まれびとの旅   作:サブレ.

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第四十七話

大きな岩の上にある、ちょっとだけ形が特殊な家。あそこが最長老様のいる場所か。座標で換算すると結構遠いな。瞬間移動さまさまである。

ドーム型の家はナメック星のあの村でも見かけたものだ。多少大きいが特別派手という訳でもないのがナメック星人の気質を感じさせる。

扉の前に立つと、駆動音を響かせて扉が開いた。そこから出てきた、若者と言い表していいだろうナメック星人。付き人のようなものか?

 

「はじめまして」

「よく来た、異星の来訪者、そして稀人よ。最長老さまはなりゆきをご存知でおいでだ、中へ」

「じゃ、遠慮なく」

 

このナメック星人はネイルというらしい。ナメック星人の中でもかなり強い。だからこそ最長老様の側にいるんだろうが。

ネイルの後に続いて、宙を飛んで二階に続く穴を潜る。そこには、一人の老齢のナメック星人がいた。他のものたちと比べて巨躯であり、老故に椅子から立ち上がることすらままならない。しかし、例えるなら神木のように、穏やかな雰囲気の中に聡慧が見える。

そしてなにより、大昔に出会ったナメック星人と、“気”が全く同じだった。

 

「……これまた、随分と老けたな、ナメック星人」

「そういうあなたは変わりないようだ、稀人」

 

相手もまた、どこか気安い心持ちになったことが分かった。

久方ぶりの再会が、こんな事態になるとは、というか再会するとさえ思ってなかったが。

人生、何が起こるかわからない。

 

「マレビトさん、知り合いなんですか?」

「昔な」

 

異常気象で一人を除いて全滅したこの星に、しばらく滞在していたという、それだけだ。住人が一人しかいないために中々気楽に過ごしたのも懐かしい。

一人しかいない星では、善も悪も、判断しようが無かったから。

どちらにも転びようがないので、何を気にする必要がなかった。

 

「どこまで知ってる?」

「悪党たちがこの星にやってきたことは……しかし、混乱しているようだ。マレビト、あなたの仕業ですね」

「まあな。けどありゃ時間稼ぎに過ぎないぞ。俺はこの星で動いていいか聞きに来た。動いていいなら次の一手を打つ用意はある」

「もちろんです。あなたを拒む理由などない」

「そりゃありがたいが、随分と買ってない?俺なんかしたっけ?」

 

マジで何かした覚えないんだよなあ。ナメック星を復興してのは最長老のやったことだし。

最長老になったナメック星人は、「覚えてないのですか」とか言い出した。ごめん、なにも心当たりない。

 

「あのとき、私は星に一人だった。異常気象で文明は滅び、一族は死に絶えた。私を除いて」

「そうだな」

「そこに、あなたが来た。あなたは私に、この星に滞在してよいか尋ねた。そして、一杯の水を差し出してくれた」

「あー思い出したかも」

 

確かに何年か居ていいか聞いて、礼というか、宿泊代みたいな感じで水渡したわ。異常気象で水源枯渇寸前だったし。

 

「私にはそれが、心から嬉しかった。ただ一人の生き残りを、星に住まう種族として見てくれたことが。一杯の水を差し出してくれたことが……ほんとうに……」

「最長老さま……」

 

あのー、ネイルも微妙に共感してない?落ち着いてくれ、おれこういう雰囲気慣れないから。

ただ、言いたいことはわかる。一人で寂しいときに差し出された手というものは、ひどく美しく見えるものだから。それが、たとえどれだけ気まぐれであろうとも。

俺がサイヤ人という種族を心から好いているのだって、似たようなものだ。

アスラに、バーダック。そして、孫悟空。

手を差し出したのは全員、サイヤ人だった。

 

「……とりあえず、喜んでもらえてたようで何よりだ。俺たちの目的としては、ドラゴンボールがフリーザに渡らぬよう動きたい。だから、そのドラゴンボールを、預けてくれないか」

「ええ、構いません。ナメック星に住む者の知恵と力の証……あなたにならお渡ししましょう」

「だから信頼が重い!そして判断が早い!」

 

そういや信用がデカすぎるとかなんだとか、バーダックも似たようなこと言ってたような気がする。すまんな、まさかこういうことだとは。

 

「あの、どうして最長老様はマレビトさんなら良いって思うんですか?」

「聞かなくていい」

「そうですね……彼は、善にも悪にもなれません。しかしそれは、どちらにもなれるということです。

 しかし彼は、長く辛い旅路における唯一の己の友に愛と勇気を選びました。それは、とても難しく尊いものなのです」

「他人のボッチ遍歴を!!!暴露すんな!!!」

 

つーかそれ某アンパンの妖精ヒーローの曲のあれだから!オリジナルじゃないんで!

