次の日。
普通に高校で授業を受けている最中だ。
「翡翠くん翡翠くん!」
「っ!?」
あっ…せったぁ…!?机蹴るところだった…と右手の上に像が浮かび上がった。何だ、坂本さんか。
「早くも部長が自白したよ!泣きべそかきながら警察に全部話してる!」
声が喜々としとる…まあ、何よりか。
「(分かった。罪が軽くなったりはなりそうか?)」
と、坂本さんはちょっと考えるように唸って、
「うーん…そうだねぇ…あんまりそこらへんは詳しくないけど、何か警察官の人が言うには自白は反省してると見なされるみたいだから、ちょっとは軽くされるかもねぇ。」
なるほどね。まあ大体見立て通りか。
「あと、坂本の霊が俺に憑いててずっと自白を強要してきてるって言ってるよ。寝てる間ずっと夢で呪ってきやがるってさ。それで反省して…ん?」
ん?何か途切れた。
「(どうしたー?)」
「いや、部長のやつ内心全く反省してないくせに反省した風にしてるねぇ。こりゃ減刑狙いか。」
お?なるほどね…
「(起きてる間は言ってなかったのか?)」
と、坂本さんはちょっと困ったように、
「いや、一応言ってたんだけどねぇ…全く反応がないんだよ。起きてると声が聞こえないとか独り言で言ってたし。」
なるほど…確かに、起きてる間は無意識よりも普通の意識のほうが優先されるから取り憑いている霊の影響を受けにくい。…が、それは相手が普通の霊ならの話。今回は後ろに変わったやつがいるちょっとした異例だ。
「(よし、坂本さんに俺の霊力をちょっと渡そう。一回死んでる場合は霊力が弾かれたりはしないから、そのままパワーアップするはずだ。その状態で魂の中から心内を叫んでみてくれ。多分聞こえるはずだ。)」
で、右手からリンクしている霊力のラインを通して俺の霊力を流していく。と、
「反省なんかしてないだろおォォォ!真実をちゃんと伝えてみろおォォォ!」
…リンク先から声が聞こえてきた。うお、迫真の演技。つか恨みったらしくって言ったけどこれリアリティヤバすぎんか?坂本さん演技派だったのか。
「やったやった!聞こえたみたいだ!ビビり散らかして「刑を、普通の刑の分食らわせてくださいっ!」って言ってるよ!アハハハ!」
うお、テンションたっけぇ。草。
にしても随分と坂本さんやったみたいだな。まああの名演技だ。夜通し聞き続けたら気も狂う…かな?いやでもただの夢と割り切るのもできるような…まあいいか。
坂本さんは…まあ、色々あったみたいだし、余程嬉しいんだろうな。
「じゃあーこの問題を翡翠、解いてみろ。」
…あ、やべ、授業中なんだった…
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昼休み─屋上
「サンキュー、せ…須臾。」
何とか刹那が後ろから答えを教えてくれたから何とかなった。セーフ…英語のトヨセン(豊橋先生)、授業聞いてないと色々怖いからな…
で、一応念の為校内では須臾と呼んでいる。
「翡翠さんが授業聞いてないっていうのは珍しいですね。」
「ま、昨日の一件がまだ続いててな。」
「昨日n…うっ、」
あ、ごめ。
「すまん。」
少し俯いて口を抑える刹那に謝る。
「いや、良いんですよ…にしても、まだ続いてるというと…?」
とりあえず話の内容を掻い摘んで説明した。と…
「な、なるほど…それで、その部長さんが自首して本来の刑を決められたら解決するんですか?」
「ああ、もうすぐ終わるだろ。」
そうなると坂本さんは成仏できるな。悪霊退治は結構時間の差が出るからな…話が通じないやつは強制成仏しかなくなるが、長いと5日かかったこともあったな。そう考えると2日で終わったのは良い方だ。
「…にしても、昨日私何もできませんでしたね…隅でグロッキーになって終わりでしたよ…」
「まあ、最初からあれはハードすぎるな。運が悪かったというか何というか。妙にリアルすぎたからなぁ。」
リアルゾンビとはこのことか。うぉーきんぐでっど。
と、
「よっと、お熱いところちょっと失礼するよ。」
「うお、坂本さん。いや別に熱くもないんだけど。」
と、横から刹那が右手を覗き込んできた。
「あっ、坂本さん…ですか。昨日は失礼なことを、すみませんでした。」
「ん?……んん?君は…誰だい?」
「…須臾、多分その姿だと伝わらん。」
あのときは普通の偽装…色を変えるだけしかしてなかったからな。多分伝わらん。と、
「あぁ!昨日のあの大きなドクロに乗ってた子か!いやはや、あれは僕のほうが悪いからねぇ。どちらかといえば、僕のほうが謝る方さ。急にあんなのが出てきたら吐きもするだろうしね、すまなかった。あと…色々と事情があるのは察するよ。普通はあんなドクロを出したり姿を変えたりはできないだろうけど、深くは詮索しない。知られたくないことだろう?」
…マジで良い人やん。観察力も気遣いも最強とかモテてそう。
「そう…ですね。」
「さて、翡翠くん。とりあえずは君のおかげで部長に意趣返しができた。ありがとう。」
「いや、いいって。これが俺の役目だって言ったろ?」
「そうだけどねぇ。とりあえずこういう事があれば部長も似たようなことはしないだろう。罪も何とか通常通りで通りそうだ。部長自ら懇願してるからね。」
ま、まあ…何というか。自業自得って怖いなってことだな。
「それで、だけど…成仏っていつ頃起こる…のかな?なんか特に変わりがないんだけど。」
ん?
