「はぁ…はぁ…」
「な、なんとか…勝てた…!」
ギリギリだった。霊鳳は霊哮の上位互換の技だからな…あれ防がれるとヤバい。しかも放った霊力が戻ってこないというね。まだ弐式とはいえ…な。
と、
「お?」
夜が解けた。と同時に、
「…ん?」
ベンチに座っていた。周りでは相変わらず子供達が走り、大人達が談笑したり老人が休んだりしている。
そして、さっきまで重疲労状態だったはずの刹那も息一つ上がっていない状況でベンチに座っている。
…疲れてるの俺だけか?
「どうしました?」
と、刹那がくすくすと小さく笑いながらこっちを向いていた。
「…今のは?」
「まあ、私の術と言っておきましょうか。妖怪に対して最も力を発揮しやすい状況を作ることができるんです。夜であったり、周囲に他の生き物がいなかったり…まあ、恐怖を煽りやすい状況ですね。」
…とりあえず5割方は分かった。つまり、刹那の能力は
・妖怪を従え、その能力を用いることができる。
・妖怪の能力を奪うことができる。
・周囲に恐怖を与える状況を作ることができる。
の三つといったところか。いやー…ヤバいな。
「…さて、これでお互いの戦い方がある程度分かりましたね。…さっきも見た通り、私は基本戦闘には参加しません。妖怪を呼び出し操作する、司令として戦闘に参加します。私ができるのは妖怪に対してできる限り最大の力を出せることのできる環境を作る程度なので、私自身はかなりか弱いんです」
「どこがだよ…あんなバケモンみたいな力の妖怪ポンポン出しといてどこがか弱いんだ…」
あれでか弱かったら世の女性は全員か弱くなる。
「いえ、そうではなく、私自身の戦闘能力です。それと、あれはまだ5割位の力ですよ、試運転というか、あなたの戦い方を見るためだったので。疲れた演技をするのは大変でしたけど。」
「はぁ!?あれで5割!?」
嘘だろ!?本調子じゃない上、一瞬とはいえ弐式使わせといて5割は冗談じゃない…
「では、どうでしょうか。協力、していただけますか?」
刹那はフッと笑って俺の方に手を差し出した。
…はぁー……
「…わーった。あんまり詳細は分かってないが、断ったらそれはそれで大変そうだから受けさせてもらう」
そう言って手を取る。
「!ありがとうございます!」
と、刹那は満面の笑みになる。
こうして見ると普通に中学生だよなぁ…でも戦闘時のあの状態を知ってる側からすると…なぁ
うーん、この…。
──────────
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「…で?詳しくはどうすればいいんだ?」
「まあまあ、とりあえずついてきて下さい」
「おぅ…」
で、現在どこかに向かって移動中。どこに行ってんだろ…目的地も伝えられないってマ?
とか考えていると、
「っとおぅあっ!」
目の前で刹那が立ち止まった。あっぶねぇ、あと一歩踏み出してたら刹那に覆いかぶさる形で転けてた。…まあ、一人で横に倒れ込んだ変な人になっちまったが、ここらへん人居ねえからいいか。
「…何やってるんですか。着きましたよ、ここですよ。」
「…ん?」
で、到着したのは少し小さめのアパート…か?
「すみませーん、」
「、あぁ刹那ちゃん。」
と、刹那が呼ぶと、その中から人が良さそうなおばあさんが出てきた。つか知り合いなん?
