「車がハッキングされた!?」
『そう!予定ルートからズレちゃって結構まずいの!』
「ウォールナットに変わってくれ!」
『わ、わかった!!ウォールナットさんコレ!?』
『どうした?こちらは結構危機的状況なのだが。』
「相手は分かりますか?」
『ロボ太だ。』
「あのブリキか・・・車の周囲に何かいませんか?」
『何かとは?』
「ドローンとか車とかそちらの車に併走しているものです。」
『あったあった!ドローンが後ろに!!』
「わかった!すぐにそちらに向かいますので通話はそのままでお願いします!」
バイクに乗る駿は高速ICに入る道から進路を変更し下道へと出る。
周りを見渡し何もいないことを確認しスマホのマップをつける。するとそこには
それを確認した彼はマップを消すとバイク加速させ道を進んで行った。
「これ何処に向かってるの?」
「加速している。・・・このまま海に突っ込むつもりだ。」
彼が3人のもとへ向かう中その車内は緊迫としていた。
ウォールナットの視線の先にあるカーナビ端末にはノイズとブリキの玩具が映し出されておりその合間に見えるマップはどんどんと海へと近づいていた。
「回線の切断を!」
「いや無理だ。制御を取り戻してもすぐにロボ太に上書きされるだろう。」
「えぇ、じゃあどうすれば!」
「こちらの作業終了と同時にネットを物理的に切れればいいんだが・・・。」
「えっ?ルーターどこよ?」
「知らん。僕の車じゃない。」
「千束さん。」
かなり絶望的な状況に千束があたふたしていると、たきなが彼女の耳元で声をかける。
「たきな、どうしたの?」
「ハッキングを仕掛けてるのはあのドローンですよね?」
「駿の反応的にそうじゃない?」
「ならあれを落とせば、」
「でもどうするの?私じゃ自信ないよ?」
「私がやります。」
「ちょっと待って、・・・2人とも。」
盗聴を危惧し小声で相談し合う2人、話がまとまった時千束のスマホから着信音がなったため彼女は慌てて内容を確認した。
それを見た彼女は2人に声をかけると画面を見せる。
それを見た2人は頷くと各々の準備を始めた。
「よし制御を取り戻すぞ。・・・3、・・・2、・・・1。」
彼が車の制御を取り戻した瞬間車内に銃声が響き渡る。
銃弾は たきなの側の窓を割るとそこから彼女が顔を出し後方のドローンへと照準を定めた。
それに気づいたのか回避行動を取ろうとするドローンだか、突然その動きを止めたためその隙を狙い撃つ。
バランスを崩し落ちていくドローンそれを確認した彼女が車内に戻ると車は怪しい挙動を始めると土手から飛び出して海へと突っ込んで行った。
それを彼はハンドルを巧みに操ることで車体を回転させ減速させるが海はどんどんと迫っておりあわや落ちる寸前、車は停止した。
「痛た・・・。みんな取り敢えず動かないで、せいので出ますよ。」
「ス、スーツケースを〜。」
「私が、」
皆が車内を出ると見計らったかのように車は海へと沈んでいく。
それを眺める2人に対して辺りを見渡していた千束は何かに気づいたのか近くにある橋へと目を向ける。
そこには白い大型のバンと何人かの人が立っており彼等はこちらが気づいたことを察したのか車に乗り込んで何処かへと走っていった。
「取り敢えず場所を変えよう。」
『ならもう押えてある。・・・マップを送ったから来てくれ。』
「了解、2人とも行こう。」
千束はポケットから聞こえた声にスマホを取り出し確認すると2人を連れて街の方へと歩き始めた。
「・・・この人がウォールナット?」
「ウォールナットだ。よろしく頼む。」
土手からすぐ近くの廃墟、看板から元スーパーであると思われる建物の中に彼はいた。
3人と合流すると彼は依頼人に挨拶しようとするがそのあまりにも異常すぎる姿に首を傾げてしまう。