「変わりがない?体が薄くなったり軽くなったりは?」
「してないねぇ…あ、でもなんか手の先が光ってるけど…これが成仏の兆候とかかい?」
んんん?どういうことだ?本来なら未練が消えた時点ですぐに成仏するはずなんだが。
つかなんだ手の先が光ってるって。それは聞いたことない。
「んー…分からんな。とりあえず取り憑きを解除して、3時半ぐらいになったら昨日俺が寄ってたアパートに来てくれ。で、何かあったら連絡してくれ。リンクは繋げとく。」
「分かったよ。」
で、声が聞こえなくなって数秒後。
「…翡翠くん、」
「ん?」
何だ?なんかあったのか…?
「取り憑きの解除ってどうやるの…?」
……あ、なるほど。
──────────
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「さて、と。とりあえず来てもらったが…」
俺たちの前には体の大半がキラキラと光ってる坂本さんが。
刹那も見れるぐらいにはなってる。つかこれ…やっぱりアレか?
「えーと、別に苦しかったりはしないんだけど、これ何かわかる?」
「うーんいや、分からん訳じゃないんだが…どうもこう確信が持てないというか…まあ多分危険なものじゃないとは思うが。」
多分、な。いやでもそんなことあるのか…?
「仮説でもいいから何か教えてくれないかな!?あとだからその多分が怖いんだけど!?」
そういやそうだった。この人リョウのときといい、仮説でも大丈夫だっていう確信がないと不安になる人だったな。
「いや、多分この進行状態…というか多分この光が進むの早くなってるから5分もすれば分かると思うぞ。別に変なことじゃない。俺も見たことはないが、前々から思ってたことではある。」
まあ、な。聞いたとき違和感はあった。あんまり気にしないようにしてたが、そうか、そうなるのか。
「いやだからそれが何か聞いてるんだけど!?」
うーん、そうだな。まあ良いか。
少し息を吸って言う。
「じゃあ…まず1つ。肉体と霊体は離れてしまえばほとんど関係がなくなる。」
「…ん?」
「翡翠さん?」
そんな「何言い始めてんだこいつ」みたいな目で見んな。
「2つ。霊の容姿は基本変わらない。霊力での変異はすれど、歳を取ったり怪我したりなんかしない。」
「あっ、もしかして…えっ、でも…」
「えっ、分かったんですか?分かってないの私だけですか!?」
まあ刹那はあの場にいなかったからな。
「3つ目。幽霊の容姿は、」
───────未練を達成しやすい姿になる。
「あの部長、おばけとか苦手だったんじゃないか?そして多分それを無意識的に感じ取ってた。だから、目的がはっきりしてくるにつれて姿が変わったんだろ。たった一回坂本さんの夢を見ただけなら、あの性格ならただの夢だとも処理できたはずだ。なのにそうはならなかった。なんでかって…幽霊とか妖怪とか、そういうのを信じて恐れていたから、じゃねえかな。」
光が、少しずつ薄れる。
「んで、部長に対する未練がなくなって、もう一つ、負の感情に隠れてた未練が出てきた。」
姿が、人間になっていく。
「それって…」
刹那が呟いた。
「そ、つまり、こっからは坂本さん、あなたの願いだ。怨恨だとか嫌悪だとか、そういう強い負の感情を取り除いた、純粋な未練だ。」
俺たちの前には、20代前半位の男性が立っていた。
どうもただの謎存在です。
すみません投稿するの忘れてました!
いつもは登校中の時間に投稿してるんてすけどすっかり頭から抜け落ちてまして…こんな時間になりました。
さてさて、そろそろクライマックスですかね。
…この頃UAさんとか評価が付かないことに萎えてきてます誰かお気に入りとか評価とかオナs((((
ではでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!