第七十一話
ひっさびさの!天下一武闘会!!!この日のために全力で退院してきた。自分で主催者になるのもいいけどさ、アレ疲れるから、今度は純然たる観客で楽しませてもらおう。
ちなみに俺が主催したやつは十三歳以上であることを出場資格にしたけど、今回は十五歳未満とそれ以上に分けられてる。つまりトランクス悟天の初陣という訳だ。
セルゲームから七年。うーん、やっぱりちゃんとしたゲームもとい武闘会はいいな。
セルゲーム以降の七年で変わったことといえば、悟空に第二子が生まれたことと、クリリンとラディッツがとうとう結婚したことだろうか。第二子悟天、めっっちゃ悟空に似てて思わず笑った。今回はちゃんと生まれる前に存在把握してたようでホッと一息。相変わらずお腹は出なかったようだけど。
で、クリリンの結婚相手は18号、ここはまあいい。ラディッツが長い間お付き合いして結婚した相手、大昔ウーロンが最後にお嫁さんにしようとして、代わりに悟空が女装して守った女の子だった。悟空もブルマもウーロンもかなりビビってた。
いや、確かにあの肝が座った同世代に囲まれてたなら気が強く成長するのは分かるよ?実際に会ったら、気が強いというより強かって感じの女性ではあったけど。なんか、十数年越しに物語のオチを見た気分だった。
そんな感じで結婚した二人は同時期に女の子を授かっていて、娘たちは幼馴染として仲良く育ってるらしい。トランクス悟天も幼馴染みたいだし、次世代は俺と違って恵まれてるようでなによりだ。
ちょっとした誤算があったとすれば、悟飯の高校編入を聞いて一時的に嫉妬が憎悪に転換されてしまい、思わず舌を噛みちぎりそうになったことくらいだ。治るまでご飯食べられなくて、それにストレスと負の感情が合わさった結果、食事量が激減したことくらいか。
大したことないな。
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16号に車椅子押してもらい会場についた。うわーすげえ人混みじゃん。背負ってもらった方がいいかもしれん。持ってきた剣は……どうすっかな。
とりあえずみんなと合流。ラディッツの奥さんはお父さんがぎっくり腰になったそうで本日は家で観戦するらしい。
「や、みんな、お久しぶり」
「久しぶりね。病院はいいの?」
「頑張って出てきた。他のみんなは予選?」
「そうだな。子供の部は予選ないみたいだ」
「そっかー」
確か今回からパンチングマシン使うんだっけ?雰囲気もだいぶ変わったよなあ天下一武道会。金回りが良くなったのはいいのか悪いのか。
「混んでるから後ろだな」
「その方がいいだろう」
「マレビトさ、お茶いるだか?」
「おお、ありがと」
「預かっておこう」
16号に保温ボトルを預けて、風で冷えないようにブランケットかぶって後ろの方に待機する。視力良くてよかった。ここで視力まで落ちてたら大変だった。
「16号はどれが楽しみだ?」
「そうだな。18号の戦いだろうか」
「ぶれねえなお前は。俺はやっぱ悟空かなあ。ほら、俺の大会でさ、準決勝のベジータと悟空、ラディッツと悟飯、決勝の悟飯と悟空の戦いすげえ盛り上がったじゃん。あのレベルは見てて楽しい」
「ピッコロが拗ねるぞ」
「なんでだ」
俺がサイヤ人贔屓なの今更だろうが。むしろガッツリ公言してたんだが。
ちびちびとチチからもらったお茶であったまりながら試合開始を待つ。最初はチビッコの部だっけ。どうせトランクスと悟天の決勝だろうけどさ。
「屋台が出ていたが」
「気分悪くなったら困る。いらない」
「そうか」
腹も減らんしな。
そんなこんなで大会開始。この大会でもきっちり賞金は大人と同じだけ出るってんだから金回りマジで良くなったよなあ。俺が開いた大会では昔一回だけ聞いた「わん」の挨拶が好きでわざわざ本人探し出してその挨拶してもらったっけ。実況ももちろん、今大会で実況してる人に依頼した。
いやあ楽しかったな。終わった後疲れて寝込んだけど。
そんなこんなで決勝戦。対戦相手はもちろんトランクスと悟天!
