まれびとの旅   作:サブレ.

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第六十五話

仕事の引き継ぎとか遺書とか用意して、気付いたらデンデが地球の神になっててドラゴンボール復活させてた。これで最後の保険もできたってことになるな。うん、打つ手がたくさんあるのは良いことである。

俺も色々目的果たしたから暇だ。体を休めるターンというやつである。

 

「ゲーム付き合ってくれる人ー」

「はい!」

 

そんなノリでデンデとオセロタイムしてたらわらわら色んな人が寄ってきた。ベジータを精神と時の部屋から引き摺り出したポポとかね。どうせなのでトランプや将棋、チェスも自宅から持ってきて大ゲーム大会開幕。

デンデとの対戦はひと段落して、今はポポとマンカラ中。いや強っ。

 

「俺も未来のマレビトさんとよくやったなあ」

「へえ。俺に付き合わされるなんてかわいそうに。ちなみに戦績は?」

「五目並べで100連敗してから覚えてません」

「連戦しすぎ」

 

そんな二人の悟飯はトランプでスピードやって遊んでいる。常人ではまず捉えられないスピードであり、現代悟飯も右手オンリー、トランプ燃やした人の負けというローカルルール付きで。

お互い負けず嫌いなこって。

 

「そういえば、お父さんとラディッツおじさんは修業していないんですね」

「お互い好きな女性と一緒にいるんだろ」

「ええ!?ラディッツおじさん結婚するんですか!?」

「さあ?まあ近々ってところじゃないのか」

「いつからお付き合いしてたんだろう……」

「悟空が長期出張中にラディッツが超サイヤ人になったの覚えてる?」

「はい」

「あのあたり」

「「ええええええ!?!?」」

 

さっぱりわからないといったナメック星人二人は置いておく。おとなしく将棋やってなさい。

 

「あ、負けた」

「ポポの勝ち」

「ちぇー」

 

ボードゲームをリセットしながら、次は何やって遊ぼうか周囲を見渡す。ツイスターはカリン様に差し入れたしな。持ってきたゲームの山を見ながら冷たいお茶を一口。

隣を伺うと、現代の悟飯がトランプ焦がして負けていた。慌ててこっちに謝ろうとする悟飯に気にすんなと手を振る。

 

「…………」

 

力量自体は、現代の悟飯の方が上だなこれ。トップスピードで優っている。爆発力も上だろう。未来悟飯もかなりいい線まで行ったんだけど。

やっぱ生育環境が進化ツリーに何かしらの影響を及ぼしてる、って考えるのが自然かもしれない。メンタルも不安定だったろうしなあ。超サイヤ人への変化もメンタル依存なことを考えると不思議でもないか。

あと単純に腕足りないしな未来悟飯。

 

「Mr.ポポー」

「なにかあったか」

「バーダックの置き土産とかない?」

「バーダックさん……先先代神様ですね」

「先代神にはサイバイマン一族とお前の存在、筋斗雲くらいしか引き継いでいないようだったが」

 

未来見えてんなら腕なくなった悟飯へのヒントとか残してないものかね。ほら、一応初孫じゃん。ラディッツ奥手だし。

そんな感じで半分物置となってた先先代神の部屋の家探し慣行。面白半分で着いてきた初孫二人とピッコロも合わせてそこそこ広い部屋をひっくり返す。隠しエロ本とか残してないかな。

そんな感じで家探しすること一時間。めっっちゃわかりにくい場所に置き手紙があった。

 

「ポポ、知っていたか?」

「初めてみた」

 

まあ掃除してたら見つかるような場所には置かないよな。封筒は無地で、手紙の左上に書いてある宛名は“ガキのガキ”。

孫ってストレートに書けよ……いや、悟空の姓は孫だからクッソややこしくなるわな。この書き方もやむなしだわ。

古びたそれを開封。そこには広大な宇宙を記した地図が書いてあり、そのうち星の一つにはバツ印。横には数字の羅列……惑星の座標だな。

 

「あ!裏にも何か書いてあります!」

「ホントだ」

 

