リコリス・リコイル 比翼の花弁   作:0IN

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Ditch With Everyone, to Old Nest

「それにしてもよく何も情報がない状態でこれを手に入れたな?」

 

「そりゃ、アイツのおかげだ。きっと幸運の女神に愛されてるぞ。」

 

「幸運か、確かに存在するなら愛されてるだろうな。・・・だが、これは人徳じゃないか?」

 

「一理あるアイツは人を優しくする才能があると思う。・・・お前もすぐに懐いたしな。」

 

「・・・アレは役に立ってるか?」

 

「・・・もちろん、流石いい仕事してるよ。」

 

 

リコリコの閉店準備中、クルミと駿は彼女の部屋(押入れ)で話し合っていた。

彼女が操作するPCには無数のプログラムが映し出されており、彼の手に握られているスマホにも同じ画面が写っていた。

 

 

「あぁ〜。こんなにしちゃって、」

 

「なんだい?」

 

「サボりか?」

 

「ちゃんと終わらしたわ!てかサボってんのあんたの方でしょうが!」

 

「俺も自分の分担はやりましたよ。・・・でなんですか?」

 

 

2人が話していると、彼のいる座敷とは逆側の襖をミズキ開いた。彼女は部屋(押入れ)内を見渡すと呆れた表情をしながら手に持つタブレットを2人の前に出す。

 

 

「ほ〜ら、あんたにも送っといたから、」

 

「あぁ、これね。」

 

「私がDAの情報部に解析させたのよ。顔までは分からなくても体格から大凡の当たりは付けられるはず!」

 

 

そこには元の画像より少し鮮明になったものが写つされており、それを自慢げに見せるがクルミは興味なさげにPCを操作しだした。

するとPCに元の画像が写し出されどんどんと鮮明な画像へと変化していき、それを見たミズキは絶句して固まる。

 

 

「なっ!・・・なぬぅ!!」

 

「つまりDAはこの画質しか持ってないってことか?・・・ミズキこれはDAを出し抜けるかもしれないぞ!」

 

「・・・。」

 

「・・・どうしたんだミズキ?」

 

「・・・なんでもねぇよ!」

 

 

固まるミズキを心配そうに見るクルミ、わなわなする彼女に声をかけた瞬間、怒りながら襖を閉めた。

 

 

「・・・何怒ってんだ?」

 

「・・・プライドとかあるんだよ。」

 

「・・・?」

 

 

その一部始終を見た駿は不思議そうにするクルミの肩を叩くと彼女はより不思議そうな顔をした。

彼がそれを見てなんとも言えない表情になっていると突然PCからアラームが鳴る。

それを聞いたクルミはハッとするとすぐにPCの電源を落とした。

 

 

「おっと、時間だ。」

 

「ほんと馴染んだみたいだな。」

 

「まぁ、な。」

 

 

椅子脇に置いてあった箱を持つと襖から出るクルミ、彼女が出たことを確認すると彼は襖の扉を閉めると彼女を連れて店内へと戻って行った。

 

 

 

 

「っと、言うわけで閉店ボドゲ大会スタート!!」

 

『おぉぉぉ!!』

 

 

閉店後であるはずなのに騒がしい店内、そこにはいつにも増してテンションの高い千束と駿、普段の物静かな彼女としては珍しくテンションの高いクルミ、そして彼女達と一緒にテーブルを囲む常連客の姿があった。

 

 

「締切明日だって言ってたっすよね?」

 

「今日の私には関係ないし〜!」

 

「よしましょう、仕事の話は、」

 

「実は自分も業務中で、」

 

「刑事さん、悪だねぇ〜。」

 

「早く始めましょうよ!」

 

「このメンツ問題児多すぎん?」

 

「そりゃ、言っちゃダメでしょう!」

 

「じゃあ、順番決めるぞ〜。」

 

「ねぇ〜、たきなも一緒にやろうよ〜!」

 

 

騒がしい店内、その中で黙々と作業をするたきなを見つけた千束は声をかける。

 

 

 

「レジ締めなら私も手伝うから!」

 

「さっき確認しといたから大丈夫だぞ〜!」

 

「もう終わりました。・・・レジ誤差0、ズレなしです。」

 

「早っ!」

 

「ってことはもう暇でしょう。」

 

「たきなちゃん、ほらおいでよこっち、こっち!」

 

「どうだ、たきな?」

 

「・・・結構です。」

 

 

