まれびとの旅   作:サブレ.

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第二十九話

ピッコロ大魔王の気を探ると、別方向へと向かっていた。とりあえずこっちに来るつもりはないらしい。しかし向かってる先は多分亀仙人とか天津飯の方向だから、そっちにフォローにもいかないと。

 

「悟空、よく聞け。おまえがこのまま戦ってもピッコロ大魔王には勝てない」

「……うん」

「それまでの被害は俺がなんとかする。だから、カリン塔かどっかで修行して、強くなってこい。で、ピッコロ大魔王ぶっ倒せ」

「にいちゃん、なんで戦わないんだ?」

「そういう約束をしたからだ。破るわけにはいかなくってな」

 

時間稼ぎなら条件に被らないからオッケーだろ。多分。前世の次元の向こうもいつか誰かが敵を倒すための大いなる時間稼ぎって言ってたから。いい言葉だよねあれ。

で、どうやって行こう?走ってもいいけど……とりあえず気を探ってヤジロベーを探す。おっいた。案外近いな。一気に走って首ねっこを掴む。

 

「うわあっ!」

「ヤジロベー、悟空の運搬頼む!」

「俺かよ!お前が連れてけばいいだろ!」

「まあまあ、仙豆やっからさ」

 

そんな感じで悟空からドラゴンボール、レーダーを預かって、カリン塔までの移動をヤジロベーに任せる。とりあえず主戦力になりうる悟空の修業(強化イベント)はこれでよし、次は亀仙人たちの所だな。

 

+++++

 

ドラゴンレーダーの反応を元に瞬間移動した先では亀仙人たちがドラゴンボールを集めていた。今のところ、俺の預かったやつと亀仙人のやつ、合わせて七個。……ん、七個?

 

「マレビト!悟空は無事か!?」

「大丈夫、生きてるし元気だ。そこは確認した。ただ今の強さだとピッコロ大魔王に勝てないから修業してこいってカリン塔に行かせたところ」

「そ、そんなに強いのか……ピッコロ大魔王は」

「マレビトでも勝てそうにないのか?」

「勝てるんじゃね?だけど俺、諸事情により今回不参加。ピッコロ大魔王とは戦わない」

「な……!?」

「その代わりと言っちゃなんだけど、ドラゴンボールこれで七個だわ」

「な、なんと!」

 

亀仙人か五個、俺が二個。これで願いを叶える権利は俺たちが握ったことになる。

 

「じゃあこれでピッコロ大魔王を消してもらうよう頼めば……!」

「いや、クリリンたちを復活させるのに必要だろ」

「あ、そっか……」

「少なくとも、ピッコロ大魔王はこのボールを狙ってくるじゃろうな」

「じゃあ囮役やる。俺ならとりあえず殺されないし、被害規模減らすのにちょうどいい」

「ならば、策を考えねば……」

 

そうして話し合った結果、ピッコロ大魔王の狙いを一つに絞るためドラゴンボールはあえてしばらく使わずに、俺を囮に魔封波で封印を狙うという方針で決まった。

 

 

しばらくして、頭上に飛行機がホバリングした。上にいるのがピッコロ大魔王かー。そういや初めて顔見るな。どんなやつなんだろ。

 

「……鬼さんこちら、手のなる方へ」

 

パンパン拍手して煽ってみる。と、すうっと音もなく一番大きい気が降りてきた。こいつが例のピッコロ大魔王というやつか。シワだらけの緑色の肌、尖った耳、長い舌、二本の触覚………………

 

「な……」

「ほう……わしを鬼だと言うか。面白い小僧だ」

 

な……ナメック星人だーーー!!!

えっなんで!?あとナメック星人、個体差あるとはいえ割と穏やかな気質してなかったっけ!?俺の唯一の知り合いのナメック星人、もうちょっとどころじゃなく穏やかというか精神がサイヤ人とは比べ物にならないくらい成熟してた気がするんだが!!!

