「さて…どうする?坂本さん。優香さん泣いちゃったけど。」
「…ガチ泣きさせちゃったねぇ…ちょっと申し訳ないね。でもこれも一応届けとかないといけなかったしね。」
頬をかきながら苦笑いする坂本さん。ちなみに刹那は号泣して部屋の隅でしゃくり上げてる。
これ見てるの百々目鬼の能力なのに呼び出した本人見てなくていいのかこれ…
「…まあでも、死者はあまり生者に関わらないほうがいいんだろう?それに…君たちもあまり名前は出してほしくはない、と。」
「ま、基本的にはそうだな。」
と、坂本さんがスッ、と立った。
「、なるほど。」
見ると、坂本さんの体が少しずつ崩れていっている。…時間か。
「…ありがとう、翡翠くん。刹那ちゃん。君たちのおかげで心置きなく成仏できる。」
「良いのか?見守ってなくて。」
が、坂本さんははは、とまた笑って言う。
「見守っていくさ。これからもずっと、ね。天国やら地獄やらがあるならそこから見守っていくとしよう。」
「…そうか。ハハ、ここまで成仏に時間がかかった霊は初めて見たぞ、坂本さん。」
少し笑いつつ言う。と、坂本さんも大きく笑って言い返した。
「そうかい、そりゃ申し訳ない。大分と手間を取らせちゃったねぇ。」
「だが…」
再度、言葉を繋げる。
「ここまでおもしろい霊を見たも初めてだ。ここで涙の一粒でも流せりゃ良いんだろうが、生憎出ねえからなぁ…」
最初は悪霊として。
怒りや嫌悪から来る悪感情に委ねて周囲に外を及ぼす可能性のある悪霊の発生、その一例だった。
事情を聞いて成仏に導く過程で、いろんなことがあった。
最終的に悪霊から整霊に変わって、妹のために行動を起こした。
これで、終わった。
「雰囲気壊すこと言うねぇ。」
坂本さんは苦笑いして言う。まあ、な。
「あ、そうだ。ほい、」
ポケットから円形のものを6枚取り出して、坂本さんに渡す。
「…これ、は?悪い、片目がもう見えてなくてね…」
もうだいぶ崩れてきちまってるからな…まあ、洒落というか礼儀というか、俺の最後の仕事というか。
「…駄賃だ。六文銭。」
と聞くと、坂本さんは大きく笑った。
「ハッハッハッハ!なるほど、六文銭か!面白いね、翡翠くん。まさかまだそれを知ってる人がしかも高校生でいるとは。まあ、ありがたく受け取っておくよ。」
崩れていく体で坂本さんは最後に大きく笑って、6枚、確かにポケットに入れて再度手を振る。…もう形がほぼ崩れている。
「じゃあ、バイバイだね。」
「おいおい、」
そりゃ違うだろ。
「
と、坂本さんは苦笑いして、
「…そういうところは覗かないもんだよ。」
「いや流石に見えるだろ…それが原因で刹那大号泣してんだからよ…」
「じてない、でずっ…」
部屋の隅からクッションに顔を埋めて応える刹那。
「な?」
少し笑いながら言うと、坂本さんも小さく笑った。
「…はは、だね。じゃあまた、いつか、どこかで。」
「ああ。」
「刹那ちゃんにも言っておいてあげてくれよ。」
「オーケー。」
そう答えると、満足そうに頷いて、坂本さんは光の粒となって空に舞っていった。
「…ふぅ……任務、完了。」
…はー……あ痛っ
目をこする。
《坂本 湊》
いやはや、天国とか地獄とかあるかと思ったら霊が大量にいる冥界ときたか。ここから地上って…おぉGo○gle Mapみたいに見える見える。じゃあうちは…お、あったね。ふんふん…あ、遺骨が返還されたのか。ともあれ見つかったみたいで良かった。
…ん?あれは…
あぁ、ちゃんと着てくれたんだな。やっぱり似合ってる。…ただ…簪は帯に付けるやつじゃないぞ。なんでそこに付けたんだかね。
あーもどかしいー!やっぱり地上で生活したいなぁ…何とかして生き返れないかな。こう…骨壷から煙ボワーってなってただいまー!とか…無理か。流石に無理か。
と、
「み、湊…?」
「湊か!?」
「…え、母さんに、父さん…?あ、そっか。」
そりゃあ、いるか。
