「ピッコロは時間稼ぎが下手なのか?」
「急にどうした」
質問がいきなりすぎる。背後に立っていた16号を振り向くと、ちょうど台所仕事がひと段落したあたりだった。食洗機が音を立てていて、お茶を淹れるためのお湯を沸かしている最中だ。もしや台所仕事中暇だったか。
「ブウとの戦いのときにそんなことを言っていたと聞いた」
「あー、あれは相性の問題もあると思うけどな」
「相性?」
「そう。17号がセルに向かってってさっくり吸収されたようなあれ」
凝り固まった筋肉をほぐすように大きく伸びをしてストレッチ。今日はもう切り上げようかなと思いながら軽く片付けをしつつ、ブウとピッコロ、そして16号の性格を思い浮かべる。
「16号とかピッコロみたいな根が穏やかな奴には理解し難いんだろうけど、あの時の邪悪なブウは不愉快の苦痛より退屈の苦痛が上回るタイプだったみたいだし」
「……そうなのか?」
「そういうやつもいるってだけ。ま、精神と時の部屋とか分かりやすいけど、あーいう何もない時間がほんの数分で耐えきれなくなるタイプっているからなあ。そう考えると30分は持った方か」
あれが長期間に及ぶ封印の後遺症なのか、それとも元々の性質なのかは知らないけど。
「ナメック星人っていう種族特性と噛み合わなかったパターンだな」
「なら、ピッコロは特に下手くそではなかったということか?」
「いや、それはそれとしてヘタクソ」
時間稼ぎを主な役割というか引き受けることが多い俺としては、宣言した時間くらいは稼がないとと思うところはある。宣言した時間より短くて良いのは状況をひっくり返す切り札が予想より早く完成した時くらいだ。
よって撤回はしない。
「ま、俺も偉そうなことは言えないというか、相性悪い相手と遭遇したらろくに仕事できない可能性もあるしさ。そのときは俺もヘタクソだったってだけになるか」
「マレビトはどんな相手なら相性が悪いんだ」
俺が苦手なタイプ、なあ。ちょっと考えて、すぐに出てきた。
「あらゆる小細工を真正面から粉砕するので地力を底上げして競り勝たないといけない、本人の性質が善性よりのタイプ?」
「そもそもマレビトがそのような相手と敵対するのか?」
「するかもしれないし、しないかもしれない。つまり分からん。ま、そういう相手が来たらそれこそ悟空かバーダックかその辺に丸投げする。俺が仕事できるような相手じゃないし」
戦闘力という意味では上澄を保ってるとは言え、切り札と呼ぶには少々心許ない自覚はあるのだ。適材適所、大事。
この後16号の淹れてくれたお茶とケーキでまったりした。美味い。