「マレビトさん、おじゃまします」
「よく来たな〜資料好きに持ちだして良いけど持ち出す本のタイトルだけメモって置いといて」
ログハウス横の職場兼資料置き場になってるカプセルハウスに悟飯が入ってきたので視線をよこさずに言葉だけで反応する。CDやDVD程の大きさの物体に亀裂を入れては直し、組み立てては平く戻す、その繰り返しだ。単純作業はノってくればなかなか楽しい。
後ろではしばらくの間、悟飯が本棚を漁っては紙に何かをメモする音が聞こえてくるが、しばらく経ってそれも止んだ。
「マレビトさん、このタイトルの本ってあります?」
「んー……あ、すまん無いわ。今使っててログハウスの方にある。渡すの来週でいいか?」
「いいですよ勿論。でも珍しいですね、何か新しいことでもするんですか?」
「ん、まあな。こんな感じの知育玩具というか食玩の企画に使ってて」
すでに完成しているディスクを手に取って軽く操作する。亀裂の入っているディスクは自然と組み立てられて、一枚の円盤から一匹の鷹が生まれた。
「名前をディスクアニマル。流石におもちゃとして売り出すときは手で組み立てる形になるからこんな自立はしないかな、とは思ってるけど、案外ブルマの手にかかればなんとかなるかもなあ」
「へえ……今は鳥だけですか?」
「他にも色々シリーズとして何個か作ってから持ち込もうと思ってるからな。」
カニの図鑑とか資料が品切れなのはそれのせいである。すまんな。
「ちょっと今は試行錯誤タイムなんだ」
「なるほど……でもそれ、何でできてるんですか?粘土やプラスチックとかでは無いですよね」
「これ?気弾」
ごふっと後ろから変な音が聞こえた。失礼だな。
「下手な素材より気弾の方が楽なんだよ。ゴミでないし、消せるし。売るときはちゃんとしたおもちゃだから気弾じゃないから」
「そうじゃなきゃ困りますよ」
着想元はスーパーゴーストカミカゼアタックだ。自立式の気弾が成立するなら、気弾一つ一つをもっと別の方式で自立させたら楽じゃね?と思い至ったのが先で、玩具化の企画はその付属みたいなものだ。
でも確かに、気の
「でも、マレビトさんが虫じゃない物を作るって意外です。マレビトさん、虫好きですよね」
「実は虫はもうある」
指を軽く振って呼び出すと、どこからともなくカブトやクワガタなどのどこかガジェット風味の昆虫が集まってくる。わかりやすくカラーリングされているので、通常の昆虫と見間違えることはまずない。
「変形機能のない虫型はゼクターって呼んでる。今作ってるディスクアニマルとはまた別で、こっちは玩具化とかの予定はないかな」
「これも気弾なんですか?」
「正確には元気玉モドキ」
ごふっと後ろから変な音が聞こえた。失礼だな。
「元気玉、強力だけど作るのに時間がかかるのが欠点だろ?だから余裕のある時に作っておいて、命令を聞く程度の自立機構を持たせてる。あんまり大きな元気玉ではないけど、それを複数作って招集することで有効打になる威力の元気玉モドキを作れるわけだな」
「な、なるほど……でも、それならディスクアニマルよりゼクターを沢山作った方がいいんじゃ?」
「メリットデメリットを考慮してだな」
作業の手を止めて、未完成のディスクアニマルを起動する。まだ歪な動きしかできないヘビは悟飯の元に這い寄ると、スッと柔らかな光となって消えた。
「気を分け与えて応急処置って、悟空もやってただろ?それと同じことがディスクアニマルにはできる。仙豆が足りないときとか手元にない時用の、代用品ってとこかな」
「なるほど」
「あとは単純に仙豆の運搬係とか、ドラゴンボールの運搬とか伝言役とか、普通に気弾としての自爆とか。これはゼクターにもできなくはないけど、製作者の俺以外でも扱えるって点ではゼクターとは異なるかな」
元気玉の吸収って難易度高いから、気を分けるとか凡庸性とかを考えるとディスクアニマルに軍牌が上がる。そう考えると元気玉の難易度高いな、いや俺やってるのモドキだけど。
「あと、これ結構ゼクターにはないメリットなんだけど、収納整理整頓、楽」
「……はあ」
カラーリング変えれるディスクなので、使わないときは棚にでもしまって置けるしカバンの隙間にも入る。それこそカプセルにしまっといてもいいしな。自立機構を得るのはディスクからアニマル型に組み立てた後だし。
「気弾の収納性を考えるのはマレビトさんくらいだと思います」
「仕方ないだろ。俺そんなに気の総量が多くない上に全力出したときの反動大きいんだから、こういう小細工必須なの」
今この場にいる潜在能力バグが羨ましいわまったく。いやないものねだりしてても仕方ないんだけどな!