まれびとの旅   作:サブレ.

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お久しぶりです


第六十三話

攻撃に備えて一定の距離を保ちつつ、ピッコロや人造人間たちを背にしてセルに意識を保つ。細胞が吸収されないよう、臨気鎧装で鎧を作り出して防御力に全振りする。

こいつの吸収能力、厄介極まりないんだよな。この短期間で急成長したのだって、人間を大量に吸収した上にピッコロの成長とか技とか、特性まで自分のものにしたせいだろ?とんだキメラだよ。

 

…………ん?

 

「そんなに多種多様生物組み合わせて進化して何が楽しいんだよ。よわっちい人間なんて吸収しても意味なくないか?」

「分かっていないようだな。どのような矮小な生物であろうと、食らえば私のパワーの一部となる。もっとも、おまえのように虫ケラ程度の気の者は吸収する気にもなれないがな」

「へーほーふーんあっそうすごいね」

 

あっこれ、あれだな。確信した。

過去最大級にやらかしたわ。

 

「まあいいや、とりあえず進化の野望捨てろ」

「断る」

「だろうな」

 

突っ込んでくるセルの拳を剣で受け止める。そのままアロンダイドで切れ味を一気に高めれば見事な切断面で腕がすぱりと切れた。が、その程度の欠損ならば簡単に再生できてしまう。

が、俺はそもそも今のセルなら切断できないほど硬い。お互いに決定打が与えられない泥試合だ。

二人揃ってまともに相手する気がないのに、とりあえず殺せるなら殺しとけ精神だからな。

 

「私は17号と18号を吸収してパーフェクトな超人となる。それこそがDr.ゲロの求めていた究極の戦士なのだ」

「ふざけるのもいい加減にしろ……だれが貴様なんぞに吸収されるものか。究極の戦士ならもうここにいるだろう」

「究極?その程度で究極を名乗るのか。なんて勿体無い。てか完成したところで完璧とは程遠いし」

「何?」

「その程度だと?」

「まだ上はいるよ。たかがそれくらいの戦闘力で驕るのはやめといた方がいい」

 

メタ的に、というか。

アニメ的に考えてセルは中ボスだし。ブー?ブウ?とかいうラスボスの方が中ボスより強くて厄介なのはほぼ確定してるようなもんだし。

俺の横を抜けて17号に飛びかかろうとするセルに足を引っかけて転ばせつつ、腕を切断しようと剣を振るう。が、それは首根っこを掴まれてバランスを崩されたことで叶わなかった。

 

「うげ、っ!」

 

ものすごい勢いでぶん投げられ、更に地面に激突する前にセルの蹴りが腹に埋まって大きな音を立てて地面に激突する。咳き込みながら慌てて体を起こすと邪魔をしたのは17号だった。

 

「邪魔をするな。たかがその程度だと?」

「同意だ。誰が究極の戦士であるか思い知らせてやる」

「…………え、えー?」

 

怒らせた。フリーザの時も似たようなことになったような……いやでもラディッツとか神様なら絶対同意してくれるのに!

 

「お前な……」

「事実だろ!?俺は別にその領域に達してるわけじゃないから説得力って言われたら黙るしかないけど!」

「お前のプライドの無さはこういう場面で悪手を呼ぶようだな」

「反省します!」

 

ピッコロに呆れられながら回収される。臨気鎧装の効果でダメージはやや抑えられているとはいえなかなかモロに喰らってしまった。

視界では、17号とセルが戦っている。予想通り、17号が押されているようだ。

 

「今、ピッコロ以外に天津飯来てる?」

「ああ」

 

16号が乱入する。17号との間に割って入り、二人を守るように戦闘を開始した。

 

「とりあえず、16号が二人とも守りきるのはキツイと思う」

「何故そう思う?」

「16号は一人、護衛対象は二人。手段を選ばなければ片方吸収するくらいならどうにでもなる。17号は直情型だし尚更」

「わかるのか」

「セルの思考と俺の思考は近似値だからな」

 

プライドが極端に低く、逃げ隠れに躊躇いを持たず、相手の思考を誘導して状況を有利に運び、勝利よりも目的の達成を優先する。

要するに生存競争に特化しているのだ。一対一の試合なら兎も角、ルール無用の場において、プライドや誇りに固執する者は相性が悪いと言っていい。

 

「しかも、俺よりセルの方が普通に強い!真っ向勝負じゃまるで勝てん!」

「胸を張って言うことか」

「しゃーないじゃん策を思いっきり間違えたんだから」

 

