「っ…あぁ…」
朝。
結局昨日は刹那を説得し、流石に家を共有するのだけは避けた。あいつ何考えてんだマジで。
さて、と。今日からは普通に学校あるからなぁ…昨日は散々な休日だった。…くっそ、急に参式とか弐式とか使ったからか、眠くてしょうがない。あーもう…
昨日あれから色々と詳細を聞いた。
俺が協力するのは依頼された妖怪の被害を解決することらしい。協力期間は5年あれば問題ないとのことだが、何が問題ないのかは教えてくれなかった。つか5年もボランティアさせるのか、と思ったが、幸いにもそこまで件数は多くはないらしい上、一応警察のそういう特殊機関から報酬は出るらしい。あと、それなりに良いらしい。
「さて、と」
で、制服に着替えて登校の準備をする。時間は7時半。問題ないな。で、母さんに線香を上げてからドアを開ける。と…
「………」ドドドドン!
バタン カチャッ
「?????」
…んだ今の?ドアの前に四人ぐらいの黒スーツ黒サングラスの人達がドアを中心に半円状にズラッと並んでたんだが。
何なんだあれ。
そっとのぞき窓から外を覗くが…
「…うん、いるねぇ」
しっかり四人、あの某逃○中のハンターみたいな感じの人がいた。何何何?俺なんかしたか?何もしてねえよ。
「……どうするかねぇ…」
敵意は、ちょっと…いや結構あるな。睨んでるし。倒そうと思えばできるが、一般(?)人に向かって技を使う気にはならねぇし…
交渉…出来そうな雰囲気でもなさそうだよなぁ…全員口真一文字に結んで仁王立ちしてんだぜ?怖すぎんだろ。
《主、ドウシタノ?》
と、リョウが聞いてきた。起きてたのか、珍しいな。リョウは日中、だいたい非活性化状態だから向こうからこっちに話しかけることはそうないんだが。困惑が伝わったらしく、少し心配そうな声色をしている。
「(、リョウ、この状況、どうすりゃいいと思う?)」
《ウーン………張リ倒ス》
「(却下で)」
《ジャア魂呪系ノ技ヲ…》
「(それも却下。)」
駄目そうだな。
うーん…よし、グズグズしててもどうしようもないからな。一回話をしてみるか。
ガチャ
「あの、なんすか?」
「日陰翡翠だな」
名前割れてんのかい。まあ、家わかってたんならそうか。
「あ、あー、そうですが」
と、黒スーツたちの中の一人が一歩前に詰め寄ってきた。
「昨日、
龍骸…?誰?
「…?誰ですか?その…龍骸って人」
「しらばっくれるな。情報は既にこちらに届いている」
「じゃあその本人に聞けばいいんじゃないんすか?俺と会ったかどうか」
「一月以上前から龍骸様がどこにいるのか分からないのだ。つまり、家を出て別のところに腰を下ろしていらっしゃる。それがお前のせいだと我々は断定している。」
…話にならんな。
「だから誰だよその龍骸って人。俺はそんな人は知らん。接触もしてなければ聞いたことすらない。…そろそろ登校時間だから通してくれないか?」
が、黒スーツ達は道を開ける気配がない。
「それよりも、だ。そんなことよりもこちらの事情のほうが重要なのだ。…お前の素性は上がっている。幽霊を操り、その身に怨霊を宿しているらしいな?それを使って龍骸様を惑わしでも…」
《オイ…》
「ん?」
不意に周囲からものすごい量の霊圧がかかる。
《イイ加減ニ…シろよ…?》
何だ…?これ…リョウか!?