二人に事情を話したらあー、みたいな感じになった。父さんはブチギレる寸前まで行った。起こりすぎだよ…。で、両親になら大丈夫かなって思ってあの二人のことを話したら、感謝してた。まあ、そうだね。
「それよりほら、優香見てる?振り袖着てるよ。」
「!本当だ。…あれは、」
「僕だよ?ま、買わせてくれたのはその二人なんだけど。」
本当に感謝しないとね。
さて…そういえば何か輪廻転生とか聞いたことがあるし、冥界があるってことはそういうのもあるのかな。
たとえ輪廻転生の輪に乗って転生して、記憶がなくなっても、僕が優香の兄で、翡翠くんや刹那ちゃんに助けられたのは紛れもない「事実」だからね。それは絶対に消えないよ。忘れられない限り、僕は生き続けるよ。
《坂本 優香》
「こ、これはこう…で良いのかな?」
あれから少し経って成人式の日。友人の
「そう!それでこれを…優香超似合ってるじゃん!っていうかこれちょっとお高いやつじゃないの。どうやってお金貯めたの?」
「え、そうなの?」
に、兄さん?無理してないよね?
「うん。そうだよ…って何してるの…?」
え?この細いやつ帯の装飾とかじゃないの?
「え、なんかあったからこれも刺すやつかなーって…」
「あのねぇ…」
あ、これ簪か。は、恥ずかしぃ…今のはちょっと兄さん見てなかったことにしといて。…というかよそ見してて見てなかったのに賭ける。
「でもさ、何か急に明るくなったよね。何ていうか…憑き物が落ちたって言うの?」
「、そう?まあ、兄さんが死んじゃったのもちょっと前だしね。」
「いや、そうじゃなくて、何て言うんだろ。不安で仕方なくって、必死に大丈夫そうに取り繕ってたけど、今はなんか安心してる感じがする。」
…バレてたか。そして変化もバレてたか。
「…ねえ、美那って幽霊とか信じる?」
「えっどうしたの急に。お兄さんシック?」
「あ、ううん何でもない。」
まあ、そりゃそうか。正直毎日夢だったんじゃないかとかなにかの間違いだったんじゃないかとか思っちゃう私もいるけど、でも、あれはやっぱり現実なんだよな、って確信できる。
兄さんへ
私、優香は今日成人式を迎えます。天国からか、側でか、見てくれていますか。
私はこれから、少しずつ自分の足で進んでいこうと思います。少し怖いこともあるけど、でも、きっと大丈夫だと思います。
だから、ところどころ抜けてて、たまにポカをするような駄目な妹だけど、いつもみたいに苦笑いしながらでも見守っていてください。
ps.そちらに行く予定は今のところはまだないので。じゃ、またいつか!
《刹那》
…あれ、これは…あ、寝ちゃってたか…
…坂本さん、無事に天国に行けたかな。いや、最終的な行き先は冥界らしいけど。
クッションから体を起こすと、タオルケットがかけられてた。…翡翠さんがかけてくれたのかな?
さて、これからどうなるかな…ん?なにこれ。
ふと見ると、畳まれた紙がクッションの横に置かれていた。
「…ふふっ、」
そこに書かれていたのは、何回か書き直したのであろう消し跡と、
「妖霊被害相談事務所 こんなもんでいいだろ、か。」
少し粗雑に書かれた字。…そうだね…これぐらいシンプルでも良いかもね。
《翡翠》
…さて、と。
色々あったが…まあ、とりあえず完了かな。全く問題なし…とは言えんが。
そうだなァ…どうするか。
あークソ、まあ反省はしてるが後悔はしてないっていうやつだな。しっかし…下手なことをしでかしたおかげで余計何が起こるか更に未知数だ。まあ、これも自業自得、か。
…上等、かかってこい。
向かうものは、散らせ。
どうもただの謎存在です。
はい、とりあえず一章終了です。
これのあと小話でも挟んで二章に行きますか。いや挟まないかもしれませんが。
あと、まだ全然かけてないので書き貯める可能性ありです。
では、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!