まれびとの旅   作:サブレ.

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第八話

燃料ギリギリになって辿り着いた町で燃料補給しようとすると、ものすごく怯えられた。悟空が挨拶すると逃げられ、スタンドでは無料になり、歩くだけで悲鳴、カプセルを買うとタダになる。

 

「ぜったいなんかある」

 

悟空ブルマウーロンは何となく流してるけど。ぜったいになんか裏がある。試しに探ってみると、横暴な二人組が歩いていた。頭につけているのは似合わないうさぎ耳……あーなるほど、これが原因か?

 

「ちょっとしばいてくるわ」

「?」

 

りんごを勝手に食べては不味いと文句を言い、子供が前を横切ったと蹴り飛ばす。遠くで誰が死のうと手を差し伸べるほど余裕はないけど、さすがにこういうのを黙って見ているのは、なんか違う気がするんだよ。

 

「よ」

「ああ!?誰だテメェ!」

「マレビト。あんたら誰だ?」

「こりゃ珍しい!泣く子も黙るウサギ団を知らねえってか?」

「よそ者だな、お前」

「うーん否定できねえ」

 

魂は異世界産だからな俺。いや、この二人が言いたいのはそういうことじゃないってのはよくわかるけど。銃を突きつけられながらそんなことを考えてたら、悟空が横取りする様に二人をぶっ飛ばしていた。

 

「あー久しぶりにたたかったからキモチいいな〜」

「何かってに突っ込んできてんだオラ。あぶねーだろ一声かけろ」

「ギャッ!」

 

デコピン一発。俺がしばくって言ったのに。頭を押さえてふるふる震える悟空が可笑しい。でも周囲の人たちの慌てっぷりを見るに、そろそろボスが来そうだ。さて、どんな奴なのか。

住人が隠れてしばらく、ブルンブルンとエンジン音を響かせてやって来たのは、可愛らしいデフォルメ兎のコンパクトカー。そこから出てきたのは兎人だ。

いや、ウサギ団ってそのまんまだったんかい!せめて多少ヒネリ入れるとか……フリーザ軍と大して変わらないか。ごめんな無茶振りして。

 

「オッオヤブンー!」

「情けない声を出すんじゃありません。我がウサギ団に逆らった奴はどこですか?」

「あ、あいつらです!」

 

指さされた。当たり前か、ここには俺たち以外居ないんだし。ウサギはとうっとカッコつけてクルクル空中回転して、目の前に着地した。襲いかかることなく、すっと手を差し出す。怪しすぎる。

 

「握手しましょう」

「やだ」

 

サングラスごとデコピンすると、ウサギは後ろにひっくり返って頭を打ち、そのまま気絶した。ブルマとウーロンはビビってるけど、サイヤ人の悟空が痛がるデコピンだぞ、生半可な威力はしとらんわ。ちゃんとサングラス割らずに威力だけウサギに伝えるの、コツいるんだぞ?

 

「た、倒しちまいやがった……」

「ん?ヤムチャか」

「そいつは兎人参化といって、やつに触ると人参になってしまうのだ」

「そうなのか?触んなくてよかったわ。情報提供ありがとな」

「あ!あなたはあの時の!」

「ゲッ!お、教えられるのはこれが全部だ!じゃあな!」

 

ついてきてたヤムチャは解説をするや否や、脱兎の如く逃げ出した。ヤムチャは女に弱いのか……。そしてなるほど、オヤブンがここまで恐れられてる理由が分かった。強さ関係なく触られたら終わりとか初見殺しだな。悟空は如意棒でツンツンしてるし。

とりあえず縛って、さてどうしようこいつら。

 

「なんかいい案ある人ー」

「はい!」

「はい、悟空くん早かった」

「あそこに連れてく!」

 

指の先には、月。ウサギの行く場所としてはもってこいだ。いいこと思いついたな、悟空。

 

「じゃ、頼むぜ」

「おう!」

 

如意棒で道を作りひたすらに登っていく悟空。もうしばらくすれば戻ってくるだろう、と上を見上げてふと気づいた。月齢が進んでいる。あと何日かで満月だ。サイヤ人の本能が解放されるための、条件が揃う日。

 

