リコリス・リコイル 比翼の花弁   作:0IN

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No Enemy, Red floor

「なんなんだよてめぇは!?」

 

「ただの大学生ですよっと!」

 

 

護衛対象を逃がすために男達を足止めする駿は多勢に無勢の状況で優勢な状態で戦況を進めていた。

倒れている2人の様子を伺いながら1人に張り付き撃たれないように立回る。

相手は射線に仲間がいるため撃つことが出来ず殴り掛かろうとするがそれは重心の移動だけで躱されてしまうため彼を捉えることは出来ない。

 

 

「クッソ!お前等、先に行け!」

 

「行かせると思うか?」

 

「・・・チッ!」

 

 

 

彼の視線が銃を構えた男に向いた瞬間、倒れていた2人の内1人が彼に飛び掛り押さえ込もうとするが、まるで背後の動きがわかるかのように身体を逸らすだけで躱しそのまま腕を引き転倒させる。

 

 

「後ろに目でもついてんのか!」

 

「おい!俺たちのいる場所を撃て!俺達に当てても構わん!!」

 

「ウッソだろ、おい!?」

 

 

彼を出し抜けないとわかった男の1人が叫ぶと入口の方向から無数の銃声とともに彼等を弾丸が襲う。

それに気づいた駿はすぐさま近くにいた先程転ばした1人を壁際のレジ裏に蹴り飛ばすとそこへ飛び込んだ。

彼がいなくなった直後その空間を食い破る凶弾の群れ、それを見ながら男に首筋にスタンガンを押し付ける彼はインカムを操作する。

 

 

 

「すまん、増援が来た!そっちに3人行ったから気をつけてくれ!」

 

『了解、そっちは大丈夫?』

 

「大丈夫だ。ただ周りが豪雨に見舞われているだけ!」

 

『気をつけなよ〜。てか3人ってさっきの?5人いなかったっけ?』

 

「1人は捕まえて、もう1人はこっち撃ってる。」

 

『おっけー、残りはこっちでどうにかするから足止めよろしく〜。』

 

「はいよ。それじゃ切るから、」

 

 

彼はインカムを切ると気絶させた男を床に寝かせ物陰から顔を出し外を伺う。

そこには6人の武装した集団がおりその銃口の全てを彼のいるレジへと向けていた。

 

 

「6人か・・・時間はかけられない、1人辺り10秒だな。」

 

 

そういうと彼はそっと目を閉じ深く深呼吸をする。

彼が動かないことに気づき近づいてくる男達、そんな緊迫した状態で深呼吸を続ける彼、男の1人がレジ裏を確認しようとしたその時彼は目を開き蒼い軌跡と共に飛び出した。

 

 

 

 

「たきな聞いてた?」

 

「はい。」

 

「3人くらいこっちに来てるみたいだから私が先に様子を見てくる。だからウォールナットさんのことお願いね!」

 

 

彼からの連絡を聞き千束は2人を置いて奥へと駆け出す。

従業員通路を抜けるとそこは扉があり彼女はその物陰から中を確認する。扉の先は廊下になっておりそこには複数の扉が確認できた。

人がいないことを確認し廊下に出ようとした時、別の扉から1人の男が姿を表した。男は彼女を認識するとすかさず銃口を向ける。それを見た彼女は通路に隠れるとそこ目掛けて銃弾が飛んできた。

数秒すると射撃音が止んだため千束が再び廊下を確認すると男は手榴弾を持っておりそのピンを抜くために銃を下ろしていた。

それを見た彼女は相手へと距離を詰める。投げる体勢になっていた相手は彼女が突然目の前にいることに動揺を見せる。

 

 

「とぉ!・・・ハイ残念!!」

 

「グワァァア!?」

 

 

千束は身動きの取れない相手の手から手榴弾を叩き落とすと近くの部屋に蹴り入れ相手へと肘打ちを入れる。

それでバランスを崩した相手の肩を掴むとそのまま手榴弾の入れた部屋の方へと投げた。

男の身体が宙に浮きちょうど部屋の前に到達した瞬間、手榴弾は爆破しその勢いで外れた扉が男の背中へとぶつかる。勢いよくぶつかったため壁に激突し気を失った男、それを一瞥すると廊下の端に たきなの姿が見えその彼女が見ているのが自身の後ろだと気づき振り返る。

そこには先程の男とは別の人物が銃を構えており、その銃口は千束を狙っていた。

それを見た彼女は たきながウォールナットを下がらせたことを確認すると揺れるように身体を動かす。すると相手の放っ銃弾は彼女の横を虚しく通り過ぎるだけで終わり当たらなかった。

それからも打ち続ける相手に、ただゆっくりと横に歩くだけで躱し続ける千束、たまに身体を揺らして方向転換をする以外一定の速度で移動するだけの彼女だが銃弾が当たることは決してなかった。

 

それに動揺を隠せない男は1度銃撃をやめるがすぐに正気を取り戻し再び銃を構え直す。

しかし男が構え直す前に千束は既に銃を構えていた。

両手でしっかりとグリップを握り傾けて構える独特な構え、彼女が銃口を相手に向けながら歩き始めた瞬間再び弾丸の雨が彼女を襲う。

 

