「ポタラ?」
「合体戦士になれるピアスだ。合体だけならフュージョンって手もあるけど習得にちょっとばかし時間がかかる」
「詳しいな」
「昔バーダックと色々試したから」
肉体二つに魂三つでバグりまくってたいへんな目にあったのは懐かしい。
「右と左にそれぞれ付けることで合体できる」
「へえ、かっこいいじゃん!」
「ええ〜、ピアスなんてお母さんに怒られるよ!」
「その時は『マレビトさんに無理やり付けられた!』って責任俺に投げろ。俺が怒られるから」
「お前ばかりが怒られる必要もないだろう」
「まあ、子供が頑張ってくれるんだからこれくらいのフォローはな?」
……でも、チチにめっちゃ怒られるのこええな。
チチ、怒ったら怖いんだよ。あと前世のお母さん思い出して泣きそうになると思う。というか泣く。外聞を憚らず泣く。
まあ俺の外聞なんざ、悟空に剣を投げつけた時点で粉砕されているようなもんだけど。
「で、だ。ポタラ合体した二人がやることは、吸収されたみんなの解放」
「!すげー!ヒーローみたいだ!」
「どうやるの?」
「まず初手で負けて吸収される。その時にバリア張っておいて中に侵入、暴れてこい。要するに一寸法師と同じことをすればいい」
「ええ〜、一回負けるの?かっこ悪……」
「へ?めっちゃ花形だろ?」
生きて暴れてみんなを解放するって結構わかりやすくてかっこいい戦略だと思う、てかチビたち向けに割と派手目に組んだんだけど。
「ヒーローになれるんだからいいだろ」
「じゃあマレビトさんはカッコ悪いって思わないわけ?」
「全く思わん。目的を達成するためならかませ犬だろうが死体のフリだろうが餌だろうがなんだってやる。俺の主戦場は基本的に前座だしな、俺を踏み台にこっちの陣営が勝利するなら万々歳」
「…………」
「いいか?今回のこれは武闘会じゃなくて生存競争だ。カッコわるかろうがなんだろうが、勝利条件は決まってる。デンデとドラゴンレーダーを守り切って、一人でも地球人が生きてりゃ勝ちだ。
生存競争の敗北者を知ってるか?サイヤ人だよ。サイヤ人のやり方じゃ敵には勝てても生存競争には負ける、少なくとも今回はな。
最強と勝者は違うんだ。どっちがいい?」
まあここに純粋な地球人はサタンしかいないんだけどな……なんだろうこの地球人外率は。そしてサイヤ人率は。
「無理にとは言わんけどな。やりたくないならやらんくていい。俺が出る」
「……ううん、やる」
「僕も!」
「それは頼もしい」
ポタラをそれぞれに投げ渡す。
使い方を教えて、二人がピアスをつけたと同時に二人が引き寄せられ、一人になった。
なるほど、これが合体戦士か。
「マレビトさん、名前どうしよ?」
「うん、ゴテンクスかトランテンか……トランテンにしよう」
「そっちでいいのか?」
「ぶっちゃけポタラを使った合体って今回限りだと思うんだよ、そもそもポタラ自体厄ネタになりかねないと言うか……それに対してフュージョンは今後もやる可能性あるだろ?一回限りダサいのと、今後ずっとダサいのだったら、前者の方がマシかなと」
「なんでもいいから早く行こうよ!」
「ん、そだな」
右手を差し出す。合体してくれて助かった。瞬間移動しようと集中していると、背後から声がかかる。
「マレビトお前、まだ前線にいるつもりか?」
「送迎役だよ。てか未来悟飯も片腕だしイケるんじゃね?」
「やめろ、休め」
「……」
これ、どう反応するのが正しいんだろうか?
悩んでたら、トランテンが俺の手を振り解いて、自分でブウの元へとすっ飛んでいった。その後をピッコロが追いかける。後にはデンデとサタン、俺と16号が残された。
「俺、邪魔だったか?」
「邪魔ではない。ただ、もう戦わなくていい。充分頼りにしたということだ」
「そうですよ。マレビトさん」
「でも合わせる顔がないんだよ」
「それはむしろこちらの方だ。七年前に既に告げているだろう、“ギブアップ”と」
「……」
「もう戦えないと、一度は宣言したんだ。休んでいい。あとは俺たちがやることだ」
そういや言ったな、そんなこと。
いやでもな、納得できないし心が落ち着かないし……
「マレビトさんはワーカーホリックなんですねえ」
「へ?」
思わず発言元であるサタンを振り向いた。ワーカーホリック……社畜?
