まれびとの旅   作:サブレ.

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第四十六話

あと一日になったので、持ち出す荷物を整理する。

剣、顔を隠せるようにしたマント、ドラゴンレーダー、細々としたオーダーして作ってもらったセンサーをはじめとする道具類。そのうちいくつかは使用済みだ。

 

「なんだこれは」

「ブリーフ博士にお願いしたやつ。この前使ったんだけどさすがだわ、完璧だった」

「何に使うんだ?」

 

クリリンが小さいUSBメモリが刺さった通信機を手にして首を傾げた。ラディッツから提供を受けたスカウターを元にしたやつである。いやあこれ、ラディッツのスカウターとブリーフ博士がいなかったら無理だったなあ。

 

「端的に言えば、スカウターを故障させるもの。そう!コンピュータウイルス!」

「はあ!?」

「フリーザ軍って結構規模が大きくて、装備も規格統一されてるんだよね。それはつまり、脆弱性も共通してるんだ。だから、ラディッツのスカウターの通信機能を解析してもらって、あらかじめフリーザ軍のスカウターに、ウイルスを送り込んでおいた!」

 

たしか、テレビの中ではかなりの頻度で「故障か?」ってなってたから、お望み通り使えなくしてみた。しかもスカウターは通信機能付きなので、通信がつながった全てのスカウターにウイルスがばら撒かれる仕組みになっている。

 

「具体的にどうなる」

「生体反応の位置情報が数キロ単位でバグる。あと熱暴走しやすくしたからすぐ壊れる」

 

あまりにも分かりやすかったらすぐバレるので、ちょっとだけわかりにくいというか発覚が遅れる程度にしておいた。多少の嫌がらせ程度だろうけど、人間めっちゃ小さな段差で転ぶことあるからな。

要は使い方だ。整備担当はどんまい。

 

「なんというか、凄いこと考えますね……」

「弱いなら、弱いなりに立ち回り方はあるもんだよ」

 

いかに強くても、弱い者が黙って蹂躙されるだけだと思わないでほしい。まだ考えはある。

それに、俺たちの強さもまあまあ良いところまで行った。重力装置の修業で俺とピッコロが戦闘力三万くらい、クリリンと悟飯も素で五千くらいにまで上げた。とりあえず最低限はこなせたということにしておこう。臨気鎧装も最大二十倍にまで上げたし。

ちなみに誰も臨気鎧装覚えられなかった。武道家と特撮ヒーローでは考え方が違うのだろうが、流石にちょっと寂しいぞ。

さて、今日は休むとして、明日はいよいよナメック星だな。

さて、どんなことになっているのやら。

 

 

翌日、無事にナメック星に到着。とりあえず外に出る。いやあ何もねえ。一回異常気象で全滅したからな、仕方ないな。

 

「これが、俺の故郷か……」

 

ピッコロも感慨深そうでなによりだ。俺の故郷には二重の意味で帰れないのでめちゃくちゃずるい。うらやましい。ひどい。俺のそばでやらないでほしい。

が、それは心の中にしまっておく。騒いでも何にもならない。

てかそれ分かってて一緒に来たんだし。

 

「とりあえず気を消しとくか。で、俺はこれからナメック星で一番偉い人に顔合わせしとこうと思う」

「それで、僕たちのことを分かってもらえるでしょうか」

「やってみないと何とも言えない。が、やらんよりマシだろ」

 

というか、今回に関してはドラゴンボールもとい願い玉に関してナメック星で稀人である俺が動き回っていい?っていうお伺いだから、悟飯の質問はちょっとだけ的外れだ。

 

「目的確認するぞ。第一にドラゴンボールを一つでも確保して揃わないようにすること。第二にナメック星人を可能な限り保護すること。そしてピッコロクリリン、俺悟飯で別れる」

「はい!」

「ああ!」

「じゃ、アレ倒して全員やることやるか」

「それもそうだな」

 

ピッコロとほぼ同じタイミングで、視線を近くの岩壁に向ける。一瞬遅れて悟飯とクリリンもそちらを向いた。

特徴的な規格で統一された、戦闘服。顔に取り付けられたスカウター。間違いなくフリーザ軍所属の兵士たちだ。

まあ俺とピッコロの敵ではなかったけど。

さくっと二人を倒したあと、宇宙船を適当な洞窟に隠して、ドラゴンレーダーはとりあえずクリリンに預ける。あとは何とかしてくれるだろ、二人とも頭の回転早いし。

 

