まれびとの旅   作:サブレ.

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第六十四話

ちょっと仮眠……と思って神殿の長椅子と毛布借りて寝たらめっちゃ時間経ってた。嘘だろオイ。

もしかして臨界点へのカウントダウン始まってるのか?思ってるより疲労への耐性が減ってる?それともセル戦で戦闘したからか?

まじかよここまだ中ボス戦だぞそのセルでさえまだ進化残してるのに!

 

「悪い寝こけてた!」

「マレビトさん!」

「未来悟飯か。起こしてくれればよかったのに」

「マレビトさんは疲れているようなので、休ませた方がと、その、俺が言ったので」

「あっごめん怒ってる訳じゃない。状況どうなった?」

「セルが完全体になりました」

「……あらま」

 

寝てる間にとんでもねえことになってしまった。

 

「今誰が入ってる?」

「まだお父さんとこの世界の俺です。もうすぐ、交代ですが」

「次はラディッツと未来悟飯か。ラディッツ何やってんの?」

「ベジータさんと、その、喧嘩を」

「はー」

 

なんとも言えない。

その後、セルが考案したというセルゲームの概要を聞く。期限は九日後、いわゆる天下一武闘会を模した生存ゲームである。趣味悪っ。

 

「どう思いますか」

「ゲームにはならんだろそれ」

「と、言いますと」

「不利になったらルール放り投げる。絶対」

 

なんかもう、思考回路が武道家に向いてないんだよ。セルに関しては。俺もだけど。

 

「俺とセルは似てるからな」

「そうですか?」

「試合は目的を達成するための手段って考えが根本にある。俺もセルもな。悟空やピッコロ、クリリンに天津飯なんかは武道家だから試合そのものが目的になる」

 

天下一武闘会に俺が出場しなかった理由も半分くらいはここにある。要するに性に合わない。

そんな会話をしながら扉を開けると、そこには険しい表情のピッコロが待っていた。

 

「すまん寝てた」

「いや、仕方あるまい。それと」

「ん?」

「お前とセルはまるで似ていないだろう」

「あ、聞こえてたの?」

 

そういやナメック星人は耳がいいんだった。忘れてた。病気の話題を出さなかったのも未来悟飯の配慮か。ありがたや。

 

「確かに見た目的にはピッコロの方が近いな」

「そっちじゃない!」

「あはは……」

「諦めろピッコロ。そいつには何を言ってもかわされるだけだぞ」

「お、ラディッツだ」

 

ラディッツがいつのまにか戻ってきてた。ベジータはラディッツと喧嘩したからか、ちょっと離れた場所にいる。これから未来悟飯と一緒に部屋に入るのか。俺が逃げ回ってた間にだいぶ打ち解けたようで、未来悟飯もおじさん、と素直に近寄っていた。

そのタイミングで、悟空と悟飯が出てきた。超サイヤ人の姿だが自然体に近い。なるほど、こういう方向で修業したのか。

 

「おつかれー」

「お父さん、お疲れ様です。俺も、すごく強くなったんだな」

「はい。マレビトさんもきてたんですね」

「次は俺たち、その後がお前か。……あらかじめ言うが、俺はカカロットのようにこの悟飯のことを見てやれる訳じゃないぞ」

「だがこの悟飯を一人で精神と時の部屋に入れる訳にもいかんだろう。俺が見てやるという方法もあるが」

「なんやかんやで最適解はラディッツだと思うな、俺は」

「そうだなー。オラはやっぱり未来の悟飯は兄ちゃんに頼みたいぞ」

「え、え?」

 

俺、ピッコロ、ラディッツ、悟空で未来悟飯の育成方針について相談……いや全員背ぇでかいな!背伸びする必要あるんだけど!?

