まれびとの旅   作:サブレ.

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第六十話

病気にはまだ先がある、と聞いて、考えて、真っ先に思い浮かんだのは悟空のことだった。そういやすれ違ったせいであいつが倒れてから様子見てないや。

 

「未来の悟飯、俺これから悟空の家行くけど一緒にくる?実家だろ?」

「き、気にならないんですか?自分の体のことが」

「いや、俺の体の心配しても敵は待ってくれないしなるようになるだろとしか」

 

そこなんだよ。フツーに人造人間が俺に意識向けるように煽ったし、それを除いても敵が俺たちの事情を汲んでくれるわけがない。心配事だって一つじゃないのだ。

なら、解決できることから順番に潰すしかない。俺の体を心配する余裕が生まれるのはその後だろう。

 

「てか、できる範囲で悪化しないよう色々工夫はしてるし、それでもなっちゃったら、しょーがない!それに、そっちもお父さんのこと心配だろうし、お母さんにも会っておけ!」

「いや俺は……ちょっ」

「問答無用!」

 

前回颯爽と帰ったからチチに会ってないじゃん。あのあと、チチにだけは心臓病のこともあるし、未来から悟飯が来たんだよって話こっそりしたんだよ。悟空が微妙に隠しきれなかったってのもあるけど。

瞬間移動で悟空の家の前に立ったら、ヤムチャが出て来たところだった。追加でクリリンも駆けつけて合流した形になる。お、タイミング良い。

 

「よ、ヤムチャにクリリン」

「マレビトか!それに、悟飯……紛らわしいな」 

「未来悟飯で良いだろ。悟空の様子はどう?」

「え、マレビトさん?うわっ!」

 

そう聞きながら二人に目配せして、未来悟飯をドアの向こうに叩き込む。ついでに脛を蹴ってからヤムチャがタイミング良くドアを閉めた。家族水入らずの時間、よし。

 

「んで、クリリンはなんでここに」

「悟空を移動させようと思ったんですよ。武天老師さまの家から時間をかせげるはずですから」

「なるほど、それなら俺は離れてた方がよさそうだな。移動が終わったら家に待機してるよ」

「マレビトお前何やったんだ」

「煽った」

「お前命知らずだな……」

 

そんな感じの会話を三人でしてたら、話が終わった未来悟飯が悟空を背負って出て来た。おおう、悟空が息子に背負われてる……いや未来から来た息子だけど。昔、ジングル村に行く途中でお昼寝してたのを思い出してほっぺをつついてみたら割と硬い。あの時はもっと柔かったのにつまらん。ついでに悟飯もつついてみると同じ感じの硬さだった。

マジで、二人揃って育ったなこの親子。

そんな戯れを経て、現代の方の悟飯が合流してから、ヤムチャが運転する飛行機で武天老師、すなわち亀仙人の元まで移動する。

 

「マレビトさん、その」

「ん」

 

こっそりジェスチャーで、俺の体のことを内密にするよう頼むと、未来悟飯は素直に頷いた。少なくとも、悟空が復活するまでは、不安要素を増やすことはない……ん?

不安要素、まだあるよな?だってこの辺のボス、人造人間じゃないし。なんだっけ、セルだからゼルダかそんな感じの名前の緑のやつ。

そんな、どーでも良くないがどーでもいいことを考えてると、俺の持ってる通信機が鳴った。かけてきたのは、ブルマ?

 

「ブルマから電話来たからちょっと出る」

「スピーカーにしてください」

「ん、わかってる……もしもーし」

『マレビト!?アンタ今何処にいるの!?』

「亀仙人の家に向かってる最中」

 

今の状況の概要を話してから、ブルマの話を聞く体勢に入る。この時点で連絡してきたってことは、何かしら転換点に入ったってことだろう。

 

『そこに未来の悟飯くんいる!?』

「いる。何かあったか?」

『あったもなにも──』

 

ブルマが語って曰く、山奥にカプセルコーポレーションのマークが入ったおかしな機械がおっこちていたらしい。で、その機械が未来悟飯の乗ってきたタイムマシンにそっくりなんだとか。

ファックスで写真が送られてきたので、見せてもらう。

 

「な!?」

「これは……!」

「……んー?」

 

タイムマシンだ。苔むして長い年月が経過しているがまぎれもなく。卵形のガラス部分にでっかい穴が空いてるのと、足の部分がいくつか明らかに足りてないのが決定的だ。

しかし、この壊れ方は……。

 

