この星には夜がない。ある意味とても便利だし不便だ。目撃情報を当てにふらふら歩いてると、見つけたベジータのアタックボール。遠慮なく持ち帰ろう。
「どっちが残る」
『そりゃあ君だよ』
「やっぱりそうか?」
まあ、そうだろうな。
俺は生き残りたかったし、こいつは死んでもよかった。一時期逆転したりもしたけど、どっちが残るかって言われたら、こうなるだろうことはわかってた。
つまり俺は病気の体を押し付けられたってことだけどな!!!
『へんだけどさ』
「お前が言うな」
俺はここでしか生きてけないんだししょーがない。アスラはさっさと死んで輪廻転生なりあの世で体をもらうなりして、やり直しとけ。
健康な体はいいぞ。前世知識だけど。
アタックボールは使い道を考えているので同じく隠しておいて、食事も終わった。また改めて活動開始のお時間だ。
とりあえずクリリンとピッコロを最長老のもとに連れて行って潜在能力を解放してもらう。それからまた、昨日と同じ組み合わせで動く。
俺の仕事は、最長老の頼みのとおりナメック星人を避難させること。何人か残って戦うとか、村を守るっていう若者や老人がいたからその人たちには残ってもらう代わりに協力を依頼した。指定の場所にとある機械を設置してもらう。
これもちろんラディッツのアタックボールを解析したブルマとブリーフ博士作の道具だ。足をむけて寝れん。
この日はコツコツフリーザ軍を減らしつつ、若者や子供を中心にナメック星人たちを地球に送迎して過ごす。というのも、位置情報狂わせるウイルスが宇宙船の母艦にも入り込んだらしくインフラ狂っててんやわんやらしい。しかしベジータは気を探る手段を見つけたのか、とある集落を襲ってドラゴンボールを強奪したようだ。間に合わなかったのは心苦しいが、これで七つ全てのドラゴンボールがナメック星人たちの手を離れた。
五つは、打ち上げたものも含めて俺たちの手元に。
一つはベジータがどこかに隠したもの。
最後の一つはフリーザ軍が所有。
「……というのが今の現状だ」
「なるほど。つまり今の状態を保てば、誰も願いは叶えられないのか」
「ドラゴンボールの数は関係なく、アドバンテージがあるのは俺たちだ。なぜなら、地球のドラゴンボールをすぐに使用できるからな」
そう、地球のドラゴンボールが温存されているのはデカい。そしてナメック星のドラゴンボールにも保険をかけた今、コソコソしている理由は無くなった。
「ならば、攻勢に出るか?」
「ああ。スカウターに痛手を与えたから、フリーザはほぼ確実に新品のスカウターの運搬をギニュー特戦隊に命じてる。こいつらが来る前にある程度人数減らしてしまおうか」
ここで、ギニュー特戦隊のメンバーとか特性をざっくり説明。ついでにフリーザの側近二人、ザーボンとドドリアについても。
ただ気を探ったり聞き込みした感じ、ドドリア既にベジータに殺されてるっぽいんだよなあ。ザーボンは変身を残してるタイプだったはず。
「ベジータは昨日ザーボンに倒されて、今は治療終わって復活してる感じかな……この様子だと」
「……やっぱりサイヤ人ってずりーよなあ」
「ほんっとそれ!!!めんどくさい体質なんだよ!!!」
「いやあそれ、マレビトさんが言いますか?」
「言う!!!」
まあ、そんなやりとりは置いといて。
脱線した話を戻そうか。
「ただまあ、ベジータが復活して強くなったとはいえ、臨気鎧装の倍率上げた俺と潜在能力を解放したピッコロの敵ではない」
「お前も潜在能力を解放してもらっただろう」
「まあね。じゃ、クリリンと悟飯には頼みがあるんだけど」
「?はい」
首を傾げつつ、二人が俺の話を聞いて動き出す。それを見届けてから、徒歩で少し遠くまでピッコロと二人で移動した。
「しかし、どうする気だ」
「探しに行くのはめんどくさいから……来てもらおう!」
深呼吸して、気を解放する。ついでに臨気鎧装も少しだけ加えると、ぶわりと膨れ上がったエネルギーが周囲に溢れ出る。
ああ勿体無い……でも撒き餌は必要だし……。
「これで来るだろ」
「成程な」
予想通り、少ししたらベジータがすっ飛んできた。遠くにはもう一つの気がある。これがザーボンだな。
「ピッコロはザーボンお願い」
「ああ」
ピッコロが一度空に浮いて離れる。それと入れ替わるようにして、ベジータが突っ込んできた。おお、復活してかなり強くなってるな。
やっぱサイヤ人ってバグだわ。
「ハロー。そっちも来てたんだな」
「フリーザ軍が混乱していた。貴様の仕業だな?」
「大正解。弱いなら弱いなりに立ち回り方ってあるもんだよ」
「ハッ、尻尾を巻いて逃げ出すより他に脳がない腰抜けが……いや、貴様は巻く尻尾もなかったか」
「今はお揃いじゃん。あと俺、お前と違って一回もフリーザの部下になってないから」
ピクッとこめかみが一瞬動いた。よし、かかった。
「来いよ王子様、サイヤ人歴の違いを教えてやる」
「なめやがって───!!!」
突っ込んでくるベジータの攻撃を受け止める。……うん?これ、臨気鎧装いらんな???
冷静にいなしながら戦闘力を数値にしてみる。
俺は通常モードの最大で約30万。臨気鎧装で倍化したとして、最大600万くらいか?ピッコロも大体同じくらい。約30万。
こわっ。潜在能力解放こわっ。十倍ぐらい行くじゃん。
後でベジータも連れてってやろ……いやだめだな。
とりあえずぶん殴るだけで勝敗が決する。よし良い感じに死にかけたな。次起きたら臨気鎧装使ってまたぶん殴って瀕死にしよう。最長老の所には行かせられないから仕方ない。
ギニュー特戦隊って強さどんぐらいだっけ……。
「呆気ない」
「おつかれ」
ザーボンを落ち着いて倒したピッコロと合流して、ベジータの襟首を引っ掴んでずるずる引き摺りながら移動する。そのまま近くの村にお邪魔して、ベジータを意識の戻らないギリギリに治してもらった。
「ごめんな、多分同胞を殺したんだろうけど、こんなワガママ聞いてもらって」
「何か、考えがあるのだろう」
「まあな。今フリーザが大人しいのは、単純に自分が持ってるインフラが破壊されたから。それが回復したら……つまり、ギニュー特戦隊が到着したら、色々と余裕が出てくる。
つまり、フリーザが直々に動く」
フリーザが単独で行動を始めたら、俺たちになす術はなくなる。ドラゴンボールの細かい知識は知らないけど、超サイヤ人をこの目で見たことのある俺ならフリーザの大まかな最大戦闘力を見積もれる。
超サイヤ人が、約一億五千万。それに対抗して負けたフリーザならば、どれだけ低く見積もっても一億は下らないだろう。
結局、俺がやっていることは弱者が無駄に戦局を引っ掻き回しているだけ。本物の強者が動けば踏み潰される。
「……早く来いよな、悟空」
俺にできることなんて、たかが知れてんだから。