妖従者と霊操者の現代録   作:謎の通行人 δ

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妖霊対戦

「なるほど、霊についてとあなたについても粗方分かりました」

 

「…また読んだな?」

軽く考えるだけでも駄目なのか。

 

「それで、です」

と、刹那はパン、と手を叩き話を繋げる。

 

「あなたのその能力を買って、協力していただけないでしょうか」

 

「うーん…」

刹那は頭を下げるが、かなり悩む。

そもそも俺は今は高一だ。勉強面や進路面でも忙しくなるのにそんなことをしている暇があるのか、と聞かれるとまぁほぼ無いだろう。頭だって良いとは言えねえし。

それに、俺が受けられる恩恵がほぼ皆無なのも考えものだ。そこまで俺良い人じゃないからなぁ…

 

「それって俺以外に候補がいたりは…」

 

「してないですね。そもそもこういう特殊な人自体いないんですから。恐らくいたとしてあと二人が精々じゃないでしょうか」

まあ、そんなビックリ人間がそこらへんにポンポンいて良い訳ないわな。

 

「仮にここで俺が断ったとすると…?」

 

「その場合は…」

フッ、と辺りから明かりが消える。思わず上や周りを見渡すと、真っ昼間だったはずなのに、夜に包まれたように感じになっている。…わぉ何だぁ?

 

「その場合は、力ずくですね」

と、刹那の方に向き直すとバカみたいなサイズの骸骨に乗った刹那が小さく笑っていた。

 

「うおぁ…俺に選択権無くない?」

 

「いえいえ、ありますよ、受けるか、断って潰されるか。…ちなみにこれは餓者髑髏(がしゃどくろ)。有名ですが、死者たちの怨念などで繋ぎ止められた骸骨の大妖怪です。破れるか否か…」

餓者髑髏が俺を見据え、腕を振り上げる。

 

「試してみては?」

ブン!と腕が振り下ろされる。反射的に横に跳躍、躱す。

 

「おい正気かよ!」

 

「ああ、死ぬことはありませんよ。仮に死んでも生き返らせれますので」

くすくす、と刹那が笑う。と同時に餓者髑髏はその手で握りつぶさんとしてくる。後ろにダッシュで回避する…と、そのまま反対の手を地面を叩き割る勢いで振り下ろす。躱すも、そのまま叩きつけられた手から衝撃が発生、そのまま吹き飛ばされる。

 

「ド鬼畜生かよ!?」

 

「ん、まだかなり元気なんですね。なら…」

と、刹那は右手をゆっくりと上げ、左に振る。と、

 

「っ!」

目の前を猛スピードで何かが横切る。身を倒してぎりぎり躱しつつ体制を整える。

 

「…はは…うっわ、」

思わず笑ったが、目線の先には黒い大きな羽を持ち、足には下駄、大きな大刀を持った何かが。

 

「これも躱しますか、少し意外ですね。…それは鴉天狗(からすてんぐ)。体長比での速さではトップクラスの妖怪です。」

正直危なかった。ギリギリもいいところだぞ…こないだ骨折治ったばっかであんまり戦ったりするのはあれなんだが…

 

「しょうがないか…」

と、目の前から餓者髑髏の腕が振り下ろされる。同時に横から鴉天狗が大刀を振りかぶってきている。

 

思操魂呪(しそうこんじゅ)!」

まずは鴉天狗に向かって術式を展開、鴉天狗から攻撃の意思を奪ってから、餓者髑髏の拳骨は鴉天狗のスピードに俺の体を乗せてそのまま横へ離脱して躱す。…鴉天狗に体当りする形になったのはしょうがない。

 

「!!何…っ!」

 

「(リョウ!起きれるか!)」

と、体の中で何かが蠢く感覚。

 

《アヴ…主?》

 

「(悪い、説明してる時間がない!参式(さんしき)まで上げてくれ!)」

 

《…良イノ?伍式(ゴシキ)肆式(シシキ)ハ?》

心配する色が聞こえるが、こればっかりは出し惜しみしてたら割と洒落にならん。

 

「(構わん!弐式(にしき)は多分やりすぎだから、参式で頼む!)」

 

《了解…!》

と同時に体が濃い黒い靄で覆われる。同時に視界が少し赤く染まる。

 

「怨霊解放、《参式!》」

 

「っ!?」

目に見えて余裕だった刹那の表情が変わり、焦りと驚きが見えた。だろうな。霊力の解放率を跳ね上げたんだからかなりの圧力はかけられるはずだ。

そのまま鴉天狗は無視して跳躍、リョウのおかげで身体能力が急上昇してるからジャンプだけで10メートルぐらいはある餓者髑髏の肩まで届くな。

 

「っ餓者髑髏、堕として!」

 

「シャガァァアア!」

刹那の指示に呼応して餓者髑髏はこっちを地面に叩き落とそうと腕を振り回す。が、

 

「っおぁっ!と、ラァっ!」

振り回される腕の骨を掴みながら逆にパルクールして上まで飛ぶ。

 

「くっ…今!」

と、目の前から拳骨が猛スピードで降ってきた。

こっちの勢いは…問題ないな。

 

「《望むところだ!》」

右腕に霊力を集中させ、こっちも拳を振るう。

サイズ差およそ100倍は余裕であろう拳が真っ向からぶつかる。

 

「《っ…!》」

重い…!跳躍のエネルギーが足りない…!クソッ、しょうがないか…!

