まれびとの旅   作:サブレ.

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第四十話

一年が経った。

新技もとい界王拳のパクリ技も完成。病気のこともあるので気の消費量は極限まで抑えることに成功した。ここは素直に褒められていい部分だと思う。

ただ問題点が二つほど。

ひとつ目、基礎戦闘力ほぼ上がってない。いや、基礎を上げると気の消費量増えるからここは優先順位低めってのもあるけどさ。トータルで言うと基礎上げるよりパクリ界王拳使った方が気の消費少ないんだよ。少なくとも今回はこれでなんとかなりそうだから、基礎は後回しにした。単純に時間無かったのもある。あとでピッコロとか亀仙人あたりにガチで怒られそう。

ふたつ目、俺以外に使えない。俺のこのパクリ界王拳、イメージが前世のヒーローなせいか、『装甲を纏うイメージ』が必要なんだけど、この世界の武道家に一切理解されなかった。文化の違いってやつか。こればかりは仕方ない。

 

この一年で悟空(とラディッツ)との差がかなり開いた気がする。追い抜かれるときって一瞬なんだな。別に最強に拘ってる訳ではないし、いいんだけどさあ。

 

+++++

 

『にいちゃんっ!』

「!お、悟空か。いつのまにそんな技使えるようになったんだ?」

 

家で休んでたら、突然頭の中にテレパシー的な感じで悟空の声が響いてきた。ちょっとビビったけど、こんな感じの技使える種族とかいたなあ。

 

『いや、ちげえんだ。今は界王様の力を借りて心の中で話してる』

「あーなるほど。で、なんかあったか?多分悪い知らせだと思うけど」

『あ、ああ!サイヤ人が来るのが明日らしいんだ!』

「了解、こっちでも準備しておく。あと悟空、お前も多分隣にいる兄貴も俺もサイヤ人だからな」

 

改めてサイヤ人だらけだなこの場。なんで地球に数少ないサイヤ人の生き残りの半数以上が集結することになってるんだ。

 

「で、いつ頃こっち到着するんだ?」

『二日後』

「……は、えっと、え?」

 

間に合わねえじゃん!!!

ドラゴンボール使うか!?いや、ここは使う場面じゃない!えーっと、確か神様に教えてもらった蛇の道の位置関係が……

 

「とりあえず全力でこっち来い!尻尾の部分で待ってるから!あとラディッツいるな!?ちょっと変われ!」

『変わったぞ』

「まず悟空の面倒見てくれてありがとな、界王様にも言っといてくれ。俺は一旦皆んなにこのこと伝えて迎撃準備整えたあと、尻尾の部分で待機してる。着き次第瞬間移動で送る!」

『ああ!』

 

界王様のアホ!と言いたいけど俺も大して変わらないアホだから口に出せねえ。

テレパシーが途切れたことを確認して、まず筋斗雲を呼び出す。まず向かうのはブルマの家だ。確か、スカウターバラして研究してたはず。なら出来ることがあるはずだ。

 

「ブルマ!」

「きゃっ!マレビトくん!?」

「明日サイヤ人が来るらしい!だから頼みがあるんだが、スカウターの位置情報ハッキングかなんかで得られないか!?」

 

通信機能付きのスカウターは基本全てのフリーザ軍に支給されている。悟空たちの親世代も使っていたくらいだ、ほぼ確実に持っていると判断していいだろう。

 

「多分高速で移動してる筈だ、その着陸位置を割り出してくれれば奇襲できる!」

「分かったわ、やってやるわよ!」

「言っといてなんだけどさすがだな……俺はこれからピッコロたちを集めて迎撃体勢整えてから悟空たち送り迎えするから、分析終わったら端末に座標くれ!」

 

ラディッツがスカウターくれて良かった。ほんとに。

次は神様の神殿か。筋斗雲にカリン様宛に仙豆の準備を頼む手紙を走り書きして持たせた。使いっ走りみたいにしてごめん、筋斗雲。

その後、神殿まで瞬間移動。大まかに状況を説明してから、ピッコロに会いに行く。そういや悟飯を鍛えることにしたと言ってたな。何週間か前に会ったときはめちゃくちゃピッコロに懐いていたのが思い出される。

 

「よおピッコロに悟飯、久しぶり」

「マレビトさん!」

「マレビトか!」

「なんか明日、サイヤ人来るらしい。準備しとけ。場所の座標はあとで教えるから」

「なんだと!悟空はどうなった!?」

「間に合わないっぽいから俺が迎えに行く。それまで頼むわ。それと、悟飯」

 

しゃがみ込んで悟飯に目を合わせる。正直、俺としてはまだ小さい悟飯を戦場に連れて行くのは反対したい。

が、才能という点で、人間とのハーフという特異性で、フリーザ軍のサイヤ人……ナッパとベジータが悟飯に目をつける可能性がないとは言えない。目標を固定するためにも、守り切るためにも、戦場にいた方が都合がいい。

……というのは、俺らが戦力不足なせいでもあるが。

 

「大丈夫だ、なんとかするから」

 

というかなんとかしないとマジでチチと悟空に申し訳が立たん。悟空に恩を仇で返すような真似は絶対しないようにしないと。

似たようなことをクリリンや天津飯たちにも繰り返す。なぜか全員集まっただけで一仕事終えた気分だけど、これまだ序章ですらないからな。

 

「俺はこれから一旦離脱する。これがブルマに割り出してもらった到着予想時刻と場所な。どう活用するかは任せる。あと、カリン塔の下に住んでる」

「サイバイマン一族だろ?神様から話は聞いてる。一緒に戦ってくれるみたいだぜ」

「そうか。じゃああとまかせた!」

 

事前準備終わり!

瞬間移動で蛇の尻尾まで移動。本当なら界王星まで迎えに行ければいいんだけど、多分それあんまり良くないんだよなあ。

 

『おうい、マレビトや』

「あっ界王様か。悟空たちは今走ってるとこか?」

『そうじゃな。到着までもう少しかかるじゃろ』

「ありがと。で、なんか話でもあるのか?俺としたら聞きたいことがない訳じゃないんだが」

『何か聞きたい?』

「なんとなく推測はついてるけど答え合わせしたくて。俺の扱いって、神様連中から見てどうなってんの?」

 

俺は天国にも地獄にも行けない。神様からしたら迎え入れたくもない。そういう扱いをされる理由。

ただの仲間外れではないだろう。ただそれぞれ対応が違うあたり、明瞭な基準がある訳でもない。

しばらくの沈黙の後、頭の中に答えが降ってくる。

 

『お前さんの魂はな、治外法権なんじゃよ』

「あーなるほど……つまりあれか、『この世界の基準に当てはめちゃダメ』なわけね」

『魂そのものや肉体に違いはないがな。ワシらにとっては、この世界のルールにお前さんを当てはめることが“悪いこと”として認識しておる』

 

悪いことをしても地獄行きにできない。

良いことをしても天国行きにできない。

なぜなら、この世界の基準で俺の行いを評価することが、観念として悪だから。

できるからといってしてしまえば、それは神として正しい行いとは言えない。情が上回れば悪いことだとしても手を差し伸べるし、理性が上回れば俺を放逐するより他にない。

最も良いのは、関わらないこと。俺がどんな行動をしようと、一切の反応をせず、己の管轄から追い出すこと。

 

「……我ながらめんどくせえな俺の扱いって」

 

だからこそ、地球という、前世の俺の生まれ育った世界と同じ名前の星に拒絶されなくて良かったと思う……マジで悟空に頭上がらねえ。神様にも今度お礼言いに行こう。全部終わって生きてたらな。

 

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