 

「……なんかめっちゃ疲れた」

「そうですか」

「笑ってんじゃねえ」

 

もーやだ。疲れた。性格悪くなってない?なってないか。まあナメック星の最長老ならそうだよな。つまり俺との相性が悪いだけかね。

やれやれ。

 

「友よ、我が子らを、どうか守ってはくれませんか」

「ゼンショします。それじゃ、ありがたくドラゴンボールは貰ってく。あとさ、なんかパワーアップの手段知らないか」

「そうですね……それでは、まだ眠っている力を起こして差し上げましょう」

「おっ、サンキュー。悟飯やってもらっとけ」

 

悟飯の潜在能力をとりあえず引き出してもらう。おおー、だいぶ上がったな、よかったよかった。

 

「マレビトさんは、やってもらわないんですか」

「……そうだな、頼む」

 

対フリーザに出し惜しみしてる余裕はない。

病気の進行と天秤にかけてみたけと普通にフリーザに傾くわ。ホントーに厄介なことだ。

頭に手が乗って、温かい。ふっと一瞬、子供の頃の思い出が蘇っては消えた。前世の俺とアスラ、両方の子供の頃が同時に過るってあるんだな。

そんなことを考えてたら、ガクンと力が抜けたような感覚に倒れそうになる。それに対抗して足を踏み締めて気が付いた。全身にみなぎる“力”そのものが、格段に向上している。

そして、病気も進行している。

具体的には───一つの体に二つの魂を抱えることが、極めて厳しいと思うほどに。

 

「まだ、いけるか?いや……」

 

無理だ。サイヤ人の性質上、一定ラインの戦闘力に到達するまで、死にかけて復活するごとに強くなる。そしてフリーザ軍が相手となる以上、死にかけることなく目的を達成できるなんて思っていない。つまりあと数日以内、いや、短ければ数時間で……どちらの魂が残るのか、決めなければならない。

急上昇した力に酔っている暇さえ与えられない。

だが、必要な強さだ。

 

「礼を言う。そうだ、仲間があと二人いる。そいつらも明日あたりに連れてきていいか」

「ええ、もちろんです……また明日、待っています」

「ああ、じゃあな」

 

悟飯を連れて、片手にドラゴンボールを抱える。時間的には夜に近い。戻ってくると、ピッコロとクリリンが二つのドラゴンボールを抱えていた。

 

「おつかれさん。これでドラゴンボールが三個だな」

「ピッコロさん!クリリンさん!」

「いやあ、なんとかなりましたよ。でもマレビトさん、ベジータのやつもこの星に来てるみたいです」

「マジか……あ、ほんとだ」

 

ベジータの気がある。どの辺に落ちたんだろ?欲しいんだよなあ新しいアタックボール。ラディッツのはラディッツと悟空が持ってるし。

 

「とりあえず、ボール隠しちゃおう」

「埋めるのか?」

「二つは埋める。もう一つは打ち上げる」

「は?」

 

耳を疑うピッコロを尻目にナッパのアタックボールをカプセルから取り出した。設定を変更してナメック星の衛星軌道を周回するようにする。あとはドラゴンボールのうちの一つを中に入れてボタンをポチッとな。アタックボールはものすごい勢いで飛んでいった。

 

「よし。あ、ピッコロにはこれあげる。ボタン押したらこっちに戻ってくるから。俺は瞬間移動するから」

「そ、そうか」

「あと、今打ち上げたドラゴンボール作れる?もちろん本物じゃなくて、全く同じ見た目硬さ重さのダミーな。それを一緒に埋めるから」

 

そこまで伝えると、ピッコロは何度か口をパクパクさせてから、やがて諦めたようにため息を吐いた。なんだよ、真面目に考えてんのに。

 

「キサマは、なんというか……お前な……」

「弱いなら弱いなりに立ち回り方はあるもんだよ」

 

 

このあとは普通にご飯食べて交代で休んだ。ピッコロがナメック星人だからか、遠くに住む孫を見るような目で迎えられたと聞いたときには爆笑した。

よかったじゃん。そう言ったらしばかれた。俺に対して当たりキツくない?

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