まれびとの旅   作:サブレ.

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第三十一話

「おはよー、亀仙人。ピッコロ大魔王は悟空が倒したぞ。とりあえずメデタシメデタシになった」

 

そんな報告を、カメハウスで休んでついさっき復活したばかりの亀仙人にする。ついでに一晩中瓦礫の中で時間稼ぎして埃っぽいのでちょっとだけシャワー借りた。

あー、さっぱりするな。

シャワーから上がると、ヤムチャ天津飯ブルマも勢揃いしていた。こんだけ集まると賑やかだなあ。

 

「孫くんは?」

「カリン塔じゃね?今から行ってくるよ」

「忙しない奴じゃのう。食事もしていかんのか」

「いやー、悟空待たせてるし」

 

カリン塔で合流するかって言っちゃったしな。シャワーもらっただけありがたい。立てかけておいた如意棒持ってドアを開ける。

ゴン!と硬質かつ派手な音がした。

 

「あでっ!」

「あっ、悪い」

 

カメハウスまで駆けつけた悟空の額にドアが派手にぶつかっていた。若干ドアの方が負けているのは気のせいではあるまい。

 

「にいちゃん!如意棒!」

「これか?使うのか」

「そうそう!ありがとー!」

「あっこら待て俺も行くから!という訳で邪魔した!シャワーありがと!おーい筋斗雲!」

 

慌てて筋斗雲呼び出して乗り込む。限界まで飛ばしても悟空の背中が見えてこない。どんだけ飛ばしてるんだアイツは!

慌ててカリン塔まで行くと、悟空と合わせてヤジロベーとカリン様も揃っていた。

 

「や、悟空が世話になったな」

「なに、大したことではない」

「如意棒使って何するんだ?」

「神様に会いに行くのじゃよ」

「ドラゴンボールを直してもらいに行くんだ!」

「ふうん」

 

直せるんだ……。

四人で丸っこい屋根に登って真ん中の穴に如意棒を差し込む。これで如意棒が伸びていくのに任せれば神様のいる神殿まで辿り着ける、らしい。悟空はカリン様から資格者の証である鈴を預かって、ポケットにしまった。

 

「マレビトはいつでも来て構わないそうじゃ」

「えっなんで?」

「知らぬ。わしも神様からそう言われたにすぎん」

「お前、地球の神様と知り合いなのか?」

「いや全然」

 

俺の知らないところで謎に業務が引き継がれておる。サイバイマン一族といい、ちょっとなんか変だよこの地球。

まあ、俺は悟空の後について飛んでいくか。ちょっと地球の神様に興味がある。

 

「じゃ、行ってきます」

 

悟空と一緒に空を昇っていく。しばし上に上がると、空中に浮かぶ庭園みたいなのが見えた。一旦悟空と別れて、直接その空間を上から覗き込んでみる。

丸い形をしていた。半球体というやつだ。建物と広場があるから、庭園という例えも間違いではないっぽい?

そして、悟空を待ち受けていたのは。

 

「お、おす」

「おす」

「お、おめえがカミサマってやつか?」

「ちがう。わたしミスターポポ。神様の付き人」

 

俺に神様からの伝言を持ってきたミスターポポが待っていた。なるほど、ここが神様のいる場所ってのは本当らしい。

空を飛ぶのをやめてふわりと着地。悟空と二人並んでミスターポポの前に立った。あのときとなにも変わっていない。

……改めて観察するに、ミスターポポ、強くね?やべえよ超強いよこの人。逆立ちしても勝てねえ。

 

「久しぶりだな、ミスターポポ」

「稀人、久しぶり。お願い聞いてくれてありがとう。神様よろこんでる」

「そりゃ何よりだ」

「にいちゃん、知ってるのか?」

「一回だけ会ったことあるからな。それで、肝心要の神様は?」

「もうすぐ来る」

 

ミスターポポは俺たちを神殿の前に案内した。そこから顔を覗かせたのは、『神』という服を着たしわしわの、ピッコロ大魔王によく似た、しかし雰囲気は随分と温和なナメック星人だった。ピッコロ大魔王と勘違いして飛びかかりそうになる悟空の首根っこを引っ掴んで静止しながら、思わずまじまじと見てしまう。

 

「どうどう、おちつけ悟空」

「このヤロー!まだ生きてたのかピッコロ!」

「落ち着け言ってるだろ」

「ふぎゃっ!」

 

額にデコピンをして落ち着かせる。神様はカリンから聞いていないのか、と呟いていた。

引き継ぎィ。

 

 

そうして神様が語って曰く。

ピッコロ大魔王と神様はもともと一つの存在であり、天才武道家であったピッコロは悟空のように単身先代神様の元へと乗り込んだらしい。

そしてもともと神の後継者を探していた先代の元に弟子入りしたが、先代は神様の心の奥に潜む悪を見抜いており、その悪を追い出したのがピッコロ大魔王なのだという。悪を追い出した神様を見て、先代は神様の座を譲ったのだとか。

オメーのせいか。

 

「ピッコロ大魔王をおまえは倒してくれた……礼の意味でも頼みを聞いてやろう」

「それは頼もしい」

「ただし、孫悟空が我々の元に留まり、もう少し修業をする気があるならだが……」

「よろこんで修業するさ!オラの方から頼みてえくらいだよ!」

「マレビト、どうする?」

「俺は遠慮するわ。やり方とか違うだろうし、俺が長居するのあんまり良くないだろ」

「うん」

「自分から言い出しといてなんだけど、はっきり肯定するなよ……」

 

なぜ聞いた。

本音としては縁があればポポとも手合わせしてみたいけどな……いやポポ絶対強いわ。単純な戦闘力換算だと神様より強いわ。

ある意味心強いけどなんでだろう。

そんなこんなで、頼みを聞くのは一回限りということでドラゴンボールは無事に復活した。実際に生き返らせるのはヤムチャや天津飯に任せよう。

 

「ところで、悟空の修業が条件な理由はあるのか」

「いくつかあるが……もっとも大きいのはピッコロが生きており、三年後の天下一武闘会で孫悟空の命を狙ってくるだろうことだ」

「!生きてるのか」

「ああ。やつは自分が爆発する寸前に自分の分身を残したのだ」

「あー、あれのことか。じゃあ、今回も俺は手出ししない方がいいか?」

「そうだな。これは我々の問題だ。私やミスターポポは手出しできないが、稀人であるおまえの手を借りることもできない」

 

ふうん。大変なんだな、神様ってやつも。

 

「そういうわけだ。やつを倒し真の平和を手に入れられるのはおまえだけだ、よいな」

「わ、わかった……」

「かならず倒してくれ!」

「よーし!オラやって見せる!……の前にションベンしてえんだけど、便所あるか?」

 

あっ、ポポと神様がひっくり返った。

とりあえず近くの便所を教えられたので、悟空は建物の中へ。あとは俺と神様とポポだけが残される。

 

「じゃ、悟空のことは任せた」

「ああ、任されよう」

「三年後なー」

 

ヒョイっと飛び降りて、カリン様のいるところを過ぎたあたりで筋斗雲に受け止めてもらう。

修業か……修業かあ。

病気のことがあれど、ちょっと興味あるんだよなあ。あと今から鍛えるってことを知っておかないと、いざ強さが必要になったときに、うまく鍛えられなくて困る気がする。

 

……やってみるか、俺も。

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