ん?ちょっと待てよ?神様のお使いのポポが接触してきたってことはこいつも神様関係者ってことか。

えーっと、つまり?

ここの神様、ナメック星人?そしてドラゴンボールがある星のナメック星と地球にはナメック星人がいる訳だから……

 

「ま、いいや」

 

あとで考えよう。今やることじゃねえ。

 

「とりあえずさ、地球征服やめてくれねえか。俺が言えた義理じゃないけど」

 

俺がやるのは会話の引き伸ばし。と、興味の対象をピッコロ大魔王に引きつけること。気はあえて『まあまあやるけど敵じゃないな』って判断できるくらいに抑える。

準備は……おっ、整った?

 

「ふん、このわしに物申すか」

「何事も話し合って決まるならそれが一番だろ。そんな上手くいくわけないって分かっててもさあ」

「身の程知らずめ……!」

「そうでもないと思うが。じゃ、あとよろしく!」

 

さっと避けると同時に、ピッコロ大魔王と亀仙人の視線が通る。背後にはお札が貼られた電子ジャーが用意されていて……だからなんで電子ジャーなんだろう。

 

「でっ、電子ジャー!まさか……!」

「ゆくぞ!その昔武泰斗様がきさまを電子ジャーに封じ込め魔の手から世界を救った技……!魔封波じゃっ!」

 

放たれた力がピッコロ大魔王を捉えた。ピッコロ大魔王はそれはそれは恐れ慄いた表情をしていて、どんだけトラウマになったんだと思わざるを得ない。ペリカンみたいなプテラノドンみたいな部下っぽい魔族はなんとなく察したようだ。それでいて、どことなく余裕が……

 

「……んあ?」

 

あ、やべえ。失敗するなこれ。

電子ジャー、小瓶とかよりデカくて狙いつけやすいんだけど、それは向こうも同じってことか。そりゃ上からホバーしてたらピッコロ大魔王の視線遮ってても見えるし、なんか準備してたなら対策するわな。ピッコロ大魔王に意識取られすぎた。

散々シミュレーションした位置から、電子ジャー微妙に動いてる。音がないってことは、指向性の電磁石でも使ったか?それくらいなら作れるだろうな、ホイポイカプセル存在してるくらいだし。

この場合、その数ミリが命取りなのだから恐ろしい。

案の定、魔封波は外れた。力尽きかける亀仙人を大至急回収、気を送り込んで応急処置をする。なんとか致命傷で済んだな、ギリ生きてる。ただこの状況、ICUにいる老人状態なので気を送るのをやめた瞬間たぶん死ぬ。

 

「はーっはっはっは!バカめ!無駄死にしおった!死におったぞバカめーっ!」

「死んでねえけど!?」

 

確かに手を離した瞬間あの世行きそうなくらい死にかけだけどさあ!

 

「さて、ドラゴンボールを持っているのはきさまか」

「その通り」

「そうか、ならば……」

「!餃子、逃げろ!」

 

俺は亀仙人から手が物理的に離せない。天津飯の言葉に逃げ出そうとした餃子が、ピッコロ大魔王に捕まった。

……なるほど、人質ね。

 

「ドラゴンボールを渡せ。さもなくばこいつを殺す」

「……聞くけどさ、ドラゴンボール使って何すんの?身長でも伸ばすのか?」

「永遠の若さだ。若返り、かつてのすばらしき力を取り戻す!」

「そうか。はい」

 

持ってたドラゴンボール七個を全部その辺に放り投げる。それに気を取られた瞬間を見て、死にかけの亀仙人、ピッコロ大魔王に捕まってた餃子、あとやる気になってた天津飯を気絶させて回収、三人まとめて抱える。

 

「またあとで会おうぜ」

 

言い残して瞬間移動でカメハウスへ移動。はー、ぶった斬れないのも蹴り飛ばせないのも腹立つなこれ。

とりあえず一時撤退だ。地球征服なんぞ成功できると思うなよ、ピッコロ大魔王。

 

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