まれびとの旅   作:サブレ.

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第四話

途中で恐竜に襲われそうになったブルマを助けたり、カプセルから家が出てきたり、電灯に悟空がビビったりしながら旅は進む。おい悟空、お前の故郷地球より技術発展してたろ、と思ったが悟空は頭を打って昔の記憶がないらしい。

なるほど、だから地球は無事だったのか。セーフセーフ。

…………けっこう紙一重だな。

 

 

そんなこんなで一日経過。

朝っぱらからブルマの下着を脱がすという暴挙をはたらいた悟空に鉄拳を下ろし、女性と男性の身体的特徴を説明した。あのな悟空、尻尾が生えてない俺とブルマの方が多数派なんだぞ。キレた(当たり前だ)ブルマに追い立てられるように一度家を出る。

まあ未来のネタバレすると、悟空のパンパン癖はもうしばらく続くんだけどな!

 

 

「にいちゃん、組手やろう!」

「断る。一人でやってろ」

「ケチ!」

「ケチで結構。大体朝はお互い一人で修行やってるだろ」

 

剣を抜く。手入れを怠らずにいたので、側面は鏡のように美しい。まずはゆっくりと、だんだんスピードを上げて素振り。決めた回数をこなしてから、次は決められた型をなぞる。これもゆっくりと、だんだんスピードを上げていく。意識が普段のものから、透き通るような戦闘用のものにシフトする。これは可能な限り自然にしなければならない。ボタンを押すように、スイッチを入れるように。これに手間取ると気を余分に消費してしまう。

 

「にいちゃん!」

「うん?」

 

入っていたスイッチを戻す。透き通っていた世界に色と質感が戻ってきた。振り返ると、悟空がでかい亀を持ち上げて持ってきた。

喋るのはとにかくなんでウミガメがいるんだ。

 

「す、すいません。塩水をいっぱいいただけませんか?できればワカメも添えて……」

「まあ聞いてみるか。おーいブルマ」

 

騒ぎを聞いて顔を覗かせたブルマに頼んで、塩水とリクエストしてきたワカメを添えて出した。ぜいたくなカメねーとはブルマの言葉だが全力で同意する。

そんな謙虚なのか厚かましいのか分からない助けたカメを海まで悟空と一緒に運ぶ。瞬間移動使えばすぐだが、あれ意外と気を消耗するので内心で即座に却下した。距離を考えると走った方が総合的な消耗は少ない。

 

「……なんでブルマが着いてきてんだ?」

「ひとりじゃこわいんだろ」

「……ホッホッホバカ言わないでよ、私の狙いはアンタの持ってるボールよ!」

「素直になりゃいいのに」

 

ブルマと亀を背負った悟空に背を向けて、ぽつりと呟いてから、剣を抜いて鎧を着込んだクマを一殺。あとで食べてもいいけど運ぶのめんどくせえな、地味に。

 

「あ、アンタ強いのね……」

「いや、そうでもない。俺より強いやつは普通にいる」

 

マジモンのヤバい奴らなんてそれこそ山のようにいる。今の俺が調子に乗っていいことなんて一つもない。

つーか親父とか昔の馴染み(たぶん故人)とか俺より遥かに強かったな。あいつに至っては最終的によく分からん進化を遂げてたきがする。なんだ瞬間移動に対応できる未来予知って。チートか!

そんなこんなでカメを海まで送り届けた。悟空とブルマはそのまま砂遊びに移行。俺も休憩、日向ぼっこで太陽からたっぷり気を充電する。気はどんだけあっても問題ないし。うつらうつらしてたら、なんか海からやってきた。助けたカメの背中に乗って海を渡ってやって来た謎の気配。この地球じゃまずお目にかかれないような強さだ。思わず跳ね起きた。

 

「ハロー!」

 

誰だ。

 

「グッドアフタヌーン」

 

どっちだよ。

 

「じいちゃん何者だ?」

「わしは亀仙人じゃ!」

 

うん見た目通りだな。

 

「助けてくれたのはどっちじゃ?」

「おぼっちゃんとそちらの少年の方です」

「俺もか」

「そうかそうか、ご苦労さんじゃったな。ではお礼にすてきなプレゼントをあげてしまおう」

 

悟空と並んで指されて思わず反応する。あれか、熊を倒したのが助けたカウントに含まれたのか。亀仙人はお礼に不死鳥で俺たちを不老不死にしようとしたが、うっかり不死鳥が食中毒で死んでたのを忘れてたらしい。

擬似不老不死の俺としては、正直不死鳥はいらん。永遠とか得てもいいことないぞ。

 

「ウーム、不死鳥を呼んで永遠の命をやろうとおもったのじゃが……よし!では代わりにコイツを……!来るんだ!筋斗雲よーっ!!!」

 

亀仙人が空に向かって叫ぶと、スイッと空をかき分け近づいて来る二つの金色の雲。器用に俺と亀仙人の前でブレーキをかけたそれは、文字通り“雲”だ。亀仙人のものより俺の前に止まった奴の方がやや大きい。

 

「筋斗雲に乗れば、意のままに空を飛ぶことができるのじゃ!」

「マジで!?」

「へーっ空を飛べるのか!」

「スゴいじゃろ!」

 

え、俺の力で空飛ばなくても良くなるのか!?最っ高だな筋斗雲!!!

 

「ただしこの筋斗雲は清い心を持っていないと乗ることはできん!つまり良い子でなくてはダメと言う訳じゃ」

 

お手本を見せようとした亀仙人が、スルッとすり抜けて地面に激突した。ダメじゃねえか。悟空は軽々と乗って楽しそうに空を滑空している。予想通り。

 

「にいちゃんは?乗らねえのか?」

「乗れっかなーどうだろうなー」

 

まあものは試しだ。出来なくても、自分の能力が欠けるわけじゃない。せーの、で飛び乗ってみると、ふわふわした、だけどたしかに安定感のある感触が俺を出迎えた。そっと手で雲を押してみると、反発が返ってくる。

 

「乗れた!!!」

「よかったなにいちゃん!」

 

嬉しくて、悟空と一緒になって海の上を飛び回った。いや、空飛ぶのって意外と気の消費の積み重ねが凄くてな……これでだいぶ楽になる。

 

「すごいやこれっ!!!どうもありがとうっ!!!」

「俺からもありがとう!!!すごく助かった!!!」

「ホッホッホ、あっぱれじゃ。その筋斗雲も喜んでおることじゃろうの、マレビトよ」

「あれ、俺名乗ったか?」

 

首を捻る。俺はあまり自分から名乗らないし、悟空は俺のことにいちゃん呼びするし。

まあ、どっかのタイミングでブルマが俺のことを呼んだんだろう。

亀仙人はブルマにセクハラをして帰って行った。なんだったんだあのエロオヤジ。……ドラゴンボールが手に入ったからよしとするか。

余談だが、ブルマは筋斗雲に乗れなかった。

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