まれびとの旅   作:サブレ.

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第七十五話

何でさー、ブウが分裂とかいうやべえイベント爆誕してんだ?しかも起き上がったはいいが壁に手をついて歩くので精一杯。戦闘できるまでもうしばらく時間かかるんだけど。寿命の限界来たバッテリーか俺は。似たようなもんか。

あー剣が欲しい。切実に欲しい。

 

「状況がまったく分からん」

 

太ったブウ対痩せたブウとかいうよく分からん対決だが、まあ痩せたブウが勝つだろうな。メタ的にというか、主人公がカッコよく勝つ的な意味合いで太ったブウも痩せたブウもビジュアル的にあんまり。そして太ったブウはサタンによって改心済み。

つまり、痩せた悪いブウが勝って、もっと強くなって、ラスボスになると。なるほどー。

 

「…………いやこれどうしろと」

 

当事者になるとさすがラスボス戦とか言ってられねえわこれ。

痩せたブウにちょっかいかけようとする銃持った男に駆け寄り、遠くにぶん投げる。よし。

太ったブウは痩せたブウにさくっと負けて、お菓子にされてバリバリ食べられてしまった。分裂した後一つになり直していい感じの体格を手に入れた魔人ブウは、俺に目を向けると、ケタケタ笑った。

 

「ゾンビ」

「うるせー」

 

つーかどっからそんな語彙手に入れたお前は。

そんな感想を抱きつつ周囲を観察すると、もう一人銃を構えている男が見えた。

いや、おめーらのせいかよ。

しゃーない。魔人ブウに狙われているので、仙豆で得たなけなしの気をフル動員して瞬間移動を計二回。一回目でブウが老人にたどり着くより早く背後に回り込んで首根っこを引っ掴み先ほど投げた男の元に瞬間移動。二回目、二人を絞めつつそのままとりあえず天下一武闘会の選手控え室へ。よし。

 

「!マレビトか!?」

「…………は!?16号お前ここに居たの!?」

 

まさかの16号がいた。嘘だろなんでだ。危ないだろーが。でも少し安心。

とりあえず寝転ぶ。気絶した二人はとりあえずその辺に投げた。ブウに殺されるよりかマシだろ。

 

「状況が分からんが早く避難すればよかったのに」

「それはできない。マレビトがここに逃げてきた時に、助けとなる者が必要だろう」

「確かに」

 

実際今めっちゃ助かってるわけだ。

 

「彼らは?」

「なんかよく分からんけど、ブウをさらに悪化させた原因的な奴ら。とりあえず助けるついでにシメといたけど」

「助けてよかったのか?」

「アンパンの妖精は目の前で困ってる人がバイキンマンでも助ける。多分指輪の魔法使いも天の道を往き総てを司る男もそう。黒獅子は知らん」

「マレビトがそうしたかったのか」

「多分な」

「なら仕方がない」

「どーも。ついでにエネルギーくれ」

「好きなだけ持っていくといい」

 

あー無限エネルギー最高。好きなだけ分けてもらえるっていいな。羨ましい限りだ。俺カッツカツすぎる。

充電に時間がかかるので、冷たい床に寝そべってると、16号が近くの医務室から毛布とシーツを持ってきた。

 

「風邪を引くぞ」

「今心配するのそれか?ありがたいが」

「聞きたい話はあるか?」

「全部終わったらご飯何?」

「食べたいものはあるか」

「んー……うどんか蕎麦か、ラーメンでもいいな。とりあえずあったかい麺。ネギたくさん入れて。あと、みかん入った牛乳寒天。飲み物は冷たい烏龍茶」

「そうか」

 

取り止めのない話をしてると、だいぶ調子が戻ってきた。よし、戦闘行けるな。

と思って勢いよく立ち上がったら目眩がして全力で転んだ。16号がいなかったら顔を強打してたレベルだった。

あぶねえ。

 

「行くのか?」

「んー」

「行かなくても、誰も責めはしない」

「だろうね」

 

客観的に見たら普通に重病人だしな。もし俺が16号の立場だったら「寝ろ」って言ってたに違いないし。

……あ、バーダックの“寝ろ”ってこれのことか?

