まれびとの旅   作:サブレ.

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第三十四話

『第三試合を始めたいと思います……!』

「いってらっしゃい。クリリン頑張れよっ!」

 

技の多彩さで言えばかなりのものがあるのがクリリンなので、この一戦も非常に楽しみだ。

買ってきたオレンジジュースにストローを挿し込んで咥える。冷たいもので落ち着こう。

ピッコロ、今大会の名前はマジュニアは、上からふわっと着地する。

試合開始。先に仕掛けたのはクリリンだ。放った二つの気弾は、ジャンプで避けたピッコロにも追随する。慌てて目からビームで打ち消すもそれが隙となり死角から接近したクリリンの手痛い一撃をもらった。

目からビーム、両手が空くのがいいけど視界が限定されるのが地味に痛いな……。鍔迫り合いとか力比べのプラスアルファぐらいにしないと逆にこっちが不利になる。俺には向いてないな。

あ、オレンジジュース無くなった。

その後も、ピッコロとクリリンの競り合いは続く。全力を出しているクリリンに対してまだ余力のあるピッコロの方が有利なのは変わりないが、それでも見応えたっぷりだ。

最終的には、腕を伸ばすという奇策に残像拳を重ねたピッコロが一手上回って勝利した。

 

「へへへ……だめだ。まいった」

 

いやあすごい試合だった。全力で拍手していると、ピッコロが俺の元へと戻ってきた。疲れは見られない。

 

「おかえりー」

「きさまの言ったとおりだ……そうたやすく、この世をおれ様のものにはできないらしい」

「あっはっは」

 

この世にはまだまだ強い奴がいる……と思うと真っ先にフリーザの顔が浮かぶのどうにかしたい。もっと他にいるだろ。

下ではシェン選手とヤムチャの戦いが始まっていた。技のキレが増しているヤムチャもさすがだが、やはり一歩上手なのはシェン選手だろうか。

 

「マレビト。きさまは何故大会に出ない?」

「んー、性格的に向いてないと思うんだ俺。あんな感じで全力で戦って勝ったり負けたりわいわいするのは好きだよ?けどそういうのは、武闘台じゃなくてテーブルの上でやる方が好きなんだよ。それに本気で勝とうとすると、こう……性格悪いことになる」

 

要するに、手段を選ばないせいで盛り上がらない。空気が読めないことになってしまう。

戦闘員にはなれても、選手にはなれないのだ、俺は。

 

「ふん、なるほど。つまり腰抜というわけか」

「プロポーズさせられたいのかお前は」

 

つーかボードゲームとかカードゲーム自体は本当に好きなんだよ。じゃないとゲームクリエイターなんて仕事してないから。

なんやかんやでシェン選手が勝利した。操気弾面白い技だなー、今度ヤムチャに教えてもらおう。

なんやかんで一回戦が順当に終了。次は天津飯と悟空の対戦だ。前回大会の決勝カードということで盛り上がりもひとしおである。次は勝てよ、悟空。

この対戦カードはピッコロもまた興味津々と言った様子だ。

 

『はじめてくださいっ!』

 

審判の掛け声を合図に、悟空と天津飯が激突した。前回大会と違うのは急成長した悟空の身長だろうか。前までは挑戦する子供という構図が近かったのに、今回は同格の選手というイメージがつくのだから面白い。

スピードはどんどん上がり、一般人の目には捉えられない段階にまで到達する。あっ、この感覚懐かしい!具体的には天の道を往き総てを司る系男子が主人公のヒーロー番組だこれ!なるほど、現実で起こるときってこんな感じなんだ……いや、俺は目で追えてるけど。

そんな攻防も一旦断ち切られる。そして、スピードで敵わないと察した悟空が着込んでいたおもりを黙々と外し出した。

……なるほど?

 

「性格悪ぅ」

 

そんなことを口にするものの、多分笑ってるな俺。これがトップスピードじゃなかったのか、まだ悟空には上があるのか。 

そして、すべてのおもりを外した悟空と、なんやかんやで四人に分身した天津飯の勝負は、うっかり自分の力も四分の一にしてしまったことで天津飯ズがまとめて場外に吹き飛ばされて悟空の勝利となった。

 

 

とうとうピッコロとシェン選手の番だ。

予想というか直感というか、シェン選手は十中八九神様だろう。

 

「ピッコロ出番だけど」

「ああ」

「神様、倒す?」

 

ピッコロは無言だ。答えは返ってこない。

まあいいや、独り言みたいなもんだ。

 

「ピッコロさあ、諦めてないのはすごいけど、やっぱ世界征服向いてないと思うよ。性格が向いてない」

「……」

「先代ピッコロ大魔王はさ、そりゃー虐殺だの蹂躙だの世界征服だの、楽しそうにやる奴だったけど」

 

楽しいからやる、というのは行動原理として非常に納得できるものだ。

それと同じくらい、楽しくないからやらない、というのも。

 

「……きさまが何を的外れなことを考えているのかは知らんが」

「うん?」

「ここは天下一武道会だ、そしてやつは俺の対戦相手だ……全力を以ってうち倒さぬ理由がどこにある」

「ん」

 

確かに。

ごちゃごちゃ理屈をこねなくても、お互い選手として武闘台に上がるというのなら……やることは一つということか。

 

「それもそうだな!いってら!」

 

まったく的外れなことを言った。

多少時間がかかったものの、神様とピッコロ、今回の名前はマジュニアが対戦相手として向かい合う。

そして始まった攻防は、さすが元同一人物といったところだろうか?いや、ピッコロの方は元元同一人物くらいだけど。あとぼちぼち聞こえてくる会話ナメック語だな語感的に……うわー懐かしい。

そして、シェン選手の方はポケットから小さな小瓶を取り出した。アレは……あっ、電子ジャーの仲間だ。

 

「魔封波だっ!」

 

そうして、シェン選手はピッコロの封印に挑んだ。それは責めることはしない。ピッコロ、まだ世界征服諦めてないし、出自上見過ごすこともできないのだろう。

そして放たれた魔封波は、ピッコロによって返されて、逆に神様が封印されるという結末を迎えた。神様の抜けた男は素直にテンカウントの間倒れたままであり、見事ピッコロの勝利が確定する。

 

「マレビト!」

「うん?」

 

ピッコロに名前を呼ばれた。と思ったら小瓶が飛んでくる。危なげなくキャッチ。

 

「預かっていろ。試合中にジャマでもされたら敵わん」

「おう、わかった」

「にいちゃんが預かっててくれるなら、オラも文句はねえ」

 

ピッコロは屋根の上に登ることなく建物の奥へと消えて、逆に悟空が屋根へと上がってきた。

 

「お疲れ悟空。りんご食べる?」

「いいのか?」

「ほれ」

 

しゃくしゃくと小気味いい音が聞こえてくる。俺は割と食べる方だけどピッコロ水しか飲まないから、その辺はちょっと不満だったなあ。

 

「にいちゃん、あいつピッコロ大魔王か?」

「大魔王かどうかは微妙だけどそうだな」

「なんで、にいちゃんとピッコロ大魔王が仲良くしてるんだ?」

「悟空さ、赤ん坊のときにじいちゃんに拾われたって言ったじゃん」

「うん」

「うれしかった?」

「うん」

「同じことをしてみただけだよ」

「そうなんか」

 

地球征服を託された子供を、拾ったっていいじゃないか。

いつのまにかりんごは無くなっていて……こいつ芯まで食ってやがる。

さて、次はお待ちかね決勝である。さあテンション上げていこう!

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