(深き僻墓 -第二層-)
死んで目が覚めたら触手を巻き付けた服を着ている墓守みたいな奴だった。
?????
・・・・・・・・・
私は車にひかれて死んだ。死んだら無になると思っていたがどうやら違ったらしい。
瞼に光があたり、少しずつ目を開けると前には知らない壁。周りを見渡せば摩訶不思議な装飾があり、レンガの積み上げられた壁がこの空間を囲んでいる。
正直言って脳が処理できできずに呆然としていた。死んだのに、死んでいない。それどころか意味不明な現象に遭遇している。
私はどこかにワープしたのか?そもそも私なのか?
分からないこの不安な感情をどうにか安心させるべく、深呼吸した。
「スーッ…ハァー…スーッ」
「どうされましたか?」
「はぁっ?!」
めっちゃびっくりした。
突然現れた《女性》に驚いて変な声が出てしまった。だが人がいることで少しだけ、心に余裕ができた気がする。とりあえず話を聞いてみなければ何もわからない。
「あの…ここはいったいどこなんですか」
「…?深き僻墓ですよ。どうされましたか」
全く聞いたことがない地名だ。僻地にある墓なのか?
「深き僻墓…えっと、外に出られませんか」
「…追放された私たちがいられる場所はここしかありません。そのようにおっしゃったではありませんか」
どうやらもう前の私ではないらしい。そして今の私は何かから追放されたようだ。…私たち?
「えーっと、あなたは…?」
「師よ、どうしてしまったのですか。壁から離れたアナタは、まるで別人のようですよ」
別人ですからね…と言いたくなるのを我慢する。どうやら私はこの女性の師であるらしい。師か…服装や手持ち、追放されたという事実から、多分碌でもないことなのだろうなと考える。
「あ、あぁすまない。少し混乱してしまってね」
別人であると話しても信じられる訳ないので、ひとまず誤魔化す事にする。
その後、彼女からの追及はなく「遺跡の見回りをしてきます」と言い残して姿を消した。
追求されずに済んだのは良かったが、いずれバレてしまうだろう。どこかで伝えるタイミングを見つけなければならない…。
とりあえず所持品を漁ることにする。何か手記でもあれば良いが…
所持品を検めると願った通りの手記が出てきた。しかしボロボロになったそれは全ては読めそうにない。
辛うじて読める部分を何枚か読むことにする。
私は 違ってい 全ては 会の上位者 仕組まれ 神秘とは べきでなかっ
は医療協会 ああ 赦し く 赦してく 赦 くれ………
読める部分はこれだけだったが、重要なワードは『上位者』『神秘』『医療協会』だと思われる。そして手記の最後の方はほとんど「赦してくれ」と書き殴られている。何か、ここまで追い詰められるような事をしたのだろうか。
手記からの情報はここまでしか得られなかった。
やはり本当の事を彼女に話すべきだろう。きっとこのまま誤魔化すこと出来ないだろうし、そして『私』としても、この人物が一体どのような人物だったのかを知らなければならないような気がする。
彼女を待つ為に部屋を見て回ったが、目が垂れていて口がボロボロになった、おぞましい生き物が地面から生えているランタンのような物の下に集まっていた。奇妙な声を出すその存在はこちらを見ているが、不思議と笑っているように見えた。
ありがとうございました。
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