「ま、間違いないです。これは俺が乗ってきたタイムマシンそのものだ」

「ブルマ、座標どこだ」

『詳しい位置は分からないけど、西の1050地区のどこかだと思うわ』

「分かった、探してくる」

「俺も行きます!この目で確認したいので」

「ぼ、僕も!」

「よし、じゃあ三人で出るか」

「二人とも気をつけるだよ!マレビトさ、頼むだ」

「任された」

 

ハッチを開けて三人で例の地区まで空を飛ぶ。うーん、荒野と森。こういう景色多いよな。ここに飛んだのも偶然とかそんな感じだろうな。

しばし目視で探していたら、悟飯が見つけたらしく大声で俺と未来悟飯を呼んだ。

ほぼ同時にブルマも駆けつける。ブルマは動きやすいよう帽子をかぶって作業着を着ていた。未来悟飯は隣に、カプセルと同じ形のタイムマシンを出して見せる。

 

「俺が乗ってきたタイムマシンと同じものです」

「あら!じゃあ確かにこいつはあんたのじゃない訳だ」

「マレビトさん、どう思いますか?」

「俺か。うーん……分からんけど、同じ型の別のタイムマシンってことはないのか」

「それはないと思います、ブルマさんはタイムマシンを一機しか作りませんでした」

 

苔を剥いで現れた機体の側面には、新品の方と同じサイン。筆跡も同じとみて良いだろう。

あと気になることと言えば。

 

「壊れ方が二種類あると思わないか」

「はい、上の方の大きな穴は、まるで高熱で溶けたような」

 

浮いて穴から運転席内部を見ると、埃だらけだ。未来悟飯がスイッチを押してカバーを開ける。機能自体は完全には死んでない、とな。

未来悟飯が調べたところ、エネルギーは空っぽ。やってきたのはエイジ788。未来悟飯の時代よりも更に後、九年くらい後か……。そして、到着先の時代設定は今から四年前。中にあったのはタマゴの殻のようなもの。

そして、不可思議な外傷。

 

「……逃げてきた?」

「その可能性はあると思います。俺の未来よりさらに先の時代で、タイムマシンを奪って」

「なんでタイムマシンごと消し炭にしなかったっていう疑問は残るがな」

 

そこはまあ、今考えることじゃない。

問題は、やってきたコイツが何者なのかってことと、多分敵ってことだ。

コイツだっけ中ボス。

周囲に何か痕跡残ってないかと軽く見渡すと、意図を察した二人の悟飯も同じように目を光らせて、小さい方の悟飯がヒントを見つけた。

 

「あ、あれ!」

「よしさすが」

 

あったのは、巨大な抜け殻だった。千年くらい宇宙を回ってたけど、この種族とは会ったことがない。初めて見る生き物だ。

コイツが、未来から来たのか?

 

「な、中身は、抜け殻から出て間もないぞ……!」

「!」

「ど、どう?正直言って、嫌な予感する?」

「かなり。ブルマ一旦帰った方がいい」

「わ、分かったわ!」

 

ブルマが飛行機で飛び立つのを見送ってから、カプセルに戻した二つのタイムマシンがちゃんとあるか確認。そして、二人の手を取って瞬間移動。

帰ってきたぜ亀ハウス。

 

「戻ったぞー」

「ただいま……」

 

ドアを大きめに音を立てて開けるのと、電話が鳴ったのは同時だった。さっき別れたブルマからの連絡らしい。言われるがままにテレビを付けると、人間が次々消えてるらしい?という情報が出てくる。さらにニュースを切り替えれば、何者かに襲われたレポーターの様子がテレビカメラに映っていた。

これかー!!!

 

「人造人間だ……!あいつらとうとうやりやがったな……!」

「多分違う。ちょっと様子見てくるわ。二人は説明よろしく」

「あっ、マレビトさん!」

 

手を離した状態で瞬間移動してジンジャータウンに。瞬間移動多発しすぎかなあ。でも実際急いで動き回らないと詰むしなあ。

ままならん。

適当なビルの屋上に立って、俯瞰風景を見下ろしながらゆっくり歩く。そうしてしばし観察しつつ元凶を探し回ってたら、緑色の大柄な生き物が二体、向かい合っていた。

一人目は俺のよく知るやつ、ピッコロ。二人目は抜け殻。

なるほど、こいつがソレか。

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