裏面をめくってみると一言、“エロ本はねえ”。

くそ、あいつ先回りしてやがる。

 

 

「あれ、なんだったんでしょう」

「さあ?多分未来の世界にも同じものあると思うから探してみるといいんじゃないか」

 

なにせガキのガキ、すなわち己の孫に残した手紙である。どの世界線の未来を見たのかは知らないが、罠ってことはないだろう。

孫ってほら、時に子供より可愛いらしいし。

 

「コピーいる?」

「貰ってもいいですか」

「いいよ。一旦家寄ってくる」

 

手紙を一度もらって筋斗雲で自宅に帰る。人造人間をもてなした時のコップが伏せたままになっていたので、食器棚にお片付け。それから仕事用のカプセルハウスで手紙のコピーを……あれっ。

封筒が手紙になってる?

糊付け部分を慎重に剥がして、封筒を一枚の大きな紙の形にすると、たった一言。

 

「“寝ろ”」

 

なんだ一体これは。

……まあ、いっか?

 

+++++

 

そんなこんななんやかんやでセルゲーム開幕。わーぱちぱち。

なんにもテンション上がらん。天下一武闘会はあんなに楽しみだったのになあ。

冷静に考えてみれば、俺の策を使うのであれば、俺死ぬじゃん。遺書まで準備しといてすっかり忘れてた。

まあいっか。死にたくないけど、それだけだ。

大体、俺以外にも地球人類全員死にたくないわけだし。

……俺が生きてるより死んでる方が、世界的には都合良いだろーし。

 

 

孫家に悟空を迎えに行って、二人だけで少しゆっくり空を飛ぶ。俺は相変わらず筋斗雲に乗っていて、その隣を悟空が舞空術で飛行している。

 

「マレビトにーちゃん」

「マレビトだっつーの。なんかあったか?」

「にいちゃん、どんな手段考えてんだ?」

 

なんだ甘えた期か?

 

「ナイショ。言っただろ?小狡い方法だから対処されないよう限界まで伏せとくって」

「でも、精神と時の部屋の修業で何か掴んだってピッコロが言ってたぞ」

「俺ピッコロに何か漏らしたっけ」

「不真面目に見えて自称真面目にがんばったって言ってた」

「言い方ぁ!」

「でも、にいちゃんって無駄になることはしないじゃん」

「……まあ、こんな事態だし?」

 

流石に何も考えなかったら部屋に入ってないのはそうだけど。

 

「にいちゃんの作戦だけで倒せねえんか」

「無理……とは言わないけど厳しいと思うぞ。そういう悟空はどうなんだよ。勝てそうか」

「無理だと思う」

「そっかあ」

 

お互いままならないことである。

 

「にいちゃんはさあ」

「うん」

「子供には美味しいご飯が必要って言っただろ」

「そうだな」

「精神と時の部屋には、粉しかねえんだ」

「そうだな」

 

まあ、なんとなく言いたいことはわかる。

 

「でもさ、ご飯の味って、食べ物だけで決まらないじゃん。お金をたくさん作ったフルコースを一人だけで食べるより、家族と食べたおにぎりの方が美味しかったりするだろ」

 

修業を終えた現代の悟飯の様子を見ていたけど、多分あの子は、尊敬するお父さんと一緒に修業ができたことが楽しかったんじゃないだろうか。

もちろん、切羽詰まった事情はあったにしても。

 

「案外、子供から親への愛情って大きいよ」

「そうかなあ」

「そんなもんだ」

 

俺も今になって、お父さんとお母さん……というか向こうの世界に残してきた家族に対する渇望が止まないし。あの世界の食卓に帰れるのなら世界を滅ぼそうとするかもしれない。

やらないけど。世界を滅ぼして帰った俺を、お父さんとお母さんが褒めてくれるとも迎え入れてくれるとも思えないし。世界を滅ぼそうとする息子なんて願い下げだろう。

ペースの遅い飛行は終わりを告げて、セルゲームの舞台が見えた。

サクッと終わってくれればいいのだが、はてさてどうなることやら。

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