たきなはレジ締めを終えるとみんなの誘いに断りの言葉を言うと店の奥へと入っていった。

 

 

「おじさん、多すぎなのかな?」

 

「まぁ、おじさん率四割は多いですね。」

 

「ちょっと四割って俺も入ってないっすか!?」

 

「おっと、失敬!」

 

「若い子にとってはおじさんなのよ。」

 

「そりゃ、ねぇっすよ!!」

 

「・・・恥ずかしいのよ。お・と・し・ご・ろ。」

 

「店で遊ぶ方がおかしいんだけどね。」

 

「そうか?」

 

 

立ち去るたきなを横目に何か考える千束は立ち上がると店の奥に入っていった。

それを見た駿も立ち上がると彼女について行く。

 

 

「あら、千束ちゃんもだけど駿くんもどうしたの?」

 

「ちょっと用事を思い出して、すぐ戻るんで先始めててください。」

 

 

彼が店の奥に入ると更衣室の前に千束がおり彼女は扉をノックしながらたきなに声をかける。

 

 

「明日も集まってゲーム会するんだけどt、」

 

「・・・千束、」

 

「ん?」

 

 

駿が扉前で粘る千束に声をかけようとすると厨房から出てきたミカが彼女を呼ぶ。

 

 

「健康診断と体力測定は済ませたのか?」

 

「えっ?いや・・・まだ、あんな山奥まで行くのだるいし〜。」

 

「明日が最終日だぞ、ライセンスの更新に必要だ。仕事を続けたいなら行ってこい。」

 

「えぇぇぇ〜。」

 

「・・・お前行ってなかったのかよ。俺はもうとっくに行ったぞ?」

 

「だってめんどくさいんだもん!」

 

「生活する分はいいかもだがお前のやりたいこと出来なくなるぞ?それは困るだろ?」

 

「・・・そうだけどさぁ〜。」

 

「着いてってやるから明日行くぞ。」

 

「うぅ〜、そうだ!先生上手くいっといてよ、先生の頼みなら聞いてくれるでしょう楠木さん?」

 

「司令と会うんですか!」

 

「ちょっ!馬鹿、服!!」

 

 

文句を垂れどうにか行かないでいい方法がないか考える千束、そんな彼女から楠木の名前が出た瞬間更衣室の扉が勢いよく開きたきなが出てきた。

着替え途中だったのか彼女は下着姿のままでそれを見た千束は慌てて扉を閉める。

 

 

「・・・ッ!!」

 

「「・・・。」」

 

 

閉めた瞬間恐ろしい速さで男二人を睨む千束、その視線の先にはそっぽ向いて口笛を吹く駿と目を泳がせるミカの姿があり、それを見た千束は駿に目を向けると頬を膨らませ彼の鳩尾へと拳を突き入れる。

 

 

「ゥグ!?」

 

「・・・あっ!ごめん、大丈夫!?」

 

「・・・大丈夫だ。ただ呼吸が上手くできないだけで、」

 

「それ問題でしょう!?」

 

「・・・落ち着けば・・・治る。」

 

「・・・駿?ちょっと、駿!?」

 

 

殴られた箇所を抑えながら蹲る彼、それを見て我に返った千束が慌てて彼に駆け寄る。蹲る彼の表情を見るために覗き込む千束、そこには顔面蒼白になりとめどなく汗を流す彼がおりそれを見た彼女も顔を青くして彼の背中を摩る。

彼女が必死に介抱する横で冷や汗を流すミカ、そんな混沌とした立ち入り難い空間にたきなは扉を開けると気にすることなく入っていく。

 

 

「私も連れて言ってください。」

 

「早っ!?」

 

「お願いします。」

 

「えっと・・・。」

 

「お願いします。」

 

「・・・わかったよ。たきな、」

 

 

頭を深く下げるたきなの言葉に困惑する千束、さらに深く頭を下げて頼む彼女に困った表情をしながら了承する千束、それを聞いた彼女は礼を言うと足早に店を出ていく。

 

 

「・・・それじゃボドゲにって、駿!?」

 

「・・・。」

 

「声出せないの!?えっとどうしよう!?」

 

「・・・座敷に連れてってやれ。」

 

 

たきなを見送るとボードゲームに戻ろうとする千束、そこで床に蹲る駿を思い出し慌てているとミカが助言をくれたため、彼女は急いで彼を座敷へと連れていった。

 

 

結局彼が復活したのはそれから数時間後であり、2人はゲームに参加することはなかった。

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