「やっぱりそうなるよね!」
「・・・きっと素顔は隠すの確定としてもしかしたら骨格バレないように厚着か何かすると思ってたけど・・・着ぐるみって、」
「そうか?意外といいと思うのだが、顔がバレないだろう?」
「いや、着ぐるみの時点で目立ちますし、そもそもリスって貴方のシンボルでしょうわかる人には丸わかりじゃないですか。」
彼の疑問に当然とばかりに返すウォールナット、それを見て諦めるような表情を取ると外を警戒する千束へと声をかけた。
「千束、どうだ?」
「こりゃバレてますわ〜。」
「あのブリキ凄く粘着してくるからな。追っ手全部処理するまで続くなこりゃ。」
「さっきからブリキ、ブリキって相手のこと知ってるの?」
「ウォールナットが居なければ日本一のハッカーだとか言ってる馬鹿、ダークネット内でバカ騒ぎすることで有名なヤツだ。」
「へぇ〜。てかまだ潜ってるの?」
「情報収集だよ。わかるだろ?」
「まぁ〜ね。」
「店長への連絡終わりました。」
話す2人の前に物陰に隠れてミカへと報告をしていた たきなが戻ってくる。
「先生はなんて?」
「新しく目標地点を設定したのでそちらに来るようにと、そこに新しい車を用意するそうです。」
「ちょっと見せてくれ。・・・これは裏口から出て住宅街の細道を移動した方が良さそうだな。」
「ならすぐに移動しよう。ウォールナットさん着いてきてください。」
これからの行動が決まると4人は裏口へと向かうため建物の奥へと向かう。
バレないために陳列棚の影に隠れようとしたその時、
建物の入口から武装した5人の集団が入ってきた。
それに気づいた たきなが自身の持つスーツケースの影に隠れると同時に銃弾の雨が彼女を襲う。
死の雨に身動きの取れない たきな、それを見た千束は護衛対象から離れると陳列棚を足場に飛び上がり手に持つ拳銃の引き金を引いた。
打ち出される複数の弾丸、その1つが相手に当たると呻き声をあげて崩れる。
相手の意識が千束に向いた瞬間、たきなは仰向けの状態でスーツケースの影から顔を出し射撃、それは相手腕に命中しそれを見た相手方は1度物陰に隠れる。
「千束!ウォールナットを連れて先に行け!!」
「わかった!」
「ちょっと待っえ、ちょっと!?盾に使うのはなしだ!!」
「ちょっとダメですって!」
駿の言葉に反応した千束がウォールナットの手を引き走ろうとするが彼はそれを拒み再び銃弾の雨に晒されている たきなの方へと視線を向けた。
そこにはスーツケースを盾にして撃ち返す たきなの姿がありスーツケースは余程頑丈なのか壊れる様子を見せない。
「大事なものだって言っただろー!!」
「たきな!それなきゃダメらしいよ!?」
「無理言わないでください!」
「俺が前に出る!」
断固として動かない彼を見た駿は背負っていたギターケースを前に構えると棚の影から出て相手へと距離を詰めた。
それを見た相手も銃口を彼へと向けるが巧みに躱され当たる弾もケースに遮られ有効打にはならない。
そのまま男の1人の内側に入り込むと手に持っていたケースを手放し背負い投げの要領でもう1人の男へと投げ飛ばす。
それを見て彼へと銃口を向けようとした男に たきなの放った弾丸が襲いかかった。脇腹を貫かれ血を滲ませる男はそれでも銃口を彼へと向けようとするがその時には既に他の男に影に隠れていたため撃つことが出来なかった。
「井ノ上さんはそれ持って早く奥へ!」
「わかりました!」
「千束もだ!2人の護衛頼む。」
「了解!そっちも怪我しないでね!」
「ああ!!」
彼が注意を引いているうちに体勢を整えた たきながウォールナットを連れて奥に行くのを確認すると彼は両手にスタンガンを持ち動揺して動けなくなっている3人へと襲いかかった。