《サッキから主ニグダグダと…お前ラの言葉を借リルナラ…主はお前達ゴトキガそんな口を聞いてイイ者じゃ無い…!》
と、墨が空間に滲み出るように体から黒いナニカが広がる。そして、2メートル程の人の形を形作った。体は光が吸い込まれる煙のように黒くぼやけており、目のみが赤く光り、指は鋭く尖っている。同時に少し体が重くなったように感じる。
「なっ…!?」
《お前達…カクゴは良いな…!》
と、地面から数十の怨霊が這い出る。
…やりすぎだな。
「…リョウ、ストップ」
《だが主…!》
「道のど真ん中でそんな怨霊大量に召喚してる方が問題だ。ほい、戻れ」
リョウに近づき、頭の部分を少しはたく。…触れなかったが。
《グ…チッ、運がいいな、ゴミ共…!》
と、ボフンと煙のようにリョウが消えて、同時に怨霊も霧散する。
少し体が軽くなる。
「…で、」
見ると、銃のようなものをこちらに向けている黒スーツ四人。
「…これ以上邪魔をするならこっちとしても実力行使で突破させてもらわないといけなくなる。どうする?」
が、四人とも引く気はないらしい。
しょうがないか…と思って人相手なのを考慮してかなり弱めに霊葬魂呪を…と思って霊力を小さくまとめた時だ。
「ちょっと?」
「!」
「こっ、これは龍骸様!?」
「…は?」
どう見てもそこにいたのは刹那。つかお前も何してんだ。
「何してるのかしら?」
「はっ、龍骸様に不躾な輩が寄っていたようなの「は?」で…?」
うお、何かめっちゃ低い声出てる…
と、刹那の目が細くなる。青眼が小さく光る。これは…リョウとは別ベクトルで重圧がやべぇ…
「彼には協力をしてもらうだけ、むしろ私の負担を減らそうとしてくれる人です。その方に向かって不躾とはどういった了見で?」
「し、しかし!協力であれば我々が…!」
と、黒スーツの一人が言うが、刹那は一層目を細めて言った。
「必要ありません。そもそもあなた方、視認能力すら餓者髑髏レベルの妖怪でやっと見えるぐらいでしょう?それに、対人用の攻撃手段で本当に妖怪に通用すると思っているのですか?何でしたら…昨日、彼が余裕で完封した鴉天狗と戦ってもらいましょうか。無論、一人づつ。それで勝てたのなら考えなくもないですが」
うん?余裕で完封?
んなこと俺してないんだが?精々動きを躱したり利用したり程度だったぞ?確かに最後は倒しはしたが…
と、横目で刹那に「空気を読んで堂々としてろ」とでも言われた気がした。とりあえず大人しく従う。
「あと、外でその名前を呼ぶのはやめて下さい。…虫唾が走ります」
吐き捨てるように言うと、そのまま通り過ぎ、俺の方に来た。
「行ってください、翡翠さん。遅れそうなのでしょう?」
ふと腕時計を見ると8時ジャスト。…やっべえぇぇぇ!
「お、おう!助かった!んじゃ!」
そのままチャリに飛び乗って猛ダッシュ。何なら足にちょっと霊力をまとわせて全力で漕ぐ。
チャリで20分…行けるか…!?
──────────
─────
「はぁ…はぁ…はぁ…」
現在時刻8時15分。セーーフ!!!
高校の自転車置き場に自転車を置いて鍵をかけ、教室に行く。
「でよー、お、翡翠!今日はちょっと遅いな!」
と、元気よく挨拶してくる三上真という友人。ちなみに俺には彼含め数える程しか友人がいない。悲しきかな。
「寝坊したんだよ、あっぶなかったぁ…」
流石に家の前に黒スーツが四人いてそれに呼応した怨霊を鎮めてたなんて言えるわけない。つか誰がそれ信じるんだ。
「お前にしちゃ珍しいな」
「俺だってそういうことぐらいあんだよ」
一応人間だしな。
「あ、そうそう、さっき田中から聞いたんだけどよ、転校生が来るらしいぜ」
「へー?」
転校生?いや確かにここ公立だけどさ、高校転校とかあんのかな?
「だよなー。なんか変だけどよ、まあ色々あるんじゃね?女子らしいし、可愛けりゃなんでもありだろ!」
こいつ…
………まさかとは思うが、今朝のあいつ。…うちの学校の制服っぽくなかったか…?いやいや、他の学校も似たようなもんか。しかもよくよく考えりゃそもそも歳が違うし、あの容姿だ。そりゃ無いわ。
と考えながら真と駄弁っていると担任の
「おし、ホーム始めるぞー、の前に…多分もう噂になってるだろうが、転校生が入ってくることになった。喜べ男子共、女子だぞー」
で、この見た目して結構ノリがいい。生徒受けもいい。
「入ってきてくれ」
で、入ってきたのは、まあ…普通から見ればかなり顔の整った感じの人。日本では当然…と言っていいのか黒髪長髪で黒目だ。刹那とは違うらしいな。まあ、そりゃそうか。
と、彼女は黒板に名前を書き始めた。
その名前を見た。と、
「
ふと見てみると、腰元に見覚えのある黒の扇子が刺されていた。ワンアウト。リョウから《誰かが化けてる気がする》との通達があった。ツーアウト。肩に木霊が乗ってパチパチしていた。スリーアウト、俺が吹いた。
どうもただの謎存在です。
これ一応ジャンル日常にしてるんですけど、本質的にバトルが入る…まあいっか!
ちなみにですが、リョウは普通の怨霊ではありません。そして並の強さでもありません。
では、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!