「……気をつけないとなあ」

 

うっかり踏み潰してしまいました、なんてシャレにならない。サイヤ人の知識がある、俺がいる間だけはなんとかしないとなあ。

 

+++++

 

車で荒野をひたすら走る。この分だとあとそんなにかからないかな。この車速いし、燃料入れたばっかりだからかっ飛ばせる。邪魔なものもない。

 

「ところでよ、一度聞きたかったんだけど、ブルマさあ、ドラゴンボール集まったらどういう願いを叶えてもらうんだ?」

「ホッホッホ!言わなかったっけ?恋人よ!ステキな恋人!」

「なにー!?恋人!?俺たちが命がけで手伝ってやって、そんなしょーもない願いかよ!」

「しょーもないとはなによ?」

「なあブルマ。ドラゴンボールって、一度使ったあとも、時間おけば使えたよな?」

 

百年前に願いを叶えた人がいた筈だ。今回はブルマが使うんだろうけど、その次は俺が使いたい。

 

「マレビトもなにか叶えたい願いがあんのか?」

「あるなあ。そこまで急いでないが」

 

この体は最初から病気だった。俺という魂が迎え入れられる前、それこそ生まれた時からずっと。治せるものなら、治したい。俺とは別の、身体の本来の持ち主である魂もそれを望んでいるだろう。

多分。

 

「そのときはドラゴンレーダー貸してくれ」

「もちろんいいわよ!」

「よっしゃ」

 

それじゃ、最後のひとつを集めるとするか。

息を整えて、車の側面に向かって飛んできたミサイルを空高く蹴っ飛ばす。ミサイルは遥か上空で爆発した。

 

「ひえっ!」

「たーまやー」

「あービックリした……」

 

破片はいい感じに散らばって被害はナシ。上出来だな。撃ってきた奴は草むらに隠れている。手出ししてこないならこのまま様子見でも大丈夫か?

 

「なんだったんだ?」

「あ、逃げた。ブルマ、追撃かけるか?」

「い、いいわよ。どうせあと一つなんだし」

「分かった。あとさ、ヤムチャついてきてるけど、誘う?」

「あの方が来てるの!?」

「うん」

 

ブルマが歓迎モードに入ったので、木の影に隠れていたヤムチャを手招いた。多分ドラゴンボールが狙いなんだろうけど、さすがに何日も付いてこられるといろいろと思うところがある。

 

「や、やあ!ぐうぜんだなあ!」

「久しぶりだな」

「きゃーっ!ヤ、ヤムチャさまっー!」

「ヤムチャ!来てたのか!」

 

あ、悟空も嬉しそうだ。まあ下心有りとはいえ車くれたりしたもんな。二つの車が並んでドラゴンボールのありかまで並走する。そうして辿り着いた場所にあったのは、荒野にでんと聳え立つ巨大な城だった。環境は違えど、牛魔王の城を思い出す。

しんがりを務めてのんびり歩いていると、足元に矢印。

 

「…………あやしい」

 

立ち止まって観察。壁が降ってきた。分断。

 

「……正しかったな」

 

からくり屋敷はちょっと気になるけど、優先順位は悟空たち。剣を抜いて一呼吸、二回振るうと壁が切り裂かれて向こうが見えた。唖然としているのはちょっと納得いかない。助けただろ、俺、

 

「全員無事か?」

「す、すごいな……」

「にいちゃんすげえ!」

「まあな。ブルマ、ドラゴンレーダー借りていいか?あとドラゴンボール手元にあるな?」

「え、ええ」

「じゃあショートカットするぞ」

 

迷路で迷わない方法はひとつ、壁をぶち抜いてまっすぐ進むこと。この城改造しまくってるし多少壊しても強度の問題はないだろ、多分。

切って蹴って壊してずんずん進撃。たまに銃口向けてくる光線銃とかも全部破壊する。最後にひときわ分厚い鉄の壁を破壊したら、沢山のモニターに囲まれて水色の小さい男、背の高い女、忍者服の犬の三人……人?がいた。ドラゴンボールの反応もこの部屋だ。一歩前に踏み出すと、ひえっと三人が後ずさる。

 

「初めまして、話し合いしようぜ」

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