まれびとの旅   作:サブレ.

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第二十六話

ここまでは比較的順当に進んできた天下一武闘会だけど、ここから先は展開が予測できない。さあどうなるだろうか。

ポップコーンを食べ終えて、次はリンゴを取り出して丸齧りしながら天津飯とジャッキーの試合の観戦態勢に入る。

 

『さあこれは面白い対決になってまいりました。前大会の優勝者であるジャッキー・チュン選手と、圧倒的な強さを見せる天津飯選手!まさに注目の一戦であります!』

 

つまりこれはまさしく、亀仙流vs鶴仙流の戦いであるというわけだ。ううん、楽しみ!

 

『では、はじめてくださいっ!』

 

先制したのは天津飯であり、その一撃を受け止めたことで攻防が始まった。実力はほぼ伯仲しているが、動体視力に優れている天津飯に多重残像拳が効かないのはジャッキーに不利か?見破られて壁に叩きつけられた。でも、ジャッキーもこの程度で戦意喪失するようなタマじゃない。

本気を出すために上着を脱いで、第二ラウンドの火蓋が切って落とされた。次もまた、天津飯から仕掛けるも、ジャッキーは猛攻を凌ぎ天津飯の両手首を掴むやそのまま鳩尾に蹴りを食らわせた。

おお、すげえ。たしかにどれだけ早くても腕が物理的に四本とかに増えなければ攻撃の手は増えないもんな。

 

『非常に激しい戦いが繰り広げられております、ジャッキー・チュン天津飯戦!勝敗の行方はまったくもって分かりません!』

「よっしゃいけ!頑張れ!」

 

亀仙人が負けるとは思ってないけど、不安要素があるとすれば鶴仙流の技の多彩さを天津飯はまだ発揮していないことだろうか。桃白白の素性を調べたときについでに詳しく調べといてよかった。

と、思っていたら、天津飯が太陽拳を繰り出してきた。まぶし。目眩しか、すごい使い勝手良さそうな技だ。俺も猫騙しで窮地をくぐり抜けたことが何回かある。

眩んだ視界が戻ってきた頃には、カウントダウンが半分くらい進んでいて、膝蹴りを食らったジャッキーがなんとか起き上がってきたところだった。実況がサングラスをかけていたお陰で状況は把握している。

 

「き……きさま、一体何者なんだ……!」

「お主、それほどの技をなぜ正しい道に使わぬのじゃ!なぜ悪に走る……技が泣いておるぞ!鶴仙人とは縁を切るのじゃ!安易な悪の道から逃げ出せ!」

 

会話になってない会話だが、そのやりとりで天津飯を動揺させるには十分だったらしい。技のキレが落ちた。まあ、本当に弟子のことを思ってるのは鶴仙人よりは亀仙人だよな。と、側から見ていて思ってしまう。

悪いことするより良いことして生きるのは、俺もなるべく心がけていることであるし。

自分の力を誇示するようにかめはめ波を再現してみせた天津飯を見て、ジャッキーは何を満足したのか自分から武闘台を降りてしまった。

これで天津飯の勝利である。

元々、クリリンと悟空を調子付かせないために出場していたんだし、なんとなく納得ではあるんだけど、少しビックリした。

……色んな意味で敵う気がしないな、亀仙人。

 

 

そんなこんなで次は悟空とクリリンの試合。

これ、どっちを応援すればいいのだろうか?俺としてはどちらかというと悟空派だけどクリリンに負けてほしいわけじゃないしな。

に、しても。二人ともちっちぇえ。かわいい。

この二人があんなバトル繰り広げるんだから、そりゃ会場のボルテージも上がるよ。ウリゴメもテンション上がってるしさ。

 

「二人とも頑張れよーっ!」

 

とりあえず両方とも応援しとけばいいか。

二人の攻防に熱中しつつ、面白いのは舞空術が使えないなりの空中戦だ。俺たちだと絶対こうはならないのが見ててすごく面白い。さっき満月と揶揄された頭で太陽の光を反射するのとか、かめはめ波で勢いつけて方向転換とか。

クリリンは悟空に思いっきり殴られても復帰したが、このまま真正面からやり合っても勝ち目がないことを察したらしい。尻尾を握る方向へと方針転換した。

でもな。悟飯じいちゃんに叱られたのに鍛えてない訳ないしな。俺の知ってるサイヤ人も尻尾ちゃんと鍛えてたし。

 

「悟空、お前そんなタマじゃないだろ!起きろ!」

 

声をかけた瞬間、悟空がぴょいと上体を起こしたかと思うと、クリリンを飛び越え尻尾を存分に動かして地面に叩きつけた。予想外の動きだったのか、クリリンは対処もできず地面に叩きつけられる。

 

「……ふはっ」

 

性格悪う。でも、なんか可笑しい。こいつもだんだん強かになって来たよな。誰に教わったんだか。

まあクリリンの罠に引っかかるあたりまだまだ素直なんだろうが。

しかし致命的ダメージにはならない。次に悟空は超高速で、並の動体視力では捉えられないほどのスピードで反復横跳びをしながら一気に近づいていく。クリリンは……見えてない。

そして、クリリンが吹っ飛ぶ程度の弱さで手刀を食らわせ場外に叩き落とした。

あっけない幕切とは言うが、中身は全くそうではない。悟空、性格の第一印象からは分かりづらいけどかなりテクニカルなタイプだな。亀仙人の弟子だからか?それとも本人の気質か?

 

『さあ皆さまいよいよ天下一の武道家が決まります!決勝戦ですーっ!』

「よっしゃ悟空!優勝決めろよ!!!」

 

ここは思いっきり悟空を応援させてもらうからな!

 

『第二十二回を迎えました天下一武闘会、世界各地より集まった達人、その数百八十二名。さらに予選を通過できた者たったの八名。そして試合はコマを進めついに決勝にまで残った二名!』

 

改めて見ると体格差すげえな。まあ、悟空はサイヤ人だし肉体の大きさそのものでハンデにはならないとは思うけど……うーんでも前回大会ではリーチの差で負けてたしなあ。

月齢は気にする必要がないとはいえ、さあどうなることか。

あっ、亀仙人が不法侵入して間近で観戦してる。瞬間移動使って俺も行こ。

 

「よ、クリリンに亀仙人」

「マレビトさんまで!」

「まあ硬いことを言うな、クリリン」

「亀仙人の言う通り。それより試合始まるぜ」

 

俺が不法侵入するの二回目だし。

それに、今更俺の侵入に気付く人なんていないだろ。なんたって、全ての目が悟空と天津飯の試合に集中してるんだから。

しん、と会場全体が静まり返る。

 

『始め!』

 

それを合図に、二人が同時に地を蹴った。

 

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