 

「マレビト、理由を聞かせろ」

「まず、悟飯はサイヤ人だから同じサイヤ人との交流があった方がいいと思う。俺は生物的に向いてないし」

「そうだな」

 

あ、ピッコロに生命体としての違いをナチュラルに肯定された。神様の知識で稀人ってことばれたな。まあいっか。悟空たちは種類の違うサイヤ人だからって解釈されてるっぽいし。

 

「あとさ、未来悟飯は気を張り詰めすぎてるところがあるから、精神図太くてマイペース極まるラディッツと一緒にいた方が逆に刺激を受けると思う」

「そうか?」

「未来の悟飯がオラと一緒にいても緊張すると思うんだ」

「確かに、あの先代神を見て何も思わずにいる時点で適任はラディッツだと思うが」

「親父は親父だろう。なにを考える必要がある」

「そこだよ。ベジータだったら多分拗らせてたぞ」

「なあ、オラの父ちゃんってそんなすごいんか?」

「セルも今の俺たちも誤差だろうな」

「何やったのアイツ」

 

繊細度ランキング作ったらベジータ一位悟空二位ラディッツ最下位だと思う。バーダックは……なんだろね。

作戦会議終了、頭にハテナを飛ばす悟飯の手を引いてラディッツは精神と時の部屋に消えていった。悟空と悟飯もまた休むために飛んでいく。ベジータは一度重力室を使うためにCCまで戻って行った。あとには俺とピッコロが残される。

 

「……マレビト」

「ん?」

「稀人だったのか」

「まーね」

「先代神が神にとにかく愚痴をこぼしていたぞ」

「告げ口!え、俺何言われてたの?」

「クソガキだと」

「うるせー!」

 

悪かったなクソガキで!!!

 

+++++

 

そんなこんなで数日後。ようやく俺の番が回ってきた。一人で入りたいですって注文付けまくったからな。

さて、目的はセルが食いつくエサという名前のかっこいい技を作ることである。

条件は、

 

見た目が派手であること。

一眼見て有用だとわかること。

他の誰も持っていないこと。

太陽拳のように、簡単に真似ができないこと。

戦闘力の大小で有用性が左右されないこと。

 

ざっとこんなところか。

うん、あらかじめ考えていたが、全ての条件をクリアしている。問題ないだろう。

 

「さて、じゃあ再現チャレンジするか……クロックアップ」

 

某天の道を往き総てを司る男のヒーローが使う技、クロックアップ。クロックアップはただの超加速ではない。細かい理屈は忘れたけど。ただ、これがヒントになる。

精神と時の部屋は、外の世界の一日で一年が経過する部屋だ。つまりこの部屋の時間流を覚えて、外の部屋で精神と時の部屋で流れる時間に乗ってしまえば、擬似的なクロックアップ、超加速を再現できるのだ。

理論上は。

 

「習うより慣れろ。やってみるか」

 

まずは一月程度、精神と時の部屋で体を慣らしてから、一度外へと出る。改めて気を太陽から補給しつつ、時間流の違いを肌で覚えてからまた中へ。

一月から三週間、二週間、十日、五日……と間隔を狭めながら何度も精神と時の部屋を出入りすること数十回。

外の世界基準で二十一時間四十六分が経過した頃。

 

「……よし」

 

これなら、クロックアップを使えるだろう。

外に出て深呼吸、より早い時間流に身を委ねる。視界に映る世界はひどくゆったりとしていて嫌味なくらい穏やかだ。技を解除、現代の時間流に身を戻す。

うまく行って良かった。

ほっと一息ついて周囲に意識を戻すと、順番を待っていたベジータ、そして神殿で過ごしているピッコロ、悟飯、未来悟飯の姿がある。

なんか、微妙な表情だけど、何かあったのだろうか。

 

「次はベジータだっけ?使っていいよ」

「マレビト、貴様……真面目に修業しろ」

「しましたが!?」

 

これ以上ないぐらい真面目に取り組んだんだけど!!!いや確かにしょっちゅう出入りしてたし三日おきに外出てた時とかバッタンバッタンうるさかっただろうけどさ!?

 

「えっ、真面目にやってたんですか?」

「とてもそうは見えなかったが」

「マレビトさんですから、考えがあってのことなんですよ……多分」

「全員ひどくない!?」

 

上から悟飯、ピッコロ、未来悟飯の言である。拗ねるぞ!!!

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