逃げ隠れてセルを強化するくらいなら、さっさとセルの前に現れて挑むべきだった。そして早々と負けた方が良かった。

流石にその責任は取るつもりでいる。

16号のヘルズフラッシュで地面が割れる。地面に巨大な穴が空き、セルの肉体がどこかへと消えた。

絶対死んだふりだな。俺ならそうするから。

 

「目眩し頼む」

「おい!」

 

僅かに空気が弛緩したのを狙って瞬間移動。18号の隣へと移動する。

 

「16号、勝手に離脱させるぞいいか!?」

「!頼む」

「ちょっとアンタ勝手に……!」

「文句なら16号に言え!」

 

18号が俺に噛みついたのと、セルが17号の背後から現れたのは全くの同時だった。16号がフォローに入ろうとするも間に合わない。

 

「ま、こういう訳だ」

「ちょっ……!」

 

問答無用で瞬間移動で別の島へと移動する。座標指定の時間が限られていたのでそんなに遠くにいけなかったが、セルの無差別攻撃の範囲を指定すると考えると悪くはない、はずだ。

18号を置いて再び戻ってくる。セルはちょっとだけ人間っぽいフォルムになってた。あれか、進化ってやつか。

 

「マレビト、18号をどこに隠した?」

「それ聞いて正しい場所教えると思うか?」

「思わんな。なに、力尽くで聞き出してやろう」

「誰が言うか捕まるか」

 

……ちょっとまずい方向に傾いたかな。

流れで喋るものじゃないな。でもこう答えないと流れが歪だって気付かれるしなあ。

睨み合っていると、空から新気功砲が降ってきて俺とセルの間に着弾した。おおう、流石のタイミング。

援護に感謝しつつ、16号を回収してから一旦18号の元に瞬間移動した。

 

「よし、二人揃ったな」

「すまないな、忠告を無駄にした」

「気にしてないよ。俺も悪手打ったからお互い様」

 

ピッコロと天津飯は悟空が回収してくれたようだ。瞬間移動覚えててもらって良かった。これで全員セルから逃げられたな。状況悪化したけど。

そんなわけで更に瞬間移動して神殿へ。気で実感してたけど、寝込んでたとは思えないほど復活した孫悟空が悟飯と一緒に立っていた。

ずるい。

……なんでお前ばっかり治ってんだよ。お前より俺の方がずっと自分の体に悩んでるのに。なんで先に回復してんだよ!

おっと、嫉妬が。

 

「うわっ、マレビトか!」

「よ、俺は無事。……悟空、生きてたか!そんで治ったか!よかったなあ!」

「うわわっ!」

 

硬くなったほっぺたと頭を思いっきり撫で回す。うん、元気になった。あの時はほっぺたつついてもうんともすんとも言わなかったなあ。

撫で回してひと段落すると、話題は当然セルへと移る。

 

「マレビト、手はあるのか?」

「手?あるよ」

「あるのか!?」

「成功率はお察しだけどな。成功率を上げるためにも精神と時の部屋使いたいけど」

「どんな策だ?」

「秘密。奇策の類だから、バレる可能性はなるべく抑える」

 

まあ単純に、俺が吸収されるってだけだけど。

嫌気性症候群は遺伝子疾患だ。細胞そのものに欠陥がある。それを吸収して己がモノとすれば、確実に発症するだろ。

あとは自滅するだけってな。俺が今この瞬間生きてられるのも、数百年単位で気を溜め込んでいるおかげだ。たかが数年生きてるだけの、気の節約なんて考えもしない生き物にこの重症度で耐え切れるとは思えない。

あとは、セルが俺を吸収したくなるだけのエサを用意してやればいいのだ。

 

「きさまの策など出番はない」

「あ、出てきた」

 

ベジータが精神と時の部屋から出てきた。次は悟空と現代の方の悟飯が入る番……そういやラディッツと未来悟飯どこ行った。

 

「ラディッツたちどこ行った?」

「チチんとこ行ってっぞ」

「なるほど把握した」

 

ブルマから戦闘服を受け取って、悟空悟飯が精神と時の部屋へ。ベジータはセルの元へと飛んでいく。

それじゃ、あとは精神と時の部屋の順番待ちながら、フォロー入れそうなところは入るって感じだな。

そういや、この後どんな展開になるんだっけ。とりあえず完全体にはなるんだろうな。

……まて、どんな流れで完全体になるんだっけ。

 

「わからん」

「何か言ったか」

「なんでもない」

 

……知識もないのに考えても仕方ないか。

とりあえず休むとしよう。眠たい。野宿ばかりで、まともに寝るのも久しぶりだしな。

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