いやー、悟空が初めて天下一武道会出たときとは比べ物にならないくらい強いな。超サイヤ人のバーゲンセールって言ってたの誰だっけ?けど子供っぽさは抜けてなくて、うっかり足をついてしまった悟天が場外負け。
まだ空飛ぶの慣れてないんだな。遠目ではベジータと悟空が息子対決についてなんやかんや張り合っている。
仲良いなお前ら。
サタンのエキシビジョンマッチもさらっと無難に終わり……いやよく頑張ったよサタンは。
「もうしばらく予選ない?」
「そうだな」
「寝る。始まったら起こしてくれ」
ふあ、とあくびを一つして目を閉じる。背もたれに身体を預けて睡魔に身を委ねると、あっという間に意識が沈んだ。
ゆさゆさと肩を揺すられて目を開けた。ちょうど始まる時間だ。端末をもらって決勝トーナメントの組み合わせを見る。
知り合いは順当に上がってるな。組み合わせは……ほーほー……ん?
「…………」
「何かあったか」
「……ラスボス回今かもしれない」
「何だと?」
「多分このシンって出場者、界王神」
トントン、と指で決勝メンバーの一人を指差す。界王神、バーダックが直通コネクション持ってた界王様よりもさらに上の存在。
……正直、あまり好きじゃないやつ。
にしても今かよ。せっかくの天下一武闘会だったのに。
「この後はどうなる」
「わからん。とりあえずピッコロに相談かな……神の知識持ってるし」
「ピッコロならもうすぐに来るだろう」
「あ、ホントだ」
気がこっちに近付いてくる。出番が来る前に話をつけなければ。急いだ方がいいな。
「マレビト、異星の者がいるが、心当たりはあるか」
「ある。多分界王神サマってやつか?」
「何!?」
「確信はないが系譜の可能性は高い。界王様より上の立場が動いてる。まずいかもしれん」
「どうすればいい?」
「カミサマが何を目的にしてるか明確にしないとなんとも。そも、俺より界王神サマカッコカリの方が状況把握してるだろうし。だからトーナメント戻っていつでも話せる場所にいた方がいいと判断する。なんかあったら教えてくれ。前大会主催者の影響力使えば適当な理由で大会中止くらいはできる」
武闘会の運営の人って大体被ってるからな。コネクション作っといて良かった。まさかこんな場面で役に立つとは。
ピッコロは頷いて戻って行った。剣、は近くにあるし、筋斗雲も念の為呼び寄せて遥か上空で待機させておく。あとは、界王神カッコカリがどう動くかで変わってくるしな。
多分、原作知識とやらがあれば、もっとスムーズにコトが運ぶのに。俺そもそもブウ?ブー?がどんな立ち位置の敵だったかも覚えてない。
……ほんと、なんで俺なんだろ。なんの役にも立ってないのに。足引っ張るお荷物と化してる今こそ原作知識ってのがいるのに。
いや、そんなもの持ってても無駄かもな。地球の神様とかバーダックとかナメック星人が例外中の例外なだけで、基本的に神様は俺に関わりたくないはずだし。俺が未来を預言したところで無視されるのがオチだろう。
だったら、そんなものなかった方が良かったのか?でもオタクよりオタクじゃない人間の人口の方が多いだろ。なんで俺なんだろ。
……無駄なことを考えるな。今思考リソースを割くのはそっちじゃない。
「16号、ちょっと俺の家に行って、寝室の学習机の左の引き出し開けて、そこに入ってる赤い巾着持ってきてくれ」
「必要なのか?」
「なるかもしれない。ラスボス戦だ、保険はかけられるだけかける」
16号は頷いて、飛んでいった。そしてすぐに戻ってくる。
「これか」
「そうこれ。ありがと」
巾着を開けると、まるくて小さな豆がぽろんと出てきた。
「仙豆か?一体いつ手に入れた」
「むかーしむかし、俺がオリジナルサイバイマンに苦戦していた頃。怪我した俺のためにカリン様がくれたものをなんとなく食べずにいたやつ」
これで仙豆ストックが一つ増えたことになる。
さて、吉と出るか凶とでるか。