「たきな〜。千束さんが迎えに来ましたよ〜!・・・誰?」
「・・・サクラか、何やってんだ?」
身体測定も無事済ませ着替え終わった千束はたきなのいる訓練所へと来ていた。
その隣には目的地が同じだったフキとまた偶然出会った楠木の姿があり彼女達が訓練所に入るとたきなは知らない少女と話していた。
「自分がこれからフキさんのパートナーを務めるっす。あんたの席はもうないっすよ〜。」
「ちょっと、黙れ小僧。」
その少女が誰なのか分からない千束が首を傾げていると心当たりのあったフキが少女・・・サクラを見て訝しそうに呟く。
何を話してるのか気になった2人は彼女達の会話を聞いているとサクラの放った発言に腹立たしいそうに彼女の襟首を掴んだ。
「あんた誰っすか?」
「・・・そいつが千束だ。」
「フキ先輩!それに司令まで、・・・ほぅ、これが電波塔の、」
「これって言うな!」
「・・・いや、ただのアホだ。」
「!?」
さくらの見定めるような眼差しに威嚇するように睨む千束、その2人の行動に呆れたような表情を見せるフキへと千束が文句ありげに振り向くと千束達を押しのけるようにたきなが楠木の方へと歩いていった。
「司令、私は銃取引の新情報となる写真を獲得し提出しました。この成果ではまだDAには復帰できませんか?」
「・・・復帰、」
「成果を上げれば私をh、」
「そんなことを言った覚えはない。」
「楠木さん!」
「・・・そんな、」
楠木の無慈悲な言葉にたきなの表情に影がさし、千束は声を荒らげフキは無言のまま彼女を見つめる。その中でさくらは笑みを作ると、
「諦めろって言われてるのまだ分からないんすか?」
「おい!」
「お〜、怖っわ!流石電波塔のヒーロー様!噂通り迫力ありますねぇ〜。」
「サクラ、訓練の時間だ行くぞ。」
「ざ〜んねん、もっと話してたかったのに〜。」
呆然のするたきなに追い打ちをかける。
それを見た千束がサクラに文句を言うが彼女は聞く耳を持たずついでとばかりに千束も煽り出した。
そんな自身の現パートナーの目に余る行動にフキはサクラを呼ぶとそのまま部屋を後にしようとする。
それに不満そうな声をあげるサクラを一睨みしちょうどたきなの横を通り過ぎようとしたその時、彼女はフキの腕を掴んだ
「なんだよ、」
「・・・すみません。」
「あの時ぶん殴られたことで理解してなかったのか、だったら言葉にしてやる。・・・お前はもうDAには必要ないんだよ。」
「やめろフキ!」
「まだ理解出来ないか?なら今から模擬戦でぶちのめして分からせてやるよ。」
「おうおう、いいじゃん!たきな!やろう!」
たきなの手を払い除けたフキが彼女に放った言葉、それは彼女の存在を否定するものだった。
その言葉を聞いて呆然とする彼女、その姿を見た千束はフキの胸倉を掴むが彼女は態度を変えることなく挑発する。
それを聞き意気込む千束はたきなへと呼びかけるが彼女からの返事はなかった。
「離せよ!」
「あっ、ごめんごめん。」
「あっれ〜。ビビってんすか?」
「・・・。」
「よ〜し!2対2での勝負だって、たきな!?」
反応を示さない彼女にサクラが再び煽りの言葉をかける。
するとたきなは顔を俯かせたまま部屋の外へと飛び出して行ってしまった。
いきなりのことに動けなくなる千束、その横でサクラはたきなを指差しながら笑いだした。
「アッハハハッ!逃げやがった!」
「・・・ッ!」
たきなの後ろ姿を見つめる千束、彼女は1度楠木へと視線を向けると彼女を追って廊下を飛び出して行った。
「お前も逃げんのか〜。」
「・・・準備しなきゃ行けねぇんだ、行くぞ。」
「そんな事しなくても余裕すよ!」
「・・・だといいがな。」
「だって電波塔のヒーロー様だけですよ。10年前の功績でもてはやされてますけどフキ先輩と私なら軽く捻れますって!」
「・・・。」
千束達が居なくなりサクラの声だけが響く訓練所、その中でフキは1度ため息を吐くと彼女の腕を引き廊下へと走早に向かう。そんな彼女の表情は険しなく何かに焦っているようにも見えた。
「・・・それでは失礼します。」
「なんでそんなに焦ってるんすか?」
「いや予感がするんだよ。・・・これはきっと」
「俺が来てるからか?」
「ッ!?」
廊下に出る前に1度楠木へ向き直り一礼する。
そして2人が廊下に出ようとしたその時、背後から声が聞こえた。
その声に聞き覚えのあるフキは錆び付いた人形のようにぎこちなく首を回すとそこには駿の姿がありその表情は笑っていたが目だけが感情を見せていない。
「お、お前千束を待ってるんじゃ!」
「遅いからこっち来たんだが・・・いないみたいだな?」
「千束ならあっちに言ったぞ?」
「そうか・・・ありがとう。」
「要件済んだならさっさと行け。こっちもやることがあるんだ。」
「いや〜、1つあるんだよな〜。・・・千束から聞いてるだろ?」
「なんのことだ?」
彼の言葉に冷や汗を流すフキ、それを見たサクラは2人の間に割り込み彼を睨みつけた。
「あんた誰っすか?こっちはこれから電波塔の英雄さんともぎs、」
「おい、さくら!」
「千束と模擬戦するのか?・・・ならちょうどいいやフキ、ウォーミングアップ手伝ってやるよ。」
「いや、お前には関係n、」
「電話の時言ったよな?会った時覚えとけって、・・・大丈夫だ、俺が取ってある模擬戦室がまだ空いてる。」
余計なことを言おうとするサクラの口を塞ごうとするがそれは既に遅かった。
模擬戦のことを聞いた駿は嬉しそうな笑みを向けながらフキの襟首を掴むと廊下の奥へと引きずっていく。
必死に抵抗しようとするが抵抗も虚しく連れていかれるフキ、それを見て呆然とてしまうサクラだがすぐに正気を取り戻し彼の前に立ちはだかった。
「先輩に何するんすか!あと誰っすかあんた!」
「初めましてか俺の名前は羽東 駿、千束と同じ支部のサポーターでフキとの顔馴染みだ。よろしくな。」
「私はサクラって言いますよろしk・・・って、違う!だからなんで先輩引きずってるんすか!」
「いや〜、この前電話で化け物扱いされてな。そのお礼にウォーミングアップに手伝ってやろうと・・・準備なしでやったら千束に瞬殺されるだろうからな。」
「なんすか?セカンドの私はともかく先輩が負けるって言いたいんですか?」
「負けるだろうな、それも呆気なく。」
「ただのサポーターの癖に生意気ってすねぇ。」
駿の言葉が聞き捨てならないサクラは彼を睨みつけるが、彼は気にすることなく逆に笑みすら作り彼女を挑発する。
「そりゃ、俺でもお前やフキに負ける要素ないからな。」
「舐めるんじゃねぇっす!先輩やってやりましょう!」
「おい、サクラ!挑発に乗るな!!」
「よ〜し、なら模擬戦室行こうぜ?」
「受けて立つっす!」
「クッソ!巫山戯んな、離せ!引きずるな、おい!本当に離せ!やめろ・・・やめr、ぁぁぁぁああ!!」
意気揚々と廊下を進む駿とサクラ、その後ろで引きずられるフキの悲痛の声が辺りに虚しく響いていた。