千束は荒れ狂う鉄の雨の中をゆっくりと歩きながら近づくがやはり彼女には当たらない。

そして2人の距離が数mになった瞬間、彼女の銃から音が鳴り響いた。

彼女の放った数発の銃弾は彼女へと向けられたものとは真逆に男へと命中、それを受けて倒れる男の胸にもう一度弾を撃ち込むと空のマガジン捨てカバンから取り出した新しいものへと取り替える。

彼女は手早く装填されたか確認するとコッキングを済ませ際に横へと発砲、そこには銃を構えた男がおり彼は銃弾を受けると体勢を崩しその隙に蹴りを入れられるとその場に崩れ落ちた。

 

意識を失っていないため銃口を向け警戒する千束、何か動きがあればすぐに行動できるように男を観察していると、シャツが赤く染まっており脇腹を抑えている姿が目に映った。

 

 

「そのまま、手当する。」

 

「何を・・・グッ!」

 

「血出てるでしょう。」

 

 

それを見た千束は銃しまいバックの中をあさり始める。突然の彼女の行動に男が動揺していると背後から たきなの声が響いた。

 

 

「敵の増援が来る前に脱出しましょう。」

 

「少し待って、」

 

「囲まれますよ。」

 

「死んじゃうでしょう。それに増援は駿が抑えてくれてるから大丈夫だって、」

 

「・・・脱出ルートはまだ的にマークされていない。今ならまだ行ける。」

 

「私もすぐ追いかけるから、」

 

「・・・行きましょう。」

 

 

応急処置を始める千束に たきなの焦りの混じった声で呼びかけるが彼女は笑って返す。それを見た たきなはウォールナットを連れて廊下の奥へと進んで行った。

 

 

「・・・なんの真似だ。」

 

「見て分からない?応急処置、」

 

「やめろからかっているのか・・・ッ!」

 

 

カバンからワセリンとガムテープを取り出し処置を始める千束、それを抵抗しようとする男へ彼女は銃を受けることで大人しくさせ処置を続ける。

 

 

「じゃあ、死にたいの?」

 

「いや・・・やめてくれ。」

 

「こういう時は大人しく受けといた方がいいぞ?」

 

「駿、そっちは終わったの?」

 

「じゃなきゃこっちにいないだろ?・・・他に怪我人は?」

 

「見た感じやばいのはこの人だけ。・・・そうだ、貴方今日夕飯は誰と?」

 

「・・・家族だ。」

 

「いいねぇ〜。」

 

「なら無理すんなおっさん。」

 

 

彼女が応急処置を進める中、男は周囲を見渡すとそこには呻き声を上げながら起き上がろうとする仲間の姿がありそれを見た男の表情は驚愕に染まる。

 

 

「なに!?」

 

「私が撃った人は大丈夫。」

 

「・・・ゴム弾か、」

 

「ちなみにこっちも少し痺れてるだけだからしばらくすれば動けるぞ。」

 

 

男は千束と辺りを確認し終えた駿の軽口に複雑な表情をしていると処置が終わったようで彼女はカバンに荷物をしまっていた。

 

 

「もういい、行けよ早く。」

 

「わかった、鉄分取れよ。」

 

「千束早く行くぞ。」

 

「はーい!」

 

「・・・待て!」

 

 

廊下の奥へと進んで行く2人に男は1度顔を顰めると呼び止めた。

それを不思議に思った2人が男はへと視線を向けると彼は真剣な表情で口を開く。

 

 

「そっちはやめろ!・・・ウチのハッカーのドローンが見ている。・・・待ち伏せしているぞ、」

 

「・・・ッ!!」

 

「おい!井ノ上さん応答しろ!!」

 

 

男の口から放たれた言葉それを聞いた2人は急いで たきな達の元へと駆け出した。駿は走る中、急いで たきなへと連絡を取ろうとするがすぐに彼は呼び掛けをやめた。

 

 

「ダメだ、繋がらない!・・・妨害されてる。」

 

「とにかく急ごう!」

 

 

 

廊下を駆け抜けるとそこには荷物搬入用の倉庫があり、その奥の従業員用扉に たきな達はいた。

 

 

「えっ!?ちょっと!」

 

「たきな、出ないで!」

 

「クッソ、間に合え!」

 

 

2人が たきなへと呼びかけると同時にウォールナットは扉を開ける。その行動に驚いた たきなが固まっていると千束が足を早めウォールナットへと手を伸ばした。

しかしその手は宙を切りウォールナットは外へ出てしまい、その瞬間1発の銃声が辺りに鳴り響いた。

 

そこには穴の空いたタブレットと微動だにしないウォールナットの姿がありタブレットを下ろすと彼の胸には赤い染みが出来ていた。

それを呆然と見下ろすウォールナット、そんな彼銃声のなった方へと目を向けた瞬間、銃弾の雨が彼を貫いた。

 

銃弾が当たる度に壊れた人形のように踊り狂う身体、その踊りは銃声が止むと同時に止まり彼は崩れるように倒れる。

 

彼の倒れる地面、そこはまるで絨毯が敷かれてるように赤く染められていた。

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