まれびとの旅   作:サブレ.

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第三十話

「ただいまブルマ。突然だけどなんか良さげな延命装置ある?冷凍保存でもよし」

「ええ!?作れないことはないけどどうしたの!?」

「ちょっと亀仙人がな。預けていい?」

「待ってて!」

 

ブルマがすっ飛んで行った。しばらく待って死体を保存しておく装置を急遽改造した延命装置ができたのでとりあえず亀仙人を入れておく。多めに気を分けておいたし一日もあれば回復するだろ、多分だけど。

ヤムチャは亀仙人優先したせいで玄関先に投げ出してしまった天津飯と餃子に駆け寄っていた。なんかすまん。

 

「て、天津飯に餃子……こいつらもやられたのか!?」

「いや、こっちは俺がやった」

「は!?」

「今ピッコロ大魔王に飛びかかっても無駄死にだろ、悟空でさえ修業中なのに。じゃあ二人任せた!」

「アンタはどうするの!?」

「悟空が戻ってくるまで時間稼ぎ!」

 

そう何日もかからないはずだ。あいつサイヤ人だし。

とりあえずあいつの気を探る。ピッコロ大魔王は本当に若返ったらしい、気が大きくなっているのを感じる。瞬間移動して……今回めっちゃ瞬間移動の大盤振る舞いしてる気がすんな。

とりあえず少し離れた場所に移動して……ここ国王の宮殿じゃん。何やってんだピッコロ大魔王は。

近くの兵士から帽子を拝借して、万が一にもテレビカメラに映らないよう目深にかぶる。背中の剣、ヨシ。

中を移動するのもタイムロスなので空を飛んで、ピッコロ大魔王のいる場所で壁を蹴り壊して殴り込んだ。

 

「よおさっきぶり」

「ふん、キサマか。今更何をしにきた?」

「ただお前を倒す者を待ってるだけだよ」

「ピッコロ大魔王さまがそんなに恐ろしいか?」

「お前、嫌いな言葉が平和とか正義とかそういうタイプだろ?俺そういうの好きだから」

 

あっ、ホバーで国王逃げ出した。よしよし。兵士たちも逃げてろ、と手で合図を出したら死んでない奴はほうほうになりながらも逃げ出した。よし、ドラゴンボールで復活できるといっても死なないに越したことはないからな。

 

「邪魔をするのか?」

「するね。ドラゴンボールで蘇るって言っても、人は死なない方がいいだろ?何十時間でも嫌がらせしてやるよ」

「神龍はおれさまがすでに殺した」

「は?」

 

えっ。

つまり生き返らせるためにはナメック星まで行ってドラゴンボール借りなきゃいけないの?

めんどくせっ。

 

「怒った。八つ当たりするわ」

「ほざけ!」

 

 

そうして始まった戦いは、一晩中続いた。

まあ戦いっていっても、俺がピッコロ大魔王の攻撃をひたすら避けるか受け止めて、逃げようとしたら瓦礫ぶつけたりして足止めしただけなんだけど。

ピッコロ大魔王、めっちゃイライラしておる。当たり前だが。そうして一日経過して、夜が更けて朝日が昇って。

 

「一晩経ったな。まだやるか?」

 

建物はもうぐっちゃぐちゃだ。でも被害を最低限に抑えた結果なので勘弁してほしい。建物ならまた建てられるしな。

さて、悟空の方はと……おっ、強くなってこっち来てるな。なら、俺の仕事はもう終わりだ。

首根っこを掴んで、せえの、で郊外の方にぶん投げる。壁と雲を切り裂いてあっちの方までひとっ飛びしていく。

なんか既視感……あっバイキンマンだこれ。

これで街の被害は出ないだろうが、念のため俺もそっちに向かうことにする。

 

「筋斗雲!」

 

もう急ぐ必要はないので、筋斗雲を呼び出して乗り込んだ。こういうちまちました気の節約は大事。今回の瞬間移動連発みたいな時に備えてな。

ひゅうんっと飛んでいけば、ピッコロ大魔王と悟空が対峙していた。おおっ、悟空めっちゃ強くなってる。これなら俺がやきもきしなくても勝てる……かな?ちょっと微妙だな。

でもまあいけるだろ。ピッコロ大魔王、俺と夜通し遊んでたせいでまあまあ体力消耗してるし。

 

「悟空ー!に、マレビトか!?」

「よ、天津飯」

「なんだあの戦いは……!それにピッコロ大魔王と戦ってたのはお前か!?」

「あれ、やっぱりテレビかなんかでやってた?」

「ああ」

 

マジか。帽子被っといてよかった。ジングル村に行ったときに買った飛行帽、今度から外にいる時はずっと被ってよう。

駆けつけた天津飯から思いがけない情報提供を受けつつ、俺は悟空とピッコロ大魔王の戦闘の観戦に入る。

に、しても。見れば見るほどナメック星人だ。

そういや亀仙人が、何歳だっけ?で、若い頃にピッコロ大魔王がヒントになりそうな気がしないでもない。

が、今考えることじゃないし、そもそも前提知識が少なすぎて考えても何にもならない。

 

「マレビト……なぜ、お前はピッコロ大魔王を倒さなかった?お前は今の俺や悟空、ピッコロ大魔王よりはるかに強い……」

「ん?約束したからだよ」

「誰とだ」

「カミサマ。多分さ、カミサマにも事情があるんだよ」

 

具体的な話は知らない。だけどどの星でも、えらい人は俺の対応に困り果ててた。率直に「出てってくれ」って言われたこともあれば、文字通り何が起きても放っておかれたこともある。そう考えると、この星の神様はすごく優しい。

 

「まあ、俺にも色々事情ってやつがあってさ。俺はその事情の許す範囲で、なるべく平和がいいなって思ってるだけだよ」

 

悟空に戦いを委託しなければならないのなら、その下準備も、アフターフォローも、全力で取り組む所存である。戦いは、殴り合うことだけじゃないのだ。

戦いは、悟空がやや優勢だ。油断は禁物とはいえ、このままでは悟空が勝利するだろう。最も当人達はそんな分析をしている余裕なんてないだろうけど。

そして、もうしばらく続いた激戦の末。

悟空は満身創痍となりながらもピッコロ大魔王を撃破して、ピッコロ大魔王は口からタマゴをひとつだけ産んで、爆散した。

空中で力尽きた悟空を筋斗雲で移動して受け止める。あとから、ヤムチャたちも駆けつけてきた。とりあえず如意棒を拾っておく。

 

「おつかれさん」

「へへへ。にいちゃん、オラちゃんと強くなってきたぞ」

「うん、見てたぞ。やっぱりお前はすごいな」

 

まずはカリン塔で怪我治して、それからドラゴンボールの相談かな。ピッコロ大魔王が神龍殺したからなあ。

あ、でも俺カリン塔あんまり登らない方がいいんだった。

 

「ヤジロベー悟空の運搬よろしく。後で追いつくから」

「またかよ」

「また」

 

渋々ながら了承してくれたヤジロベーに後を任せる。一旦カメハウスに戻って亀仙人に状況説明して、それからカリン塔に合流するか。

なにはともあれ、とりあえず一件落着でいいだろう。

ピッコロ大魔王が産み落としたタマゴの存在はともかくとして。

 

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