力差を見切られており、三十秒どころか十秒も経たずに負けた。早え。

 

『こっこれは驚きました!このような展開になるとはいったい誰が予測できたでありましょうか!一撃です!ほんの一瞬のたった一撃で、なんとあのパンプット選手を仕留めてしまいました!』

 

一撃ではない。肘打ち三連打だった。早すぎて音が重なって一回しか撃ってないように見えただけだ。

 

 

割とテンポよく四回分の試合が消化された。ここまではほぼ予想通り、というか残等というか、順当な結果に思える。しかし、わからないのはここからだ。

天津飯は強い、悟空に匹敵する強さだ。そして力技は低くても戦闘力という概念で測れない卓越した技巧を持つ亀仙人、頭の回転や発想で一つ上をいくクリリン、言わずもがな悟空。

うーん、誰が勝ってもおかしくないな、ここからは。俺としちゃ、一番仲いいしサイヤ人贔屓なもんだし悟空に勝ってほしいところではあるが。別に亀仙人やクリリンを応援していない訳ではないけどな。

 

「……ん、」

 

パチリと、天津飯の三つ目と俺の両目が交錯した。睨まれる、というよりは興味の方が勝っているだろうか。少なくとも、準決勝を前にして観戦者に敵意を飛ばすアホではないらしい。

まあ、あのかめはめ波受け止めたの俺だしな。おおむねその辺だろう。

腹が減ったのでポップコーンをカプセルから出して頬張る。うーん、冷めても美味しいって最高だな。ジュースで喉を潤して、次は準決勝、天津飯とジャッキー・チュンこと亀仙人。

さて、どんな内容の試合になるだろうか?

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