おいこら、デンデに16号!納得するな頷くな!
「なるほど、休むことに慣れていないんですね」
「俺と出会うまでは孫悟空がそばに居たからな、指摘されることも無かったのだろう」
「よく休まなくちゃだめですよ」
なんで説教される流れに。
なんか、いい感じに逃れられる所はないだろうか……あっ、悟空ベジータがブウの前でトランテンと合流してる!よし、これだ!
「話の途中だけど、悟空ベジータが到着したみたいだ、合流する」
「話を聞いていたのか?」
「二人に、代わりに説明して親に怒られると約束した。責任者は俺だ」
「…………戦う前に引き戻すぞ」
盛大にため息付きたいんだけど、と言わんばかりの16号に手を振って、逃げるように瞬間移動して、ブウの近くに転移する。
「!にいちゃん!?」
「おいマレビト……なぜトランクスと悟天が合体している!?」
「色々あってさ。責任者は俺だ」
「元ににもどれるんか?」
「ドラゴンボール使えばいける」
「……ならばいい」
「なんか策あるか?」
「ああ!」
「そうか、心強い」
ベジータの視線が俺の左腕があった場所に一瞬映ってから、ブウに向いた。なんだかちょっと不機嫌である。悟空はちらちらと気まずそうに俺を見てる。
そうだ謝らないと。今更緊張でちょっと心臓が高鳴ってるな。
「……悪かった、ごめんな」
「気にしてねえよ」
「ありがとう。トランテン、やることはわかってるな?」
「うん!」
「よし、じゃあ任せた!」
その声と共に、背後でフュージョンの声が……あっ、そっち!?お前ら二人がフュージョン習得してたの!?つーかあの動き割とダサいけどよくベジータ納得したな!?
背後でやってんのは見られたくないからか!?
「いっくぞー!」
トランテンはバリアを張りながら無茶苦茶に特攻して、さらっと吸収された。うんうん、予定通り。そして体内で追撃されないよう、誕生したフュージョン合体戦士……ゴジータがブウに猛攻を仕掛ける。
俺は淡々と観戦してるだけだ。……あっ、吸収された人たちみんな帰ってきた。よしよし、すごいじゃんトランテン!
来い来い、と手招きして、連れ帰ってきた人たちごと無理やり掴んで、16号が待機してた近くの岩陰に退避。した途端、二人が音を立てて元に戻った。
元に戻るんだポタラ……。
「よし、すごい!頑張った!かっこよかった!えらい!」
片腕しかないから一人ずつしか撫でられないのがちょっと申し訳ないけど、盛大に褒める。親父たちが頑張ってるから、今くらいは調子に乗ってもいいだろ。
「あとは?お父さんたちがブウを倒せばいいの?」
「そゆこと。っと、サタン達はどうだか様子見てくる。動くなよ」
デンデいるから大丈夫だと思うんだけど念のためな。あと、これは勘というか思い出せそうで思い出せない“ドラゴンボールの展開”なんだが、多分サタンが必要になりそうな気がするんだ。
えっと、あと何を考えればいいんだっけ?とぼけっとしていたら、ブウが小さくなったかと思えば突然地球を破壊しようと……は?
「はあ!?」
「俺はいい、二人を連れて行け」
「どうも!」
慌ててチビ二人を抱え上げて……手が足りないんですが!!!腕!!!
とにかく優先すべきはデンデとサタン!!!瞬間移動で二人の元に駆けつけたのと、悟空が来たのはほぼ同時だった。地面を蹴り上げてサタンの元に辿り着いたところで悟空達と合流、した途端。
目の前に界王神が現れた。
「…………やっべ、しくったかも」
界王神が俺を助けることはない。抱えてるチビ二人と稀人一人、優先順位どっちが高い?今から旧ナメック星に転移?それとも押し付けるべきか?間に合うか?
そんな思考の中、とにかく悟空に抱えていた二人を押し付ける。
瞬間、閃光が視界を包んだあと、全く別の星に転移していた。
……まさかここ。
「…………え、えぇー」
「それを言いたいのはこっちじゃよ」
「俺もわざと来た訳じゃないから……」
よりにもよって界王神界かよ。
稀人が存在していい場所じゃねえ。