 

「でもさあ。なんかこう……このままだと、合わせる顔がないんだよ。もう穴を掘って埋まってそこで事切れたいレベルで」

「それはやめろ」

「食い気味じゃん。でもさ、今の俺の心理状況を真面目に見つめ直すとこんな感じ。冷静になったら大変無様な姿を晒すことになる。だからどっかで挽回しておきたいんだよ」

 

いやさー。大事な剣を悟空に投げつけた後剣がないやべえってなったり、助けようとしてくれた悟空にうるさい黙れって叫んだり、ちょっと精神が退行しただけで強さ自体は変わってないのにサタンと違って動けなくなったり……

うん、今すぐ大声で叫びながら地面に転がりたい。

 

「ま、結末が同じでも過程でなんかやれる事はあるだろ。なかったら大人しく引っ込んでるよ」

「本当か?」

「俺、フリーザの時もセルゲームの時も引っ込むべきと思ったら大人しくしてましたが」

 

状況は読めるし自分の強さは把握してるしやれることとやれないことは線引きしてるが。

ポカはやらかすけど調子に乗ったことはあんまり無い!!!多分!!!

 

「オレはマレビトを止めはしない」

「ん、あんがと」

「だが、マレビトがいなくなると寂しい」

「…………」

「無理をするなよ」

「おう」

 

ブウの場所を探る。……なんか神殿にいる!?

とりあえずピッコロやらチビたちやら、ブウに殺されていないことはわかる。何がどうしてそうなったかはわからないが大急ぎをする必要はなさそうか。あとは……

 

「…………すまん、悟空ラディッツベジータ悟飯の主戦力どこ?」

「把握していない。マレビトを待っていたからな」

「だよな」

「しかしベジータは死んだと聞いた」

「なんで?」

「バビディの洗脳を受け入れラディッツと戦闘を行った後、ブウに向かい自爆したと」

「あ〜」

 

あの二人仲悪かったもんなそういや。いや、ベジータが一方的に思うところあっただけだけど。

あの四人、いや、三人が何もしないのはあり得ない。つまり俺が今やるべきこと、必要なのはブウの元に強化された三人が戻ってくるまで、地球を延命させた上で暴れないように留めておくこと。

つまり時間稼ぎだ。いつものことである。

やるべきことを理解したので、瞬間移動で神殿に降り立つ。それは丁度タイミングよく、癇癪を起こしたブウが巨大な砂時計を破壊したところだった。

慌てているピッコロと、ブウの間に立ち塞がるようにして、ブウと向かい合う。砂時計はピッコロが出したものだろう。

 

「マレビト!?」

「アンタ生きてたの!?」

「無事だったのか!良かった!」

 

そんな歓声に手を振って答えながら周囲を観察する。そして、先ほど出した必要事項に思いを馳せる。

うーんこれは。

 

「ピッコロお前、時間稼ぎ、下手くそか?」

「…………悪かったな!!!」

 

あ、拗ねた。ブウから視線離してないから直接顔を見てる訳ではないが、声でわかる。間違いなく拗ねた。

別に怒っても責めてもいないんだがな……さて、状況が見えないがブウは何かを考えている。この沈黙が長く続かない以上、質問は絞るべきだ。

俺が最低限把握すべきことはっと。

 

「どれだけ稼ごうとした?」

「一時間」

「どれだけ経った」

「三十分にも満たない」

「勝機は?」

「ある」

 

よし。

 

「了解。じゃあ残りの三十分ちょっとは俺が引き継ぐわ」

 

ピッコロがそう言うんならそうなんだろう。なんだかんだサイヤ人はやる時はやる種族だ。あとは間に合うように時間を引き延ばす、いつものこと。

さて、やるか。

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