まれびとの旅   作:サブレ.

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第三十三話

三年後。

ちょっとした思いつきが思いのほか上手くいき、若干ホクホクしながら天下一武闘会当日を迎えた。この日のために仕事の調整もバッチリである。頑張った!

 

「おはよう、マレビトくん」

「ブルマおはよう、久しぶりだな」

 

大雨の中だが、それもまた一興。

雨傘をさして約束していたブルマと合流。亀仙人とランチとも会って一気に賑やかになった。ヤムチャやクリリンは修業の旅に出たらしい。俺は自分の家の近くでやってた。強さじゃなくて、メンタル面?で。

具体的にはアスラという肉体の本来の持ち主と色々話せたのがでかかった。大雑把だけど、ちょっとした……否、なかなか大きな目標もできた。

その辺りの成果が見えるか見えないかは今後、具体的にはフリーザと戦うだろう時にかかってくるだろうしなあ。

思考がそれた。

 

 

「おっす!みんなも元気そうだ!」

「やー、ひさしぶ、悟空かおまえ!?」

 

聞き覚えのある声がして振り向けば、見覚えのない、しかしある意味見慣れた男が立ってた。

でかっ。

サイヤ人は少ない時間でものすごい身長伸びるけど、改めて目撃すると腹立つな。

 

「ま……ま……」

「まさか……」

「ご……悟空……か!?」

「にいちゃん久しぶりだな」

「お前がデカくなりすぎなんだよ!」

 

頭に巻いたターバンを取ると、特徴的な髪の毛が見えた。うん、まごうことなき孫悟空である。ふざけんなよでっかくなりやがって。とうとう俺の身長超えたなこいつ!!!

悟空自身は成長に無頓着なのか、にいちゃんたち縮んだ?と聞いてくる始末。うるせー異世界の魂が入ったせいで成長期途中で止まった俺に対する嫌味か。

クリリンやヤムチャ、天津飯たちも合流したところで、雨が止んだ。土砂降りの中の観戦という大変なことにはならなさそうでよかった。

 

「じゃあ今回も俺は観戦してるから〜」

「じゃあなにいちゃん!」

「マレビトもたまには出ればいいのにな」

「ふはは、断る」

 

そんなやり取りをして、途中の売店でパンとポップコーンとフランクフルトを購入。せっかくなのでプーアルやウーロンにも色々奢った。

 

「なあマレビト、俺、あのアニメ見たんだけどよ」

「やっぱ見た?」

「おまえ正気か?」

「仕事なんだから正気だよ」

 

トレーディングカードゲームのアニメが放送されることになったので(一年だけだけど)、ピッコロ大魔王が復活してちょっと色々あったので、ピッコロ大魔王モデルのキャラクター出してみた。具体的には黒幕がクローン的な分身という後継者を生み出して、それが葛藤の末父である黒幕を裏切り主人公陣営について最終的に散っていく、という顛末で。

なんでカードゲームで人が散るかって?そういうもんじゃないのカードゲームアニメって。

アイス食べながらそんな感じの話をだらだらとしていたら、予選が終わって本戦のお時間だ。

やっぱこの瞬間が好きなんだよな。

 

 

本戦出場者は八人。天津飯、なんかメカになってる桃白白、匿名希望、孫悟空、マジュニア、クリリン、ヤムチャ、シェン。

……シェンの気配、ただの人間ではない感じだ。なんかあるな。ヤムチャはくじ運が悪かった。

天津飯と桃白白の戦いはまあ安泰だろう。天津飯の方がずっと強い。匿名希望と孫悟空は、まあこれも悟空の勝ちかな。マジュニアは確実にピッコロ大魔王で、クリリンには厳しいとなると。

うん、一回戦はおおむね予想できる。

マジュニアというかピッコロ、父親よりだいぶ強くなってるからな。

 

「あっ」

 

屋根の上にピッコロいるじゃん。俺もあそこで観戦しよ。

 

「悪い、知り合いいたからそっちで見てくるわ」

「そうなの?」

「気をつけろよー」

 

そんな感じで一旦別れて、人気のないところまで移動してから瞬間移動。屋根の上はこれから試合を観戦しようとする人の視界には映らない。

 

「よ」

「ふん」

 

屋根の上に腰掛けたところで試合が始まった。桃白白が余裕たっぷりに天津飯に飛び掛かるものの、トップスピードは歴然で、もはや試合にもならない。サイボーグ化の腕が悪かったのか……多分ぼったくられたな。そこだけは同情する。

天津飯はあくまで兄弟子として丁寧に、降参を進めている。昔は尊敬していたというのは間違いではないらしい。

追い詰められた桃白白は、腕に仕込んだ武器を取り出して、反則負けも厭わず天津飯を抹殺しようとしてきたが、それでも実力差は覆ることなくあっさりと天津飯の勝利が決まった。

いやあ、スーパーどどん波をかき消すところはカッコよかった。

お、次は悟空じゃん。

 

「悟空頑張れー!」

 

悟空が俺の声に気づいて、屋根を見上げた。ピッコロと並んでる俺を見てびっくりした後、不敵に笑って手を上げたので、俺も右手の人差し指を太陽に向けて返す。

次の試合は悟空と匿名希望さん。匿名希望さんはなんか不機嫌である。あいつなんかしたのかな。約束忘れたとか、ずっと待ってたとか言ってるけど。

試合が始まってから悟空ずっとわたわたしてるし。

 

「な、なんて約束したんだ!?」

「おらのこと、お嫁にもらってくれるって!」

「はいィ!?」

 

悟空のやつ、いつのまにとんでもねえ約束してんな。

てかそりゃ怒るわ。乙女の心を弄んだってなるわ。でもいつそんな約束したんだろ。少なくとも神様のもとで修業してた三年ではないだろう。そんな暇ないし。

 

「おい」

「ん、なに?」

「オヨメとはなんだ」

「にいちゃん、オヨメってなんだっ!?教えてくれっ!」

 

このタイミングでこの質問被る?

 

「嫁にもらうってのは結婚するってことだ。人生を一緒に過ごす相方になるんだよ」

 

あとの補足説明はクリリンとヤムチャが引き継いでくれた。助かった。

一応その辺の理解はある悟空は戸惑いつつ匿名希望さんの話に一定の理解を示した。

 

「……さっぱりわからん」

 

こっちはよく分かってないらしい。ナメック星人単体生殖だしな。

 

「安心しろ、俺もそこまで分かってない」

「嘘をつけ」

「覚えとけ、夫婦のことは夫婦にしかわかんないんだよ、ぶっちゃけ俺の言ったことも一般論だから」

 

昔俺と一緒に旅してた奴とか、前世の両親とか、アスラと今世の俺の両親とか、ブリーフ博士とパンチー夫妻もそうだな。あと前の世界における俺の唯一の推しも含むのかな。

結局、連れ合いというのは彼らにしか分からない。

……よく考えたらピッコロの疑問の答えにはなってないな。まあいっか。俺も洒落た答えを出せるわけじゃないし。

衝撃波だけで試合に勝利した悟空を見下ろす。つーかお前チチかよ。牛魔王懐かしいなオイ。絶対パンパンが理由だろうが責任取れ悟空。

 

「ああでも、ひとつだけ分かるぞ」

「なんだ」

 

結婚すっか!の一言であっという間に収まった場を見下ろしながら、若干遠い目になる。

 

「悟空は、チチの尻にしかれる」

「は?」

 

サイヤ人は気の強い女しかいない、という言葉を思い出す。

確かに、アスラの母親も気が強かったな……。

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