霊力の一部を足に移動させ、飛翔能力を得る。…これ最初からやっとけりゃよかったんじゃ、なんて言われそうだが、体に霊力の補強を分担するのめっちゃムズいんだよ!なんかギリギリ出来てるけどそれも完全じゃない。どちらかというと脛辺りから足にかけて薄い霊力の膜をまとって、そこから霊力を放出してる感じになってるから効率悪ぃんだよ!

にしても…

 

「《っ、硬ぇ…》」

正直ちょっと舐めてた。

大妖怪とか言えるまであるわ、参式まで解放して互角ってどんなだよマジで。とか考えていると、横から鴉天狗が急襲してきた。まずい…!

 

「《っ、うらッ!》」

一瞬拳を離して今度は右手の霊力を左手に移動させて再収束、それも接触する面に厚く、濃く収縮させる。それで、再び拳を合わせる。利き手ではないものの威力はさっきより高いはず、そして…

 

「《穿て…霊哮(れいこう)!》」

集約させた霊力をそのまま前方に向かって光線状に放出する。

放たれた黒い光線は前の餓者髑髏の腕の骨を粉々にしながら穿く。

その反動を利用して一旦後退、鴉天狗の攻撃も躱す。

 

「なっ!?く…《ぬりかべ》!」

と、肩まで光線が到達しかけた直前で霊哮が何かに受け止められて霧散し、そのまま霊力に還元されて帰ってきた。

 

「《は…?》」

が、軌道上には何もない。さっきので消えた…訳じゃなさそうだが、何だ?かなり霊力を集中させた霊哮を防げる妖怪か…あ、なるほど、ぬりかべってそういや本来姿が見えない妖怪だったっけか。だとすると厄介な…だが、確かぬりかべは行動があまりできなかったはず。あれが消えた場所から察するに…

 

「《…あそこらへんか。》」

さて、どうしたものか…

特攻すれば強力な攻撃要員が待ち受け、躱して攻撃しようとしても生半可な攻撃じゃ防御され、少しまごついた動きを見せればどこからか高速の急襲。

うーん…

 

「(…リョウ、弐式は使えるか?)」

 

《連続デ使オウトスルナラ主ノ体ガ持タナクナルヨ…》

くそ、マジか…しょうがない。

 

「(…分かった。一回参式を解いて、合図してから一秒だけ弐式を解放してくれ。)」

 

《…一秒ダケダカラネ?今ノ状態デソレ以上ハ無理。》

 

「(分かってる、それで決める。)」

 

《ウン。》

 

「はぁ…はぁ…強いですね…想像以上です…」

と、刹那の声が聞こえた。どうやら向こうもそれなりに消耗してるようだ。

 

「こっちだってかなり限界だ。…次で決めるからな」

 

「!…フフ、やってみてください」

と、大きく餓者髑髏が咆哮する。…咆哮だけで吹き飛ばされそうなんだが…まあいい…これで決めるからな…!

 

「っ!」

まずは少しだけ体に霊力を纏わせ、ダッシュする。

と、想像通り鴉天狗から急襲を貰うが…

 

「見切った!霊葬魂呪(れいそうこんじゅ)!」

真正面から霊力を圧縮した光弾をぶつけ、鴉天狗を飲み込む。どんな生き物にも核となる魂はあるからそれ自体にダメージを与える技だ。霊ほど魂が露出してないから霊と比べるとダメージは少ないが、どうやら倒せたらしい。

そのままダッシュを続け、餓者髑髏の足元まで来た。と、

 

「…これがぬりかべの部分か」

見えない壁のようなものがある。が、位置的に明らかに餓者髑髏を貫通してるから妖怪同士は干渉しないんだろうか。なら…

 

「よし…」

少し距離を取る。と、餓者髑髏が両手を握って、地面に叩きつけた。土煙が大量に舞い、視界が遮られる。…問題ない。…できれば霊葬魂呪でなんとかしたいところだが、デカすぎて魂の場所が定まってないんだわ。

 

「(リョウ…今だ!)」

時間は一秒だけ。…問題ない。

 

「…餓者髑髏!」

「怨霊解放、《弐式!》」

土煙を無視して叫ぶと同時に飛び出し、拳を握りしめる。0.7

餓者髑髏の拳を眼の前に、さっきの10倍の霊力を圧縮し、振りかぶる。0.4

 

「《霊鳳(れいほう)ォ!》」0.1

 

ドオオォォォォオオン!




はいどうもただの謎存在です。

とりあえず書き貯めを吐いとこうと思うので連日投稿しておきます。
向かってる方向は知りませぬ。

ではでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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