「とりあえず今日の夜……というか、ひと段落後は宇宙船集合でいくか。じゃ、二人ともまた後で。ピッコロが通信機持ってるから何かあったらお互い連絡な。よし悟飯行くぞ」

「はい!」

 

とりあえず歩く。スカウターバグ起こしてるとはいえフリーザ軍の物資は潤沢だからな。もうフォロー終わってるかも……あっそうだ。

さっき倒した兵士から貰っておいたスカウター、まずカメラとマイク、そして位置情報的なあれを破壊する。そしてそのスカウターにウイルスを流し込んでから、通信機能オン!

よし。

 

+++++

 

そんな感じで仕込みを終えてから徒歩で一番偉い人を探して歩く。とりあえず集落があるっぽい方に向かうと、予想通り。

若いというより子供の二人と、老人が三人か。

 

「どーもこんにちは」

「誰だ!」

「稀人だ。こっちはごく一般人の孫悟飯」

「はじめまして!」

 

何人か若いナメック星人が警戒をあらわにするが仕方ない。今はやべえ侵略者がたくさんナメック星に来てるからな。とりあえず両手をあげて敵意がないことをアピールしてみる。

悟飯を連れているせいか、やや態度が軟化した。

 

「この星の最長老にお目通りしたいんだが」

「最長老さまにお目通りか……お前が本当に稀人だというのなら、この星に住まう友人の名を告げてみよ」

 

えっ。

なんか試練とかそういう感じ?でも俺、ナメック星人の名前とか知らん。

不安そうに見上げてくる悟飯の頭を撫でつつちょっとだけ考える。ここは正直に答えるか。

 

「名前を聞いてないから答えられない。強いていうならそうだな、“ナメック星人”だ」

「……良いだろう」

「あ、これでよかったんだ」

 

と、いうか。あいつまだ生きてんのかな。

俺が稀人だと信じてくれてから、態度が本格的に穏やかになった。

なんかここでも何かしらの引き継ぎを受けている予感がする。

 

「悪いけど、状況をどこまで知ってるか教えてくれるか」

「何者かが、この星に侵入したことは知っている……そして、混乱に陥ってることも」

 

ウイルスの成果ですね。

 

「敵の名前はフリーザ軍、頭領の名前はフリーザ。目的はドラゴンボール……正式名称は願い玉だっけ。今俺が教えられるのはこれくらいかな。詳しいことは俺もわからん」

「そうか、情報を感謝する。……最長老さまに会いたいと言っていたな」

「いいのか」

「無論だ。最長老さまにも、マレビトという者がきたら案内するように言われている」

 

ふうん。

じゃあ最長老って間違いなくあのナメック星人か。生きてたんだな。失礼な感想だけど。

 

「状況がいつ変わるかわからないけど、フリーザはその気になれば星一つ消し飛ばすくらいするから、可能なら避難した方がいい」

「当てはあるのか」

「地球の神が老齢のナメック星人でな。あと、ブルマっていう知り合いの家は中々でかいから説明すれば受け入れてくれると思う。一時避難先としてどうだろうか」

「我々はドラゴンボールを守らねばならない。しかし、子供達だけは避難させてもらえないだろうか」

「了解」

 

そんなわけでナメック星人の子供二人を連れ、一旦地球の神殿へ瞬間移動。そしてブルマに状況を説明してから、二人をカプセルコーポレーションに移動させて戻ってくる。

 

「二人は、責任を持って避難させました」

「感謝する」

「それじゃ、気をつけて」

 

最長老様とやらの居場所を教えてもらい移動する。無事でいられればいいが……後でもう少し小細工したほうがいいかもしれない。

 

「マレビトさん」

「うん?」

「あの人たちも、地球に連れて行かなくて良かったんですか?」

「まあ、人には命より大事にしたいことってあるからな。あの老人たちにとってはドラゴンボールがそれだったんだよ」

「そうなんですか」

「うん。そういうのを、誇りって言うんだ」

「……よく分かりません」

「安心しろ、俺もわからん」

 

さて、最長老様のところに行くとするか。

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