「今日からよろしくおねがいします、浦賀さん。」
「ん?待て待て、どういう?」
「あぁ、この子が昨日言ってた…」
「はい、日陰翡翠さんです。」
「なるほどね。翡翠さん、私はこのボロアパートを経営しております
何か俺の知らないところで話がすでにめっちゃ進んでる気がするんだが。
「え、は、はぁ…じゃなくて!」
一度刹那の頭をつかんで後ろを向かせ、小さめの声で聞く。
「待て待て、どういうことだよ!?俺まだ状況が全く理解できてないんだが!?」
「まあ、一度上がりましょう。…あぁ、ちなみにですが、このアパート貸切状態なので人はいませんよ」
「いや違う違う、話を聞け。というか話をしてくれ。何がどうなってこうなってんだ?」
「はぁ…ですから、」
と、ふっ、と刹那よ姿がぼやけ、手が空を切る。と、眼の前に刹那が現れ、いつ持ち出したのか紫色の紙を張った黒い骨の扇をこっちに向けていた。
「詳しくは中で話します、外ではあまりできない話なので。…あぁ、浦賀さんはこちら側の人間ですよ。私のことも知っていますし、事情も知っています。それについても中で話すのでとりあえず上がってください」
なんとも言えぬ気迫。
重圧という方が正しいか、歳に似合わないオーラを醸し出す、少女と侮った目の前の者は正しく
──────────
─────
「…で、」
外見の割に(失礼)めちゃくちゃ綺麗な和室風の内装に驚きつつ、部屋に入って座る。前には刹那が座る。と、刹那の肩に何か小人みたいな物が座る。
「とりあえず一つづつ説明してくれ。…つかそれなんだ?」
「…?あぁ、この子は
「おう」
とりあえずは大丈夫だな。刹那の肩の木霊もこくこくと面白そうに首を振る。
「では続けますね。まあ一つネタバレをすると、私は翡翠さんのことをほとんど知っています。というかほとんど見越した上で昨日の時点で浦賀さんには、私ともう一人がここを使う、という旨のことを話していました」
「…ストーカー?」
文面だけ聞けば完全にストーカーなんだが。
「いえいえ、
と、ポン、と音を立てて正座していた刹那の膝の上に、牛のような体に人の頭をつけたような小さな妖怪が現れた。
「予知…
「御名答、ある程度の知識はあるみたいですね。」
「まあ知識っつっても人並みだがな。」
件…人面牛体の妖怪。生まれた後、予知をしてその直後に死ぬと言われる妖怪で、しかもその予言を外すことがない…だったか?
「それによってあなたのことを知り、今日邂逅したわけです。」
「予知した状態なら邂逅とは言わなくないか…?」
まあそこはいいか。つか…
「それなら予知した瞬間刹那は死んだんじゃ…さっきの言い方だと件に予知させたわけじゃないだろ?」
「…まあ、そうですね。私は一応不老不死ですので死ぬことがないんです。」
「不老不死!?」
なんだそれ。妖怪を統括する不老不死の奴はもう化け物としか言えんのよ。
「小学六年生のときに急にその特徴が発現しました。その前から妖怪の統括はしていたのですが、それまでは特殊な人間で済んでいたでしょう。…ですが、不老不死になったおかげで、すっかり人間からは離れ、その頃から成長すらしなくなってしまいましたし。」
なるほどね…その容姿はそういう理由からか。
…俺も似たようなもんか。境遇は全く違うが、小1あたりのときにいきなりリョウが入ってきてから霊が余計に集まるようになったしな。
つかこいつどこから来たんだろうな。
「…っと、少し脱線しましたがそこは置いておいて、あなたの境遇はある程度把握しています。それで、です、」
再度姿勢を正して刹那は提案した。
「ここに住みませんか?」
「…はっ?」
「あくまでも、こちらの要求する協力期間が終わるまでですが、あなたは母を亡くし、父が入院中で今一人暮らしのはず。家の状態保存はこちらでできますし、生活を共同でしたほうが効率的でしょう?」
いや共同でって…効率的でしょう?じゃねえ。ってか…
「待て、刹那もここに住むのか?」
「?はい。拠点兼事務所と言ったでしょう。」
「…流石にそれはまずいだろ。」
姿形は小6とはいえど中身が高3。年頃の男と生活するのは色々とその…な。あるだろ。
「自衛ぐらいはできますので、残念ですね。」
「違うそうじゃない」
そういう事じゃないんよ。
そういう事じゃあないんだよ。
はいどうもただの謎存在です。
グッダグダだァ…何処に向かってるのやら…
正直自分でもわかってません。
ではでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!